TOMIさんの高崎映画祭レポート'09(第23回)

 昨年、一度は具体的に計画しながら、開催時期が例年より1週間ずれたため、他のイベントとの兼ね合い等で諦めた『高崎映画祭』の授賞式への初参加を、今年こそ叶えるつもりです。

 その年度のトリを飾る総決算の映画祭として今年で23回目を迎える本映画祭。 3月28日(土)に開幕して、4月12日(日)の最終日まで60本以上の映画が上映されます。 目玉は2日目の29日(日)の夕方に行なわれる【 授賞式 】であり、高崎は東京から新幹線で50分ほどの近距離のため、例年、受賞者の多くが出席なさっています。
今年、各賞に輝いたのは、下記のような方々。

◎作 品 賞 … 「接吻」 万田邦敏監督
           「ぐるりのこと。」 橋口亮輔監督
◎監 督 賞 … 黒沢 清  「トウキョウソナタ」
           是枝 裕和 「歩いても 歩いても」
◎主演女優賞 … 小池 栄子 「接吻」
            木村 多江 「ぐるりのこと。」
◎主演男優賞 … 仲村トオル 「接吻」

◎助演女優賞 … 夏川 結衣 「歩いても 歩いても」
            吉高由里子 「きみの友だち」
◎助演男優賞 … 豊川 悦司 「接吻」
            津田 寛治 「トウキョウソナタ」
◎新人女優賞 … 甘利はるな 「コドモのコドモ」

◎新人男優賞 … 小柳 友  「トウキョウソナタ」
            井之脇 海 「トウキョウソナタ」
◎若手監督グランプリ … 熊坂 出 「パーク アンド ラブホテル」

◎特 別 賞 … 若松孝二監督とキャスト・スタッフ一同
         (「実録連合赤軍 あさま山荘への道程」)

 HP… http://www.wind.ne.jp/tff

 地方で公開される機会の少ない単館系の作品を観てもらいたくて始めた映画祭だけに、賞に選ばれるのも、そういった作品が中心です。 また、同一部門に複数の受賞者が多いのが特長。ために、授賞式ではたくさんの笑顔に会えることに。
 何と今年は、受賞者全員が出席されるのです! ただ、特別賞の若松監督は東京で別のイベントがあるため、5名の出演俳優の方々( ARATA,坂井真紀,大西信満,地曳豪,並木愛枝 )の来祭になります。 ARATAさんと坂井真紀さんのご出席は、23日に追加発表されたばかり! 若手監督グランプリに輝いた「パーク アンド ラブホテル」(ベルリン国際映画祭で優秀新人監督賞を受賞)の熊坂出監督は昨年5月、本作が岡山で公開された際に舞台挨拶を行なってくれた方。  昨年の受賞者の皆さんには失礼ですが、私にとっては今年の顔ぶれの方が断然豪華に思えます。 特に、女優陣が(笑)。 結果的に、初参加が今年になって本当に良かった。 でも、総勢20名が舞台にずらりと並ぶと、端の方の席の客は、反対側に位置する受賞者の方たちが見えにくくて仕方ないのでは(笑)。

 一つ、残念でならないのが━━。 昨年まで事務局の代表を務められ、“ 映画祭の顔 ” ともいうべき存在だった茂木正男氏が、昨年11月にお亡くなりになり、とうとう、生のお姿を見られなかったこと。 2006年に転勤し現在高崎に在住している友人は氏と知り合いだったので、初参加の折には紹介してもらい少しだけでもお話してみたいと願っていたのですが。 茂木さんは2004年の暮れには高崎市内にミニシアターの 『シネマテークたかさき』 をオープンさせられました。 入場して映画を観るほどの時間はないですが、外観とロビーの辺りだけでも見学しに訪問してみるつもりです。
 そういえば同様の悔いは、2005年の 『ゆうばり映画祭』 初参加の際にも感じたものでした。 映画祭を立ち上げた名物市長・中田氏の開会式や閉会式でのパフォーマンスをこの目で見たいと念願していたのに、その1年半前に、やはりお亡くなりに。 遠方の映画祭への参加は、行きたいと考え始めてから実現までには、どうしても5年ぐらいはかかってしまいます。 これからは、なるべく早く決断して、“ ひと足遅かった ” という事のないようにしていかなければ!

