TOMIさんのキネマ旬報表彰式レポート'10(1)

 ヨコハマ映画祭に続いて向かうのは、『キネマ旬報ベスト・テン第1位映画鑑賞会と表彰式』。 この日、両賞の表彰式が重なっていたのです(時間帯は別)。 ヨコハマ映画祭は、以前から2月最初の日曜日に開催されてきていました。 キネマ旬報の方は、2月半ば頃までの平日に行なわれるのが普通だった筈。 2年前には確か、2月3日(日)がヨコハマ映画祭で、中一日空けた5日(火)にキネマ旬報の表彰式が催されたものです。 どちらか一つだけに入場するため、わざわざ高い新幹線代を払ってまで足を運ぶのは難しいものの、“ 2泊3日ぐらいで両方に参加できるなら、そうしたい!” と心が動いたものでした。 そして今年、どういう理由か知りませんが、両イベントが同じ日に開催されることに!

“ これは、参加するしかない!” と、ヨコハマ映画祭は [ チケットぴあ ] のプレリザーブで無事、入場券を入手。 問題は、綴じ込みハガキで応募しての抽選(無料招待)になるキネ旬の表彰式です。 定期購読者には、先行しての優先募集があり、高崎に住む友人に頼んだものの、1次では外れ。 ならば、と年明けに、最近では立読みで済ませる事の多い私が同誌を購入し、熱いコメントを記入して(笑)一般枠で応募。 1月20日の締切りを経て、当選者に2名分の招待ハガキが届けられる1月下旬を迎えたのでした。

 mixi で、別の話題の日記の最後に、[ 同日開催の 『ヨコハマ映画祭』 のチケットは無事購入できたものの、応募しての抽選になる 『キネ旬表彰式』 の方はどうやら外れてしまった模様・・・・。 応募締切りが20日で、まだ当選ハガキが到着していませんからね。 倍率、高かったのかなぁ。 『ヨコハマ映画祭』 と掛け持ちで参加できれば一石二鳥だと喜んでいたのですが、そうは甘くありませんでした。 まあ、キネ旬で助演女優賞に輝いた満島ひかりちゃんは、『ヨコハマ映画祭』 では新人賞を受賞しており、こちらで見られるのでOKです。 今回は 『ヨコハマ映画祭』 に傾注して楽しんでくることにしましょう! どちらか一つだけでも参加できるのは、有り難いことですからね。 ] と記したのは、1月28日のこと。
 ところが、その夜、高崎の友人から、“ 今日、招待状が来た!” との吉報が届いたのです。 後で確認したところによると、2次募集で当選したとの事。 定期購読者へのこういう優遇処置を行なったのは、今回が初めてでは。 だから尚更、一般読者からの応募は狭き門となったのでしょう。 いつもの私なら、喜びまくった日記を即座にアップしていた筈(笑)。 が、ふと、28日の落胆した上記の文は、“ 使えるぞ ” との考えが頭をよぎったのです。 内緒にしておけば、サプライズで盛り上るのではないか、との姑息な計算(汗)。 何とか秘密は、保たれたのでは。

ベスト・テンと各賞を、改めてご紹介しておきましょう。
【日本映画ベスト・テン】
  1 位  「ディア・ドクター」
  2 位  「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」
  3 位  「劔岳 点の記」
  4 位  「愛のむきだし」
  5 位  「沈まぬ太陽」
  6 位  「空気人形」
  7 位  「ウルトラミラクルラブストーリー」
  8 位  「サマーウォーズ」
  9 位  「誰も守ってくれない」
  10位  「風が強く吹いている」

【外国映画ベスト・テン】
  1 位  「グラン・トリノ」
  2 位  「母なる証明」
  3 位  「チェンジリング」
  4 位  「チェイサー」
  5 位  「レスラー」
  6 位  「愛を読むひと」
  7 位  「アンナと過ごした4日間」
  8 位  「戦場でワルツを」
  8 位  「スラムドッグ$ミリオネア」
  10位  「イングロリアス・バスターズ」
    ( 8位は同点で2作品 )

【個 人 賞】
 ★日本映画監督賞  木村大作 「劔岳 点の記」
 ★日本映画脚本賞  西川美和 「ディア・ドクター」
 ★主演男優賞     笑福亭鶴瓶 「ディア・ドクター」
 ☆主演女優賞     松たか子 「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」
 ★助演男優賞     三浦友和 「沈まぬ太陽」
 ☆助演女優賞     満島ひかり 「プライド」「愛のむきだし」
                      「クヒオ大佐」
 ★新人男優賞     西島隆弘 「愛のむきだし」
 ☆新人女優賞     川上未映子 「パンドラの匣」
 ★外国映画監督賞  クリント・イーストウッド
                「グラン・トリノ」 「チェンジリング」
当日のプログラムは、下記のようになっていました。
 10:15 開場(銀座ブロッサム・中央会館)
 10:30 文化映画第1位作品 「沈黙を破る」 上映
 12:55 外国映画第1位作品 「グラン・トリノ」 上映
 15:07 日本映画第1位作品 「ディア・ドクター」 上映
 17:45 表彰式
 19:00 終了(予定)

 週末には、よく電車で2時間ぐらいかけては東京に出てきて色んな映画を観まくっている高崎の友人は、2日前まではどうするか迷っていたものの、最終的にはキネ旬表彰式への参加を決意。 他の映画を観た後、「ディア・ドクター」 の上映開始ぎりぎりに滑り込む予定なのだとか。  ちゃんと間に合って、今頃は日本映画第1位作品の世界に浸っているでしょうか。 私が、関内駅のホームから京浜東北線の上り電車に乗り込み、座席に腰を下ろしたのは16時15分頃。 下車予定の新橋駅までは、約40分の道のりです━━。

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キネマ旬報表彰式レポート'10(2)