 高崎市は全国でも珍しい “ オーケストラのある街 ”。 だからこそ、映画祭もこれだけ続いているのでしょう。 文化を応援するため群馬県の経済人たちは、何の特典もないのに(チケットの贈呈もなし)、約100社もが毎年、映画祭へ寄付してくれていると聞きます。 俳優の香川照之さんは2年前の本映画祭の主演男優賞を 「ゆれる」 で受賞。 氏が 『キネマ旬報』 に大好評連載中の 「日本魅録」 にその時の事を熱く語っておられました。 【 高崎映画祭はハムはおろか、ビール、煎餅、おぼろ豆腐、ヨーグルト、甘納豆、水沢うどん、金粉入り焼酎、そして受賞者の名前入りの真っ赤なダルマに、何と賞金までくれるのだ。 こんな、太っ腹な映画祭が他にあるものか。( 「日本魅録」より、こっそり転載 ) 】 と。 壇上にずらりと並んだ受賞者たち全員が満面に笑みを浮かべながらダルマを抱えている姿を早く生で見たくてたまりません。

 友人とは、2007年に一緒に参加した 『湯布院映画祭』 以来となります。 あの年の彼のお目当ての一つが、試写上映された 「連合赤軍」 でした。 同作は今回、特別賞に輝き、2007年の 『湯布院』 にも来場してくれた俳優たちがおいでになる場で友人に再会できるのも、映画が結ぶ縁だと言えるでしょう。  転勤族の友人は早ければ今年か来年ぐらいには、新しい赴任地へ越して行くかもしれません。 “ 高崎にいる内に是非! ” と考えたのが、初参加に踏み切る良いきっかけとなったのでした。 彼は、昨年・今年と映画祭のボランティアスタッフを務めてくれています。 スタッフたちが一番忙しいのが授賞式の行なわれる日でしょうか。 私は当日の昼頃に現地入りして、式が終り次第、その夜の内に東京まで戻る予定。 友人とは昼食ぐらい共にしたいのですが、どうなりますやら。 まあ、会場のどこかで立ち話ぐらいは出来るでしょう(笑)。 受賞式後には、ボランティアスタッフたちを労う打上げが行なわれる模様。 受賞者たちも出席されるのでしょうか。

 ところで、夕方から始まるこの授賞式に入場するため、一昨年までは皆さん当日の早朝から行列されていたそうなのです。 7時か8時に並んでも、確か10時頃に配布される整理券を入手できるかどうかぎりぎりだったとか。 それが昨年から、指定席券が販売されるように変更。  3月の末とはいえ早朝は冷えます。 仲間と交代で並ぶならともかく、独りだとかなり辛いものがあるため、嬉しい改善でした。 昨年、一度は参加を決心し準備を進めていた頃には指定席券方式への変更は発表されていませんでしたから、前夜は高崎のホテルに泊まり、朝5時頃から行列しなければ、と覚悟していたものです。
 そういう苦行を思えば、チケットの発売日に、地元プレイガイドの窓口が開く2〜3時間前から行列するぐらい大した事では....。 が、その3月7日(土)は早朝から9時まで仕事。 終って、【 チケットぴあ 】の窓口に急行すると、幸い、人気のコンサートチケットの発売日等にはなっていなかったようで3番目に受け付けてもらうことが出来たのでした。 そして無事、授賞式の指定席券の購入に成功! 10時に発売が開始されて、11時30分頃には完売したようです。 私は5列目の42番。 3列目までは販売が行なわれない席でしたので(警備のための空席か、関係者席?)、実質は2列目。 ただ....、かなり端だ(笑)。 舞台にずらりと並ぶ受賞者の向こう端辺りの方たちがよく見えないかもしれませんが、こんな前の席ですし、とにかく入場できるのですから、文句はありません。 式の前には、作品賞に選出された 「ぐるりのこと。」 が上映されるので、それとのセット券になっています。 尚、映画の上映前に入っておかないとダメで、授賞式のみの入場は認められていない模様。

 授賞式は雰囲気がとても温かく、受賞者たちは口を揃えて 「また来たい!」 と切望するのだそう。 それは、観客たちも同じ。 地元の人なら毎年入場することも可能でしょうが....。 岡山からだと簡単に行ける距離ではないので、来年も行きたくてたまらなくなるほど楽しすぎませんように。 それか、“ もう最高! これ以上に盛り上がるなんてないだろうな ” というぐらいの至福体験をさせてもらい、今後は参加しなくても我慢できるようにしてくれますように(笑)。
 出発の28日まで、あと2日!