 電車の座席では、ヨコハマ映画祭のパンフレットに目を通していきます。 湯布院映画祭のものほどではありませんが、なかなか充実した内容。 じっくり読むと、1時間半ぐらいかかるのでは。 なので、新橋までの40分間も、結構あっという間。 パンフに栞をはさんでバッグにしまい、下車の準備です。  朝の新幹線の中で読んでいたのは、2日前の2月5日に発売されたキネマ旬報の決算特別号。 今回のベスト・テンと個人賞が発表されているのです。 昨年は、読者のベスト・テンとコメントを紹介するコーナーに掲載されたのですが、2年連続とはいかず、ちょっと残念。 とはいえ、表彰式に向かう車中で読む本誌は格別です。 何しろ、カラーグラビアに載っている映画人たちに、これから会える...あ、いや、生で見られるのですから。 邦洋のベスト・テン作品と賞に関係したものの内、岡山で未公開なのは、上映時間が3時間57分もある 「愛のむきだし」 のみ。 地方都市としては恵まれた方でしょう。 「パンドラの匣」 は先月30日に、また 「アンナと過ごした4日間」 は前日の6日に公開されたばかりですが、何とか鑑賞してから、今日を迎えることが出来たのでした。 次の機会も、こうでありますように。

 これまで、『キネマ旬報ベスト・テン第1位映画鑑賞会と表彰式』 には一度だけ入場したことがあります。 「復讐するは我にあり」 が日本映画第1位に輝いた1979年度の本イベント。 1980年2月のことでした。 この年は応募しての招待ではなく、映画と同額ぐらいの前売券がプレイガイドで発売されたため、東京の友人に買ってもらっての参加。 埼玉の別の友人宅に泊めてもらい、翌日は、全国に先がけ有楽座(東京・日比谷の映画街にあった映画館)でのみ先行ロードショーされていた 「地獄の黙示録」 を観て(特別料金)、帰ったものでした。

 で、何と 『ヨコハマ映画祭』 の1回目が行なわれたのは、奇しくも、この1980年の2月だったのです。 今年、両イベントに参加する事になったのも、何かに呼ばれたのかもしれませんね。 また、調べてみると、この時1979年度のキネ旬読者選出1位作品は 「太陽を盗んだ男」 でした。 ということは、長谷川和彦監督がメガホンを取らなくなってから、もう30年以上経つということ。 このまま、映画を撮らずにいるつもりなのでしょうか。 もったいない...! 私が、2度目の参加を果たしたことがきっかけで(笑)、ゴジの新作が始動してくれれば嬉しいのですが。 もし本当にそうなって長谷川監督の3作目が完成し、「太陽を盗んだ男」 と同様、1位に投票するほど惚れ込む出来で、キネ旬の何かの賞を獲ったなら、その時は3度目の参加をすべく、また表彰式の募集に応募するようにしますから。 ちなみに、第1回ヨコハマ映画祭の作品賞も 「太陽を盗んだ男」 であり、監督賞も長谷川和彦なのでした。

 さて━━。 新橋駅で下車し、銀座方面に向かって歩き出したのは、ちょうど17時頃。 友人とは表彰式の後で夕食でも一緒に、という話になっており、調べてきた “ 安くて美味そうな店 ” が有楽町駅との中間ぐらいにある筈なので、手前の新橋駅で下車したのでした。 ちゃんと場所を確認しておこうと思って。 が、ヨコハマ映画祭の表彰式終了が遅れた影響で時間に余裕がなくなり、見当をつけて歩いて行った通りが1本違っていたのか一度で見つからなかったため、そのまま銀座・三越のそばまで小走りに移動したのでした。 キネ旬表彰式への招待ハガキには、[ 満員の際は、入場をお断りする場合がございます ] との記述があり、実際こういう状況にはならないだろうとは思いつつ、万一を考え、5分でも10分でも早く会場へ到着しておきたかったのです。 それでも、ちょうど途中にあるのだからと、三越と大通りを挟んだ向かいのビルにある 『花畑牧場カフェ』に立ち寄り、念願の(笑)ホットキャラメルアイスクリームを食べたのでした。 まあ、普通の美味しさ。 初めてここの生キャラメルを食べた時のような感激はありませんでした。 一度で十分。 行列もほとんどなかったので、10分ほどで再び外へ。 近くにある歌舞伎座をめざします。 が、道路の地下にある映画館 『銀座シネパトス』 に吸い寄せられてしまい、ついチラシ集めなど(苦笑)。 地上へ出て、今度こそ会場をめざします。
 歌舞伎座から東京駅方面へ向かい、3つ目の通りを右折。 日曜日の夕方だからなのか、平日でもこの時間帯はこうなのか、銀座のど真ん中から少しの場所なのに、辺りは人通りもあまりなく、驚くぐらいひっそりとしています。 ひと筋行き過ぎてしまったようで、ちょっとあせりながら戻っていくと、ようやく 『ブロッサム・中央会館』 を発見。 玄関を入り、階段を上っていきます。 時刻は17時30分ぐらい。 入口で係員に招待ハガキを渡し、中へ。 問題なく入場できました。 ほっ...。

キネマ旬報表彰式レポート'10(3)

 ロビーやホール内で、ざっと友人の姿を探すも見当らず。 “ もし隣りの席が空いていても無理して確保しておいてくれなくてもいいですから ” と事前に伝えているので、私は私の席を求めて壁際や客席の間の通路をきょろきょろしながら歩き回ります。 こんな時、1人分の席は結構空いているもので、センターエリアの前から14〜15列目、通路の左脇から2つ目の席に座ることが出来たのでした。 会場には2階席もあったのを、17日のテレビの芸能ニュースを見て、初めて知る事に。 前日の16日に 【ブルーリボン賞】 の授賞式がここで行なわれ、2階席から舞台を捉えていた映像が流されたのです。 ネットで調べてみると、1・2階合わせた座席数は900でした。

 定刻の17時45分の2〜3分前に 「間もなく始まります」 のアナウンスが。 続いて、「花束などの贈呈は、ご遠慮ください。 受付でお預かりしますので」 等の注意事項。 客席側の明かりはかなり暗くされ、舞台上は強めの照明が当てられています。 これで、受賞者の方々の姿がくっきりとよく見えたため、双眼鏡の出番はほとんどありませんでした。 が、手元が暗かったため、メモが取りにくくて(汗)。 そうでなくても、速く書くため後から読めない箇所が少なくないのに、こういう状態だと...。 レポ内容の細かい部分の正確性がいつもより劣るかもしれませんが、ご容赦くださいますよう。

 緞帳が上ると、舞台の左手袖に司会者用の演台。 その後方に置かれたテーブルには鮮やかな朱色のテーブルクロスが敷かれてあり、ワダ・エミさんデザインのトロフィーが十幾つ並べられています。 中央から右手には、受賞者を待つ13の椅子。 天井からは、[ 第83回キネマ旬報ベスト・テン第1位映画鑑賞会と表彰式 ] と書かれた文字看板が吊り下げられています。 司会は━━。 おや、あれは♪ 2年前は映画が大好きなフジテレビの男性アナが担当していたのを記事で読んで記憶していたので、今年もそうかなと覚悟していた(笑)のですが、「TBSアナウンサーの竹内香苗と申します」。 今回初めて任されたのだそう。 嬉しい人選です。 「キネマ旬報はTBSのアナウンス室にも置かれてあり、よく目を通していました。 アカデミー賞が今年で82回ですから、それより古いんですよね! この表彰式が、アットホームな雰囲気のものになるお手伝いを出来たらなと思っておりますので、どうぞ宜しくお願いいたします」。

 キネマ旬報社の小林社長からのご挨拶、「昨年の日本映画第1位作品の 『おくりびと』 は、この表彰式が行なわれた1週間後に、アカデミー外国語映画賞に輝きました。 そのオスカー像の重さを測らせてもらったところ、3.8キロありました(数字は聞き間違いの可能性あり 汗)。 キネマ旬報のこのトロフィーは、それより重く5キロもあるんです(笑)。 では、早速、始めたいと思います」。

 受賞者が1人ずつ紹介され、右の袖から出てこられ、客席に一礼してから席に座られます。 ヨコハマ映画祭に比べると、かなり良い椅子が用意されていました。 登場順は、下記の通り。
○ 「ディア・ドクター」 の加藤プロデューサー。 ヨコハマ映画祭にも登壇された方です。
○ 「グラン・トリノ」 配給のワーナー・ブラザース映画の方と、「チェンジリング」 配給の東宝東和の方。
○文化映画ベスト・テン第1位作品 「沈黙を破る」 の土井敏邦監督。
○監督賞の木村大作氏。 いつもの、ボーイ服(?)のようなデザインの黒いジャケットに白ズボン姿です。
○脚本賞の西川美和さんは、ヨコハマ映画祭の時と同じ服装。 女優みたいに別の服に着替えていたなら、ちょっとだけ嫌な感じを持ったかもしれません(笑)。
○主演女優賞の松たか子さん。 白の派手すぎないドレスです。
○主演男優賞の笑福亭鶴瓶さんは三つ揃いのスーツで。 ネクタイは赤。
○助演女優賞の満島ひかりちゃんは、ミニの黒色の可愛いドレスに着替えてご登場。
○助演男優賞の三浦友和さんは、落ち着いたスーツ姿。
○新人女優賞の川上未映子さんは、金色に見えるドレスを着用。 最も派手な衣裳でしたが、似合っており、“ らしい ” という印象を受けました。
○新人男優賞の西島隆弘くん。 一応はスーツと言って良いのでしょうか...、AAA(トリプルエー)としてのステージ衣裳かと思うようなデザインの服でした。 嫌な感じは、ありません。
○読者賞の香川照之さん。 数年前から連載している 「日本魅録」 に対してのもの。 演技賞ではないためか、上着は着用されていますがノーネクタイの少しカジュアルっぽい服装です。
受賞者の方々の集合写真は、ネット記事を参照して下さい。

キネマ旬報表彰式レポート'10(4)

  トップバッターは、「ディア・ドクター」 の加藤プロデューサー。 【日本映画作品賞】 の表彰です。 読者選出日本映画ベスト・テンにおいても第1位となっており、ダブルでの受賞。 小林社長からトロフィーや、確か二つ折りで表紙がついたような豪華な装丁の賞状が渡されます。 加藤 「大変重い、素晴らしい賞に選んでいただき、感謝に堪えません。 心よりお礼申し上げます。 物語を作り上げた西川監督による所が一番ですが、スタッフ・キャストの頑張りも大きいものがありました。 この賞を持ち帰って、みんなに素敵な報告をしたいと思います。 ありがとうございました!」