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高崎映画祭レポート09(1)

  まずは、出発前の書込みの最後の辺りをお読み下さい。 ━━ なかなか計算通りにはいかないものです。 来年も参加したい!(笑)

 いつも前段階の長いのが拙レポの悪い所なので、今回はいきなり授賞式から始めてしまいましょう。 会場は、高崎駅から徒歩10分ちょっとの群馬音楽センターです。 昨年まではキャパ700席ほどの文化会館で行なっていましたが、改装工事で使用できないとかで今年は1900席以上もある所へ変更。 それが、指定席はもちろん自由席券までもがソールドアウト! 何しろ23回目にして初めて、受賞者全員が出席されるのですから。 しかも総数が、20名にもなるのですから!

 客席の前3列は関係者席にされており、5列目という私のシートは実質的には2列目。 その上、嬉しい見込み違いで、42番はど真ん中だったのです! 客席は扇状に広がっているため、5列目の席番は左端が1番でなく21番から始まっていたのが、予想と大きく食い違っていた理由。 ネットでは、詳しい座席表を検索できていなかったのです。 一応持参した双眼鏡は、早々とお役御免になることが決定(笑)。

 17時20分頃、場内が暗くなり、オープニングセレモニーがスタート。 受賞者の方々が出演された映画の一場面の音声が、短く次々に流されていきます。 終ると、ミラーボール風に光が乱舞して、照明がだんだんと元通りに。 舞台左手には、司会を担当する地元ラジオ局の女性アナウンサー。 「すっかり春の風物詩となった」と本映画祭を紹介します。
 ご挨拶はまず、映画祭の運営委員長である大宮 登 氏から。 舞台の両脇には、ミニシアター並のスクリーンが設置され、後方や端の客のため、登壇者を大きく映し出すようになっています。 「これだけたくさんのお客様においで頂き、感謝しています。 市民が選び、市民が鑑賞する、全国でも珍しい高崎映画祭。 今年は一つの分岐点を迎えました。 映画祭を生み、育ててきた茂木さんが昨年11月に他界・・・・。 存続を危ぶむ声も聞こえましたが、こうして、これまで以上の映画祭を開くことが出来ました! より質の高い映画祭にして、守り続けていく事が、茂木さんへの餞(はなむけ)でしょう」
 続いてマイクの前に立たれた松浦市長も、「スタッフの先頭を走っていた茂木さんがお亡くなりになりましたが、遺志を受け継ぐ人たちの力と、天国から見守る茂木さんによって、映画祭はなお発展していくに違いありません」 と締めくくられました。
 いよいよ受賞者の登場かと思いきや、その前に、受賞対象となった各作品の予告編がかけられます。 納得の演出。 8本分が流され終ると、照明を落とし気味にした状態で、スタッフが20人分のパイプ椅子を舞台上に横一列で並べます。 真ん中をちょっと空けて、10脚と10脚。
 さあ、今度こそ受賞者たちが1人ずつ、右の袖から出てこられます! 特別賞の「連合赤軍」組から。 若松監督はやはりご用事のため欠席ですが、代わりに俳優が5人も! トップバッターはARATAさん。 拍手に迎えられ、スーツ姿でのご登場です。 胸には、花をあしらった本授賞式用の特製ブローチが。 これは、全受賞者が服のどこかにつけるもの。 拍手が鳴り続ける中、舞台を横切って、反対側の端にある椅子に腰を下ろされます。 次の大西信満(しま)さんも、スーツ姿。 その後も男性の受賞者は皆さん、上着を着用され登場されたのでした。 ネクタイを締めておられたのは半数ぐらいだったでしょうか。
 3人目は、ポニーテールにした坂井真紀さん。 黒のミニスカワンピです。 私の右隣の席の女性2人組から 「かわいい♪」 の声が上がりました。 岡山ではようやく4月に公開される彼女の主演作、『映画芸術』 ベストテン第1位の 「ノン子36歳(家事手伝い)」 を早く観たい!
 次が地曳(じびき)豪さんで、「連赤」 組の最後5人目は、短めの白ワンピの並木愛枝(あきえ)さん。 昨年も本授賞式の舞台に立たれた女優ですが、それに関しては後でもう少し詳しく触れる予定です。    