 【外国映画作品賞】 は、「グラン・トリノ」。 「ディア・ドクター」 と同じく、読者選出外国映画ベスト・テンにおいても第1位を獲得しています。 クリント・イーストウッド監督は、【外国映画監督賞】 及び 【読者選出外国映画監督賞】 も併せて受賞。 ワーナー・ブラザースの方がまず、監督からのコメントを代読されます、「この度は、栄誉ある賞に選んでいただき、スタッフ全員を代表して感謝いたします。 ファンの皆様、選考委員の方々に、お礼申し上げます。 私たちは、ウォルト・コワルスキーと隣人であるタオとの絆の物語を、日本の観客の皆様が楽しんで下さった事に、とても感激しています。 ありがとうございました」。 続いて、ご挨拶を、「監督は、もう80歳になられます。 『グラン・トリノ』 は、最後の作品になる可能性もあるかなと思い、そうなら宣伝の売りにしたくて問い合わせてみたところ、既に次の作品の撮影中でありました(笑)。 それが、一昨日公開された 『インビクタス』 なんですけど。 もう、その次の新作も製作中らしいです。 毎年、毎年、すごい作品をサクサクと完成させられて。 製作・配給に携わることが出来て、光栄です。 本日は、ありがとうございました」。 次に、東宝東和の方より、「頂いたトロフィーは、監督に代わって、確かに預からせてもらいます。 さっきワーナーの方に全て言ってもらったのですが...。 是非、またイーストウッド監督の作品を配給したいし、その他にも良質の映画を皆様にお届けしていきたいです」。

 【文化映画作品賞】 である 「沈黙を破る」 の土井敏邦監督が、表彰を受けられます。 本作は、国際的な視野から、イスラエル/パレスチナ問題を扱っているのだそう。 挨拶で監督は、「(取材対象となった)彼らに支えられた賞だと思っています。 配給・公開に関わり、尽力してくれた人たちに深く感謝します」。

 【監督賞】 は、初メガホンの木村大作監督に。 予想通り、ノーマイクで挨拶を始められます、「え〜、皆さん!(拍手) 伝統ある賞を頂き、ありがとうございます。 来ている人が、堅い。 雰囲気が、かたいね〜(笑)。 さっき鶴瓶さんとも話してたんだけど、マイクだと声が割れちゃうんだよね」 と言いつつも、スタンドマイクの所へ。 但し、かなり離れた位置からマイクを通して、「私は70歳になりますが、この賞は生まれる前から続いているそうです。 自分が監督賞を貰えるなんて思ってもいませんでした。 本当ですよ。 読者選出の方は取れるかなと(笑)。 一つだけ言いたいのは、監督をやりたいから撮ったのではなくて、私が山に200日ぐらい入った方がいいから、監督することにしたんです。 一度だけだと思っていたけど、もう1本ぐらいいいかな、と考え始めています。 生命保険が終了したんですが、セールスレディが “ あと5年ぐらい大丈夫 ” と言うので、延ばしました。 もうひと踏ん張り、頑張ろうと思います」(拍手)。 司会の竹内アナが質問を、「2作目の具体的な構想は?」。 監督 「考えてます。 まだ言えませんけど。 香川さん(「劔岳 点の記」 にご出演の香川照之さん)は、連載の中で私の事を “ 軍事独裁政権 ” だと書きました。 原稿をチェックしましたが、まあ真実だから、いいかなと(笑)。 それから━━」。 まだ何か言いかけたところで、受賞者席からやって来た鶴瓶さんが、抱えるようにして連れ帰ります(笑)。
 

キネマ旬報表彰式レポート'10(5)

  「ディア・ドクター」 で 【脚本賞】 に輝いた西川美和監督は、【読者選出日本映画監督賞】 もダブル受賞。 木村監督の後ということで、「すいません、普通にマイク使います(笑)。 読者の方々にお礼申し上げます。 脚本賞は一番嬉しい賞です。 映画は、1人では作れません。 スタッフ・キャストに膨らませてもらって、初めて出来上がるものです。 その点、脚本を執筆するのは孤独な作業で。 こういう地味な作品が、映画として成立するのか? 不安と戦う毎日でした。 書くのは自分の力で出来ること。 自分の映画作りで一番大切な所を評価してもらって、嬉しいです。 これまで私を支えてくれていた安田さんが、1年前、帰らぬ人となり・・・。 そういう人に後押しされたからこそ、ここまでやってこれたんです。 クリント・イーストウッド監督、木村大作監督など、上の世代の監督が、とてもお元気で。 私も頑張らねば、と思っています」。
 司会者からの質問は、「前作に続いての脚本賞ですが?」。 「歴史ある賞なので、前回はかなりプレッシャーになりました。 でも、そういうプレッシャーや不安の中から、今回の作品のテーマが掴み取れたのかなと思います。 脚本は、無理やりひねり出しています。 残念ながら、溢れ出るようには湧いてこないので」。

 【主演女優賞】 は、「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」 の演技により、松たか子さん。 2度目の戴冠のようなイメージを抱きましたが、助演賞も含めて初受賞だったんですね。 今回の個人賞は、どの部門も大激戦でした。 独走だったのは、外国映画監督賞のみ。 他は、最も1位と2位の差が開いた新人男優賞部門でも、3票差。 1票差だったのが5部門で、2票差が2部門。 内、2位が同点で2人いるのが4部門もあるのですから!! 皆さん、紙一重での栄冠でした。
 「この度は、主演女優賞をいただき、光栄に思います。 選考委員の方々、読者の皆様、ありがとうございました。 派手な仕掛けがある映画でもありません。 皆さんの目にとまり、何かが心に残ってくれたなら嬉しく思います。 監督、脚本家、スタッフの方々のお蔭です。 浅野さんの夫は、私にとっては最高の夫でした。 この賞を貰い、また課題が出来ましたので、これからも精進してまいります」。 本作で、松さん演じる佐知は、夫の大谷(浅野忠信)に対して敬語で話していました。 司会の竹内さんは 「そういう言葉遣いで演じることに関して、何かご苦労はあったのでしょうか?」 と質問。 「あまり、そこに縛られすぎず、かつてそういう関係があったものとして臨みました。 佐知という人に出会った大谷の方が大変だな、と思いながら演じたものです(笑)」。