高崎映画祭レポート09(2)

 若手監督グランプリ 「パーク アンド ラブホテル」 の熊坂 出 監督が、6人目。 最優秀新人男優賞は 「トウキョウソナタ」 で兄弟役を演じた2人が受賞しました。 弟役の井之脇 海(かい) くんは、4月から中学2年生。 随分と背が伸びています! スーツ姿が全然おかしくありません。 顔はまだ幼さを残したままですが。 8人目は、その兄役の小柳 友(ゆう) くん。 最優秀新人女優賞に 「コドモのコドモ」 で選ばれた甘利はるなちゃんは、小学校を卒業したばかり。 学生らしく制服姿です。 映画で観たのと同じく、小っちゃいまま。 井之脇くんと違い、撮影時から大して身長が伸びていないみたいです。

 10人目は 「トウキョウソナタ」 の津田寛治さん。 やっと左半分の席が埋まりました(笑)。 津田さんと同じく最優秀助演男優賞を受賞したのが、「接吻」 の豊川悦司さん。 ひと際大きな拍手と歓声が送られます。 メガネを着用し、髪は役に合わせているのか白髪まじり。 第一章・第二章とも未見なのではっきりとは分りませんが、「20世紀少年」最終章 のためのもののようです。
 最優秀助演女優賞の1人目は、生で見られるのを楽しみにしていた吉高由里子ちゃん。 対象作品は「蛇にピアス」ではなく、「きみの友だち」です。 ファッションショーかというような派手な衣裳に、場内から “ らしいな ” のどよめきが。 緑色の大きな花を髪に飾り、裾がふわりとふくらんだパンタロンドレス姿。 白地に青色を主にした模様が入っており、肩から先を露出しています。 ミニスカートでないのが、ちょっと残念(笑)。 もう1人は、「歩いても 歩いても」 の夏川結衣さん。 程よくドレッシーな黒のワンピです。

 白のスーツ姿で登場し、豊川さんに負けず場内を沸かせたのは、最優秀主演男優賞に輝いた、「接吻」 の仲村トオルさん。 偶然にも白つながりとなったパンツルックだったのが、この授賞式の前に上映された 「ぐるりのこと。」 で最優秀主演女優賞を贈られた木村多江さんです。 髪型は、きりりとリーゼント風。
 白の衣裳が連続した後だけに、もう1人の主演女優賞受賞者、「接吻」 の小池栄子さんの赤いドレスは、一層鮮やかでした! 胸元も適度に空いており、ためにお辞儀もちょっと浅め(笑)。 俳優は以上で、残る4席はいずれも監督が座られることになります。

 最優秀監督賞を受賞されたのは、お2人。 「歩いても 歩いても」 の是枝裕和監督、「トウキョウソナタ」 の黒沢清監督の順に拍手を浴びられました。 最優秀作品賞は 「ぐるりのこと。」 と 「接吻」 の2作品。 橋口亮輔監督が19人目、万田邦敏監督が最後の20人目として登場され、席につかれます。 ここまで見ただけで、もうほとんどお腹いっぱいかも(笑)。 いや、壮観です。 嬉しくて、自然と口元が緩んできます。

 早速、賞の授与へ。 通常と順番を変え、まずは取り急ぎ、黒沢清監督に最優秀監督賞が渡されます。 実は、他にご用事がありながら無理して来祭して下さったのです。 お蔭で全員出席という快挙が達成されることに。
 まず賞状から。 運営委員長の大宮氏が読み上げる文面を耳にして、びっくり。 どうやら、受賞者一人ひとりに合わせた内容のものが作られているようなのです。 その通りなのが、この後の2人目の表彰ではっきりと判明。 全部の表彰文をご紹介したいのは山々なのですが、私のメモ能力ではとてもそこまでカバー出来ないので、泣く泣く諦めました。
 賞状を受け取られると、脇に控えるスタッフの女性がすぐ預かり、次にトロフィーと程よい大きさの特製花束も同様にされます。 花束贈呈は、来賓や協賛企業の方が順番に務め、トロフィーは実行委員のどなたかが渡された模様。 最後に “ 高崎映画祭の名物 ”、当地の特産品であるダルマが贈られます。 それを抱いたまま舞台をちょっとうろうろする黒沢監督の姿が微笑ましくて、客席からはつい笑い声が。  ダルマを体の前で持った監督からご挨拶をいただきます、「所沢に夜8時までに行かなければならないので、このまま出て行かせてもらいます。 自宅には高崎映画祭のトロフィーが4本あるんですが、死ぬまでにあと何本ぐらい貰えるのか楽しみでなりません(笑)。 出演してくれた津田さん・小柳くん・井之脇くんと一緒に受賞でき、とても嬉しく思っています。 『トウキョウソナタ』 はちょうど1年前ぐらいに仕上がりまして、すぐカンヌ映画祭に出したんですね。 そこからスタートして、ここ高崎で締めくくったことになります。 こうして何度も来られるのは、天国の茂木さんのお蔭。 どうもありがとうございました!」  拍手に送られ、ダルマと共に黒沢監督が退場していかれます。 無事、間に合いますように!