 初主演の 「ディア・ドクター」 により 【主演男優賞】 を獲得したのは、笑福亭鶴瓶さん。 表彰の最後に小林社長から何か言われたらしく、挨拶はその事から、「マイク使いますか、って(笑)。 いや、こんな賞を貰うなんて・・・。 三浦友和さんからも、観た後、“ 良かった ” ってメールが入って。 皆さん、キネマ旬報の主演賞ですよ! (トロフィーを掲げて)別の映画賞の軽かったんです。 これは、重い(笑)。 一昨年の夏、1ヶ月半ぐらいの撮影でした。 初めての主演。 毎日、飲んでました。 瑛太も、よく飲んだ。 香川さんともそこで初めて会ったんですが、変わってるんですよ。 虫が好きで。 『網ないか?! オニヤンマが飛んでる! あ〜っ、首とれた(笑)』 って。 偽の医者の役で。 難しい台詞や用語があるんですよ。 タイムキーパーの女の人に “ 歳いくつ? ” と訊いたら、スタッフがし〜んとなりまして。 彼女に歳きいたら、現場からいなくなるっていうジンクスがあるらしいんです。 まさか、って思ってたら、その夜、本当に具合が悪くなり救急車で運ばれまして。 病院で先生が看護師に喋ってる中に、自分のセリフにある医学用語が出てきましてね、“ あ、これだ ” って(笑)。 現場のみんなとは、今でも飲みに行くぐらい仲いいんです。 きつい 「劔岳」 に出なくて良かったです(笑)。 さっき西川監督も言ってましたが、安田さん・・・やっさん、『東京上空いらっしゃいませ』(90)のプロデューサーだったんです。 その縁で、今回の作品に出演することになり。 やっさん、すごく喜んでると思います」。
 

キネマ旬報表彰式レポート'10(6)

  ヨコハマ映画祭で新人賞を受賞した満島ひかりちゃんは、こちらではその資格がなく、代わりに、何と堂々の 【助演女優賞】。 トロフィーが重そうです。 物理的にも、気分的にも。 「はじめまして、満島ひかりと申します。 助演女優賞という本当に大きな賞を頂き、ありがとうございます。 『愛のむきだし』 の園子温監督、『プライド』 の金子監督、『クヒオ大佐』 の中村監督を始め、スタッフ・キャストの皆さんに感謝します。 西島くんが新人賞を貰って、一緒の舞台にいるのが、とても嬉しいです。 彼と共演した 『愛のむきだし』 はシーン数が470もあり、台本がタウンページぐらいあったんですね(笑)。 黄色い台本で。 毎日、蹴って殴って、殴られて、満身創痍で撮影してました。 本格的に役者をやり始めたのは最近ですが、10歳の頃から芸能活動をやってまして。 もやもやしていた時に、『愛のむきだし』 に出合ったんです。 これが終ったら死んでもいいと思いながら、やってました。 ・・・ あ〜、緊張する。 (気分を変え)実は、母がこの授賞式に来てるんです。 今日、沖縄から連れて来まして。 産んでくれて、ありがとう!」(拍手)。 ヨコハマ映画祭の時よりは落ち着いたスピーチでした。 昼間の表彰式が、ちょうど良い練習になったのでしょうか。
 竹内アナとの遣り取りで、「愛のむきだし」 の撮影エピソードを披露することになり、「理不尽な叱られ方をしてました。 監督からは、天気が悪いのもお前のせいだと言われ、1分で着替えろと怒鳴られ、生きてきた今まで全部がダメだと否定され(笑)。 ほとんどのシーンが、本番1回でした」。 こういうきつい現場で鍛えられたからこそ、現在の快進撃があるのでしょう。 昨夏の湯布院映画祭で特別試写された 「カケラ」 を始め、今年も4〜5本の映画が公開予定になっているようです。

 【助演男優賞】は、「沈まぬ太陽」 で三浦友和さんに。 彼の受賞には、ちょっと感慨深いものがあります。 山口百恵の相手役として一躍脚光を浴びだした時からずっと見てきた役者さんですから。 百恵ちゃんの大ファンだった私でも、納得のカップル。 そのコンビも5〜6年が経った頃、大阪は厚生年金会館の大ホールで山口百恵のコンサートが土・日に昼夜2回ずつ開催されました。 私は、岡山から駆けつけ、土曜夜の回に入場。 その少し前に、2人一緒の写真を週刊誌に撮られていたらしい彼女は、ちょうど私が客席にいる回のステージ上から 「私の好きな人は、三浦友和さんです」 と、かの “ 恋人宣言 ” をしたのです。 がっかりなど全くしなくて、素直に祝福する気持ちが湧いてきたもの(凄い瞬間を目撃したなという興奮も!)。 それほどお似合いだったのです。  二十代の頃から彼はよく、「四十代、五十代になった時、ちゃんとした役者になっていたい」 という意味の事を口にしていました。 すっぱりと芸能界から足を洗った愛妻にも支えられ、その言葉通りに、今では日本映画界においてなくてはならない役者になりました。 2年前の2007年度に続き2度目の助演男優賞です! 今度は、主演男優賞を狙って下さい。 おめでとう、百恵ちゃん(笑)。 ちなみに、2人が共演した映画で大好きなのは、コンビ1、2作目の 「伊豆の踊子」 と 「潮騒」 の2本です。
 三浦 「本日は、ありがとうございます。 私は、どうしても役者になりたくてなった訳ではないというふざけたデビューだったんですけど、周りの人からキネ旬ぐらい読めよ、と渡された特別な思い出があります。 この賞には、本当に縁がなくて...。 あきらめていたというか、違うものだと思っていました。 それが五十代になって、貰えて。 嬉しいものですね。 『沈まぬ太陽』 は、渡辺謙さんの執念というか鬼の一念で出来上がった作品です。 謙さんがいないと成立しなかったでしょう。 こういう名誉ある賞を貰った事も、彼を始めとした共演者の皆さん、スタッフの方々、そして若松監督のお蔭です。 本日お集まり下さった映画ファンの皆様、ありがとうございました」。
 

キネマ旬報表彰式'10(7)

  【新人女優賞】 の川上未映子さんは、お名前からして映画に縁のありそうな女性。 「 『パンドラの匣』 に出演しました川上未映子です。 今日は、ありがとうございます。 信じられない思いと、驚きで、感謝しております。 普段は小説を書いていて、舞台の経験はあるのですが、映画は初めてでした。 今回お誘い頂き、迷っていたら、役の女性がよく掃除をしているので “ お掃除をするつもりで来たらいいよ ” と言ってもらいまして。 執筆も煮詰まっていたので、参加することに致しました。 何でも表現することは大変だと頭では分っていましたが、映画はものすごい努力と苦労の積み重ねで撮ることを、ひしひしと体で理解しました。 体の深い所で知ることが出来た気がします。 今後も、表現する事を頑張って続けていきます。 ・・・・あ、言い忘れた! 監督、プロデューサー、関係者の皆さん、ありがとうございました」。 本業が俳優ではないため素人っぽい挨拶が、微笑ましい感じでした。

 【新人男優賞】 の西島隆弘くんも、メインは歌手。 「初めまして、西島隆弘です。 今日は素晴らしい賞を、ありがとうございます。 ひかりちゃんは演技経験があったけど、僕は初めての映画、初めての主役でした。 編集したら、最初は6時間を超えるほどの長さで。 一つのことに没頭しての1ヶ月半から2ヶ月でした。 トリプルエー(AAA)でメインボーカルをやってるんですが、ライブでは一つの曲のストーリーをお客さんへ伝えたいと思って歌ってます。 映画も、形こそ違え、お客さんに伝えるという事では同じです。 これからも、表現者としての自分を突き詰め、磨いていきたいです」。

 2009年度、助演男優賞の有力候補として私も香川照之さんを推したものでした。 本賞では、1位に2票差で惜しくも3位に。 その香川さんが、私も毎回、名文と内容の面白さに惚れて投票している連載 「日本魅録」 にて4度目の 【読者賞】 を受賞されました。 連載はもう数年に及び、2冊目の単行本化が待たれているところですが、1冊目について、こんな風に取り上げた拙文が、昨年夏、キネ旬の読者コーナーに掲載されましたので、下記に転載しておきましょう。 [ 3月の高崎映画祭に続き、こちらも初となる宮崎映画祭(6月6日〜13日)へ、2日間だけですが参加してきました。 往路の6時間超の列車内で一気読みしたのは、『日本魅録』 の単行本。 香川照之さんは2002年の宮崎映画祭に参加されており、その際の写真も掲載されていて、気分を盛り上げるのに最適でした。 連載で読みましたが、何年も経っているため、初めてのように引き込まれる。 巻末に収録されているのは、「ゆれる」 で共演したオダギリ ジョーさんとの対談。 西川美和監督の同作以来3年ぶりとなる新作 「ディア・ドクター」 もちょうど公開されますから、そろそろ 『日本魅録』 の2冊目をお願いします! 宮崎映画祭のクロージング作は、香川さん主演の 「トウキョウソナタ」。 もちろん再見になりますが、こちらも初見時以上に惹き込まれたのでした。 高崎、宮崎の両映画祭とも、1度で済まぬ魅力に溢れていたのは言うまでもありません。 ]

 余談でした。 さて、香川さんのご挨拶は、「本日は、ありがとうございます。 木村監督の連載を差し置いて、貰ってしまいました(笑)。 恩を仇で返す結果となり、申し訳ございません。 1ヶ月に2度、原稿を書いて、それが載る。 8年目ですか。 書き続けるのは、大変です。 今日、賞を貰えて、頑張って続けてきた自分を褒めてやりたいです。 一番のヤマは、「劔岳」 の撮影時期でした。 昨今、電波状況が良くなってきたとはいえ、剱岳では無理。 携帯は、3週間余り、ただの目覚ましでした(笑)。 パソコンを背負って入り、原稿をまとめたものの、どうやって送ろうかと。 フラッシュメモリーに落として、それを足にくくりつけて飛ばす鳩を飼おうかな、と真剣に考えたものでした。 幸い、色んな方が山にやって来られメモリーを託せたので、連載を続けられ、受賞することが出来ました。 ある国家元首に耐えたお蔭です(笑)。 ひかりちゃんも言ってましたが、天気が悪いといっては怒られ、全人格を否定するような暴言を浴びせられ━━。 (満島ひかりちゃんの方を見て) あなたは、もう準備が出来ている。 木村監督の次回作に、ぜひ出演して下さい(笑)。 また1年、書き続けていきたいと思います」。 ひかりちゃんも、体を折り曲げるようにして笑い転げていました。 いや、さすがは助演男優賞を3度も受賞している名優。 連載の名文に負けぬ爆笑のスピーチでした。 香川さん、三浦友和さんと、昨年の日本映画界における屈指のバイプレイヤーを生で2人とも見られたのですから、そういう意味では、香川さんが助演男優賞を獲らなくて、本当に良かった(笑)。

キネマ旬報表彰式レポート'10(8)

  時刻は、19時少し前。 さすがはキネ旬、きっちり予定通りに終るのかと思ったのですが。 最後に、協賛のダイナースクラブからの賞があったのです。 ダイナースクラブ賞の 【映画人大賞】 は、木村大作監督に。 【特別賞】 は、西川美和監督へ。 ダイナースクラブの日本代表の方(外国人)が挨拶の原稿を英語で喋り、司会の竹内アナが日本語に翻訳したものを読み上げます。 3回ぐらいに分けなければならないほどの長さ。 ちょっと間延びしてしまいました。 受賞したお2人が交代でマイクの前に立ちます。