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 ここからは、舞台に登場してこられた順番での表彰となります。 「連合赤軍」 組の5人が中央へ。 賞状とトロフィーは、男優たちから前へ押された並木さんが受け取られ、スタッフへ。 花束は5人全員に贈られます。 先ほど黒沢監督にはダルマも渡されましたが、これはご用事ですぐ帰られるからであり、本来は式のラストで贈呈されるもののため、以上の3つで終わりです。
 ARATAさんからマイクの前に立たれます、「高崎映画祭へは3度呼んでいただきました。 今回特別賞を貰えたのも、茂木さんのお蔭です。 僕らも走り続けるので、天国から見ていて下さい」  大西さんは、「緊張感のある現場でした。 今日は本当にありがとうございます」  真面目というかちょっとかたい表情の男優陣と対照的に、坂井さんは笑みを浮かべながら挨拶されます、「素晴らしい映画祭だと聞いていたので、今日はこうしてここに来られて、とてもとても嬉しいです。 撮影中は、上映館が見つかるのか心配していましたが、たくさんの方に観てもらえて何よりでした」 最後に「ありがとうございます」と頭を下げるところで、おでこがマイクに激突(笑)。 恥ずかしそうに小走りで後ろに下がる彼女が、とてもとても可愛かったです。
 4人目は地曳さん、「映画という形で描かれましたが、あの事件では実際に多くの人が亡くなられています。 そういう方たちにお悔やみの気持ちを送りたいと思います」  最後の並木さんは昨年、最優秀助演女優賞を受賞されましたから、2年連続での来祭、「1年前に 『14歳』 でこの授賞式に参加させてもらい、“ 絶対また来るぞ! ” と誓っていたら、今年もこうして舞台に立つことが出来ました。 『連合赤軍』 は命を賭けたような撮影だったのですが、その同士たちと一緒に来られたのが何より嬉しいです。 天国の茂木さん、また来たよ〜! ありがとう!!」 ホールの天井を見上げながらの呼びかけが、胸にぐっときました。 そういえば並木さんは、2007年の湯布院映画祭に本作のゲストとしていらっしゃった時も、パーティーで感動的なスピーチをされたものです。 5人からの挨拶は、特に順番を打ち合わせた訳ではないでしょうが、結果として大正解となりました。

 若手監督グランプリの熊坂 出 監督、「映画のキャスト・スタッフ、映画祭の実行委員の方々、客席の皆さん、そして、お会いした事はありませんが、茂木さんにも “ ありがとう ” と言いたいと思います。 錚々(そうそう)たる受賞者の方々と同じ舞台に立て、恐れ多いですが、有難いことです。 また、どうしても作りたい映画を完成させた時に、その作品で参加したいです」

 新人男優賞の井之脇海くんは、予想通りの初々しい挨拶、「ステキな賞をいただき、ありがとうございます。 ここまで来られたのも、黒沢監督、スタッフ・キャストの方々の支えがあったからだと思います」
 同賞のもう1人は、小柳友くん。 読み上げられる表彰状を、何度も頷きながら聞く仕草の微笑ましさに、客席からは笑いが。 「どうも。えっと・・・・」 つまれば、すかさず拍手がフォロー。 「カンヌにも行かせてもらい、高崎にも! この役をもらえて、本当に良かったです」 映画の役とは違い、何だかお笑い系の雰囲気。 ここで「実は、吉高さんとは小学校の同級生なんです」と衝撃の告白(笑)。  振り向いて彼女を見る小柳くんに、吉高さんは笑いながら “ し〜っ ” のポーズ。 そういう彼女と一緒なのが照れ臭くて3枚目みたいになっているのでしょうか。 「もう今日は何でも喋っちゃいますが、僕はブラザートムの息子です」 知らなかった客たちからの驚きの声。 「20年間、2世だと言われるのがずっと嫌でした。 こうやって賞に選んでくれ、自分自身を見てもらえてるんだなと教えてくれた高崎映画祭。 重い賞です!」 泣けてきそうになったのか、ちょっと顔がゆがみます。 「賞に恥じないような演技をしていきますので。 尊敬する父に、愛する母に、感謝します!」
 彼は、この翌日から始まったNHKの朝ドラ 「つばさ」 に、主人公つばさ(多部未華子 *2007年に本映画祭の最優秀新人女優賞を受賞)の幼なじみ役で出演中。 今度はどんな小柳友を見せてくれるのでしょうか。

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 今までも、受賞スピーチの際には、スタンドマイクの高さを調整するためスタッフがその都度、袖から登場してきていました。 また、両脇のスクリーンには受賞対象作品のポスターやスチール写真が映写されていたようです。

 新人女優賞の甘利はるなちゃんは、ここ群馬県の出身。 「こんばんは。 地元の映画祭で賞をもらえて、嬉しいです。 監督を始め、たくさんの方に支えてもらったお蔭です。 『コドモのコドモ』 はシネマシンジケートの上映作品に選ばれ、高崎でも公開されて多くの人に観てもらうことが出来ました。 感謝の気持ちを忘れず、これからも頑張ります。 それから、群馬のPRにも務めていくようにします」  自分の娘に送るような拍手が鳴り響いたのは、言うまでもありません。

 助演男優賞の津田寛治さん。 マイクの前で掲げながら、「生まれて初めてトロフィーというものを貰いました。 重くて、そして、持つと何だか温かいです。 高崎ならでは、なんでしょうね。 参加したくてたまらなかった黒沢組に参加でき、幸せの中で終った現場でした。 素晴らしい高崎映画祭の賞を貰ったこと、一生忘れません。 これで一生俳優をやっていけます! 賞に背中を押されたような感じだなぁ。 恐れず、これからもっともっと変わっていきますので!」

 さて、真ん中から左半分の椅子に座る方々の受賞シーンを紹介し終わりましたので、ここらでちょっとコーヒーブレイクを(笑)。 というか、音楽センターへ入場する前、表で行列するところから式の始まるまでを、この辺りでレポしておきましょう。
 開場時刻は13時45分。 私は指定席券を持っているため並ぶ必要はないのですが、早めに入場してパンフを購入しロビーで主な箇所に目を通しておきたかったし、指定席券が販売されていなかった一昨年まで式に参加する皆さんが早朝から何時間も行列されたご苦労の何分の1かでも体験したくて(笑)、約30分前に到着し、まだ十数人しかいない指定席券の列についたのでした。 自由席の方はくねくねと蛇行して、すごい列になっています。 この時点で300〜400人ぐらいはいたでしょう。 開場時には、少なくともあと100人は増えていたのでは。 指定席の列も、私の後ろに数十人が・・・。 上州は、からっ風も名物の一つ。 快晴ながら真冬並みの冷え込みの中、何度も強風に襲われ、思わず背中を向けてしまいました。 ボランティアスタッフが何人も整理に当っており、その中に友人の姿がないか捜しましたが、「席まで訪ねていきます」 と言っていたように持ち場は別の所みたいで、彼を発見することは出来ません。

 時間通りに開場となり、ロビーへ入ると、まずはパンフ売場へ直行。 「5部ください」 と言うと、女性スタッフはちょっと驚かれたようです。 このパンフはA4サイズで映画祭のものにしては大きい方。 広告頁も入れて50ページ弱です。 映画仲間へのお土産にもう少し多くの部数を買いたい気持ちはあったのですが、バッグの中でスペースを取るし、重くなるので、これだけに抑えました。 ロビーのソファで目を通していくと、じ〜んとする文の連続で、一気に気分が盛り上ってきます。
 いよいよ、ホール内へ。 キャパ1900席以上ですから、さすがに大きいです。 階段を何段も降りて、5列目の42番へ。 前3列は関係者席になっています。 42番は通路脇から3番目の席で、やはりほぼド真ん中! ただ、狭いです。 席の幅も、前後の間隔も。 足を組むなど、もっての外(ほか)。 姿勢よく腰かけると、そのままほとんど身動きがとれません。 最近オープンした新しい施設かと勝手に思っていましたが、全くそうではないみたいです。 でも、舞台との距離は近いです! 一応持ってきた双眼鏡は、バッグの中に眠ったままとなったのでした。