木村 「ダイナースクラブに入れ、って事でしょうか?(笑) それは冗談として。 さっき言い忘れた事があります。 スタッフは映画バカばかりだからどうでもいいんですが(笑)、浅野さんと香川さんには200日も山に入ってもらったんですね。 そういう俳優さんたちが12人いるが、皆さんオファーを一発で受けてくれたんです! 感激しました。 なのに、出演してくれた俳優さんたちに賞が行かないんですよね。 鶴瓶さんが持ってっちゃうから(笑)。 ローリング(エンドクレジット)は、肩書きをつけないで流したんです。 世界初じゃないかな。 そういう映画です。 ありがとうございました!」。

西川 「副賞としてお食事券を頂けるそうなので(笑)、スタッフたちと使わせてもらおうかなと思います。 どうも、ありがとうございます」。 ミシュランガイドで三ツ星のついたイタリアン・レストランのディナーご招待券なのだそう。 何人もで利用できるようなものではないみたいですね(笑)。

 司会 「以上をもちまして、『第83回キネマ旬報ベスト・テン第1位映画鑑賞会と表彰式』 を終了いたします。 尚、本日のこのイベントの模様は、2月21日の日曜日、BS−TBSの 『映画万歳』 にて放送いたします」。 受賞者全員が起立。 最後にもう一度、会場全体から大きな拍手を送ります。 緞帳が下りきるまで、拍手は続けられたのでした。

 ━━ ん? 待てよ。 さっきの司会者からの案内のところ、何気なさそうに書き流したけれど。 レポをここまで書き進めてきた今日は、2月24日。 放送のあった21日を、3日も過ぎてる・・・・!(汗) 決して、このレポのいい加減さがバレるのを恐れて、放送日の前にお知らせしなかった訳ではありませんので(笑)。 私も、観逃したのですから。 客席が暗くて、メモの字がいつも以上に読みにくかったため、レポに取り掛かる前にざっとメモ全体に目を通すのをパスしてしまったのです。 それが悪かった。 残念。 そして、拙レポをお読み頂いている方々、事前にテレビ放送のご案内が出来ず、申し訳ありませんでした。

 気を取り直して、まとめに入りましょう。 終了は、19時10分頃。 予定時刻を10分ほどオーバーしてしまいました。 岡山までの新幹線の最終は東京駅を20時30分発であり、同駅までは徒歩でも15分程度の筈なので慌てる必要はありませんが、友人と晩飯を食べようとすると、ちょっとばかり急がなければなりません。 ホールを出て、正面玄関近くの壁際で待っていると、すぐに友人がにこにこと手を振りながら階段を下りて来るのを発見。 昨年3月に高崎映画祭の会場で、私は初参加の客として、彼は実行委員として数分間立ち話して以来となります。 何と、前から2列目のかぶりつきで表彰式を見ていたのだそう。 「ディア・ドクター」 を後ろの方の席で鑑賞した後、ダメもとで前の方まで行ってみたところ、うまい具合に空席があったとのこと。  まずは、改めて招待状を当ててくれたお礼を述べた後、来る道筋では見つけられなかった安くて美味いと噂のレストランをめざします。 が、その前に。 途中にちょうど、一度食べてみたかった、タルトの有名店『キルフェボン』の銀座店があるため、寄り道してしまったのでした。 大評判の “ 季節のフルーツタルト ” は、列で私の前に並んでいた女性に最後の1ピースを買われてしまい、余り種類が残っていない中から2種類をチョイス。 保冷剤を目一杯入れてもらい、自宅へ持ち帰って、翌日の朝食にしたのでした。 普通に美味しかったものの、1ピースが600円前後もしますから、もっと感激するぐらいに舌をとろけさせてほしかった。 ここも一度で十分かな、というのが率直な感想。 購入まで10分ぐらいかかってしまい、残り時間が結構きびしいことに。 しかも、めざすレストランが一度で見つけられなかったため、別のお店へとUターン。 が、日曜の夕食時、順番待ちの客が3組もいたため、あきらめ、とりあえず東京駅へ移動することにしたのでした。

 東京では2月に10回近くも雪が降ったのだとか。 この日は快晴で、暖かいぐらい。お天気にも恵まれました。 有楽町駅のホームで、忘れない内に、と友人に、ヨコハマ映画祭のパンフレットとチラシ類を、招待状のお礼も兼ねて渡します。友人からは、この2日間で集めたチラシの束のプレゼント。 後で、新幹線に乗ってから見ていくと、昨夏の湯布院映画祭で上映され惚れ込んだ、満島ひかりちゃん主演の 「カケラ」(4月公開)や、同映画祭で試写上映される事が決まっていながら、押尾学が短い出番ながら重要なシーンに出演していたため急きょ取り止めになった 「誘拐ラプソディー」(4月3日公開)など、“ おぉ!” と反応してしまうものが何種類もあったのでした。 榊英雄監督自らが押尾の代役を務めて撮り直した 「誘拐〜」 のシナリオを担当されたのは、黒沢久子さんという女性脚本家。 映画の上映は中止になったものの、ゲストとして湯布院映画祭においでになり、同じ岡山県から毎年参加されているOさんが以前から彼女と知り合いだったため紹介してもらい、あれこれお喋りする機会に恵まれたのでした。 実は、その黒沢さん、つい先日 『ベルリン映画祭』 で寺島しのぶさんが最優秀女優賞(銀熊賞)に輝いた映画 「キャタピラー」 の脚本を執筆しておられるのです。  

キネマ旬報表彰式レポート'10(9)