 授賞式の前には、最優秀作品賞を受賞した 「ぐるりのこと。」(橋口亮輔監督) の上映。 授賞式だけの参加は認められておらず、この時点から入場していなければなりませんから、眺めた範囲で、関係者席以外に空席は見つけられません。 予定通り14時30分に上映開始━━。  

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 「ぐるりのこと。」 は勿論、公開時に岡山のミニシアターで鑑賞済みの作品です。 橋口監督の前作、2002年の 「ハッシュ!」 はその年度のダントツのマイ・ベストワン。 が、「ぐるりのこと。」 には、どうも乗れず・・・・。 主演の2人、木村多江さんとリリー・フランキーさんの演技はなかなかに思えましたし、演出も見事ですが、物語にしっかりと入り込めなかったのです。 でも、再見すれば評価の変わる映画もありますから、今日はちょうど良い機会。

 結果は。 木村さん演じる翔子が精神的に病んでいる間の彼女の言動には、やはりどうにも感情移入できず。 初見時以上に観ているのが嫌になりましたが、そういうとき無意識に居眠りに逃避してしまう私には珍しく全く眠くはならず、翔子が回復してくる辺りまで辿り着いたのでした。 すると、そこからラストまでの間に、なぜだか理由のよく分らない涙が1度ならず込み上げてきそうに。 2度目を観た甲斐があったと言って良いでしょう。
 映画が描かなかったその後━━。 劇中で、亡くなった赤子の寝顔を・・・、妻の翔子の寝顔を、スケッチしたカナオ(リリー・フランキー)。 ラストから数ヶ月後には、今度は赤子を抱く妻の笑顔を描くことになったのではないでしょうか。 それにしても、リリーさんはいいなぁ。 こんな男になりたい! これからもコンスタントに映画に出てくれますように。 エンドロールを眺めながら、そんな事を思ったりなど。  そして当然、決めていました。 役の翔子にはちょっと敬遠したい部分があったけど、演じた木村さんに・・・、初見時以上に素晴らしかったリリーさんに・・・、“ 何より、高崎映画祭に! ” の気持ちで、クレジットが流れ終った瞬間、スクリーンに拍手を送ったのでした。 映画祭に参加した時の習性でもあるのでしょうね。 狙った訳ではありませんが最初の1人で叩く結果となり、初参加の良い記念になりました(笑)。 もちろん周りの方も続いて下さり、すぐ場内全部へと広がったのでした。 いま振り返ると、これが、この日何十回となく響き渡ることになる拍手の最初の1回だったのです。

 休憩になるや、すぐ立ち上がりロビーへ。 座席が狭くて体の向きを変えることも出来ず、お尻が痛くてたまらない状態になっていたのです。 2時間20分の長編でしたから、尚更。 ロビーで壁にもたれ色々とメモしている時も、同様の声が周囲から聞こえてきました。  女性用トイレは長蛇の列。 私も、席に戻る前に男性用に向かおうとしていたら、「あ、いたいた!」 と肩を叩かれます。 そう、友人が私を発見してくれたのでした。 他の男性スタッフと同じく、彼もスーツ姿。 式の後には、ボランティアスタッフたちの慰労を兼ねた受賞パーティーも控えていますからね。 席まで行ったものの私がいなかったので、探しに来てくれたのでしょう。 「パンフ売場のスタッフに、5冊買った人がいるか訊いたら、『いました』 って言っていたんで、来てるのは間違いないと思ってたんだけど(笑)」
 男子トイレも行列になっており、彼には外の公衆トイレまで案内してもらったのでした。 お土産にと渡されたのは、東京の映画館通いで集めてきた何十枚ものチラシと、映画祭に協賛してくれているお店のラスク(お菓子)。 有難く頂戴しました。 今まで別の場所での作業に携わっており、これからもまだ色々あるので、授賞式は見られないかもしれないのだとか。 「もしそうなったら、レポでどんな様子だったか読ませてもらうんで」 と握手でお別れ。 私が、いつも以上にレポ用のメモに熱中したのは言うまでもありません(笑)。  そして、冒頭のオープニングセレモニーへと続く訳です。