  黒沢さんが若松孝二監督の映画のシナリオを書いたというのは、湯布院映画祭の後でメールを遣り取りした際、教えてもらっており、今回出品されることになったニュースを聞いて、“ あ、あの作品だ!” とピンときて注目していた次第。 それが、こんな素晴らしい栄誉に輝くなんて! ただ、残念なのは、どのニュースを見ても、脚本家の名前が出ていないこと。 私などは、監督と同じぐらい脚本家は誰なのか気になるものですが、世間の扱いはこういうものなのでしょうね。 それ故、せめて、ここで取り上げさせてもらうことにしたのでした。 尚、「キャタピラー」 は、銀熊賞を受賞する前から早々と、岡山のミニシアター 『シネマクレール』 にて秋ぐらいの上映が決定しています。 東京では、終戦記念日の8月15日頃に公開されるのだとか。 同月下旬に開催される湯布院映画祭で、上映されないものでしょうか。 若松監督の前作 「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」 は2007年の湯布院映画祭で特別試写されましたから、可能性はあるのでは。 期待して待ちましょう。

 東京駅に着いたのは、20時少し前。 食堂街を歩き回るも、適当な所がすぐには見つからず、私は駅弁を買うことにし、高崎へ帰る友人は良く知っている上野駅で食べる事にしたのでした。 別れの挨拶は、あっさりと済ませます。 なぜなら━━。 「来月、また」。 そう、昨年夏キネ旬の読者コーナーに掲載された拙文の最後に書いていたように、一度で済まなくなったため、3月下旬には高崎映画祭の授賞式に2年連続で参加の予定なのです。 今度も10分程度の立ち話で終るかもしれませんが、きっと会場で会えることでしょう。
 定刻に発車した新幹線の座席で駅弁を食べた後は、友人から貰ったチラシを見たり、ヨコハマ映画祭のパンフレットの続きを読んだり、キネ旬へ表彰式の感想を投稿するための下書きをしたり・・・。 こんな風にまとめてみました。 [ 2月7日(日)に催された今年のキネマ旬報賞の表彰式に30年ぶりで参加させてもらいました。 適度に格調高く、また程よく温かい雰囲気で、とても良かったです。 鶴瓶さん(主演男優賞)に、香川照之さん(読者賞)に、木村大作監督(監督賞)と芸達者が3人も揃い、それぞれ見せ場を作ってくれました(笑)。 中でも、トリを務めた4度目の受賞となる香川さんの、「日本魅録」での文章の上手さに負けないぐらいの爆笑スピーチときたら...! 鶴瓶さんと、どちらが噺家か分らないほどでした。 まあ、この日の鶴瓶さんは役者としての出席でしたから。 昨夏の湯布院映画祭でお話した満島ひかりちゃん(助演女優賞)は、この日の昼間に行なわれたヨコハマ映画祭の表彰式(新人賞)でのスピーチがちょうど良い練習になったのか、まずまず落ち着いた挨拶でした。 沖縄から招いた、キネ旬の愛読者でもあるお母様も、客席でさぞや喜ばれていたことでしょう。 オスカー像より重く、5kgもあるという本賞のトロフィーの重みを一番感じていたのは、ひかりちゃんだったかもしれません。 あ、勿論、受賞者の中で最も華奢だからという意味でなく(笑)。 ] 実際には、これをかなり縮めて投稿。 今年一発目の読者コーナーへの掲載となりますでしょうか。

 さて、この日の両イベントの、感想は━━。 それぞれ “ 参加できて良かった!” と素直に思える楽しさでしたし、それが2つまとまったのですから、大満足には違いないのですが、正直、昨年3月に初参加した高崎映画祭の授賞式の時のような、会場を出た後、思わずスキップしたくなるぐらいの “ 来年も来るぞ!” というワクワク感には及びませんでした。
 昨年の 『高崎』 は、舞台に手が届きそうな、前から5列目、センターの特等席でした。 今回は、双眼鏡が必要なぐらいの距離。 そして、『高崎』 と同じような内容だったため、あの時ほどのゾクゾク感はなかったのです。 もっとも昨年の 『高崎』 は、同映画祭を引っ張ってこられた茂木さんが亡くなられてから初めての開催であり、追悼の意味もあって例年以上に感動的な、ちょっと特別な回でしたけど。
 それでも、もしキネ旬の表彰式に出られなくて 『ヨコハマ』 だけだったとしても、十分な楽しさではありました。 “ 来年また、絶対に ” という程ではないにせよ、受賞者の顔ぶれによっては、2年連続もあり得るでしょう。 今回の必要最低限の経費は、約31,000円。 これで、2つの大きな映画のイベントに参加できたのですから、安いものです。 毎月1万円積み立てている 『映画祭貯金』 で十分賄えましたし。 来年も、ヨコハマ映画祭とキネ旬の表彰式が同じ日に開催されるなら、受賞者の顔ぶれに関係なく、行っちゃおうかな(笑)。
 最後に、今年の高崎映画祭について、簡単に触れておきましょう。 同映画祭の授賞式が行なわれる3月28日(日)まで、気がつけば1ヶ月ほどになっています。 ヨコハマ映画祭&キネ旬表彰式の時点では、まだ50日ぐらいあったのに。 レポートに熱中していると、日が経つのが早い(笑)。 その高崎映画祭の主演女優賞に選ばれたのは、ヨコハマ映画祭では小西真奈美さんに次いで1票差の2位、またキネ旬でも松たか子さんに次いでこれまた1票差の2位だった、「空気人形」 のペ・ドゥナです(小西真奈美さんも同時受賞)。 うまくバラけてくれたというか。 ペ・ドゥナさんが来日し高崎映画祭の授賞式に出席してくれるなら、3つの授賞式でそれぞれ別の女優を見られることになるではないですか♪ 出席してくれますように!! 頑張って前の方の席を取り(指定席制)、スタンディングオベーションでお迎えしますから。

 例によって長々と綴ってしまった今回のレポも、これで終りです。 3月末には、また、ここで 『高崎映画祭レポート2010』 を始めることが出来ますように!(笑)
                                                    (終)