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 お待たせしました! 授賞式の後半を始めましょう。 壇上の右半分の椅子の真ん中側の端の席から立ち上がられたのは、「接吻」 の豊川悦司さん。 もう1人の 【 助演男優賞 】 受賞者です。 「あの〜、あれなんですよ。 かなり嬉しくって(笑)。 難しいあの役でこういう評価をされ、いっそう喜びが募っています。 今回、監督もメインキャストも皆が賞を受けました。 一緒に舞台に立てている事が信じられないぐらいです。 高崎は何が違うんだろう? この温かさは何なんだろう。 いつまでも続いてくれることを祈っています」

 助演女優賞の1人目は、スピーチがちょっと心配な吉高由里子ちゃん(笑)。 サプライズで 「きみの友だち」 の廣木隆一監督から寄せられたお祝いコメントが司会の女性によって代読されます、「貴女に再会したかったし、(副賞の)ハムも貰いたかったので高崎まで行きたかったのですが、残念。 『きみの友だち』 で一番最初にキャスティングが決まったのが、吉高でした。 よく頑張って演じてくれました。 ありがとう。 そして、おめでとう。 茂木さん、ありがとうございました」
 賞状やトロフィーを受け取るときは横を向きますから、彼女の肩から背中にかけての露出具合がはっきり確認できました(笑)。 それほど大胆な服のラインではありませんでしたが。 「さっきの監督からの手紙で、言う事が全部ふっ飛んじゃいました(笑)。 今まで貰った事のあるのは新人賞ばかり。 今日は初めて助演賞の枠に入れてもらいました。 新しい枠に入るということは・・・・、“ 分ってんだろうな、自分!? ” と背中を蹴られた感じがします。 頑張らないと」  最後はなぜか囁くような小声で、「今日は、ありがとうございました」  こんな風にした方が、より明確に喜びが伝わってくることもあるんですね。

 もう1人は、「歩いても 歩いても」(是枝裕和監督) の夏川結衣さん。 「ありがとうございます。 嬉しいです。 数年前に呼んで頂いた時も、是枝監督と一緒でした。 監督とはこれが3度目のお仕事。 試されているような気もしましたが、心に残る夏となった撮影でした。 そして、宝物のような映画になりました。 実は前回授賞式に来させて頂いた時に、体の調子が悪くって、式のあと倒れてしまったんですね。 その際、すごくお世話してもらって。 この場を借りて、あの時のお礼を述べさせてもらいます。 最後に、茂木さん、お疲れ様でした」

 主演男優賞は、「接吻」 の仲村トオルさん。 「ありがとうございます。 知らせを聞いた時は、正直とまどいました。 俺って、主演かなぁ? リリーさんでなくていいのかなぁ(笑)。 万田監督、小池さん、豊川さんが各賞に選ばれ、俺ひとりだけ除け者だと可哀相なので、下さったのかなぁ。 『接吻』 組の皆さんと一緒に登壇できたのが何より嬉しいです。 危うく万田組のディカプリオになるところでした(笑)。 『キネマ旬報』賞の投票でも、1人だけ主演賞に入れてくれた選考委員がいまして、その人も高崎さんだったんですね(笑)。 これからは高崎って名前のつく何かに出会うと、ニコニコしてしまいそうです」

 主演女優賞のお1人目は、さっき観たばかりの 「ぐるりのこと。」 の木村多江さん。 その綺麗で色っぽい声には、「笑っていいとも!」 のタモリさんもメロメロになっていましたが、今日は風邪気味なのか少しかすれたようになっており、ますます色っぽさを増しています。 「このような素晴らしい賞をいただき、とても嬉しいです。 毎日、現場で監督から 『ダメだ、ダメだ』 と言われ、自己嫌悪に陥っておりました。 現実でも自己嫌悪の連続で━━。 でも、この賞を貰って、俳優としての第一歩を踏み出せたような気がしています。 原点を忘れず、頑張っていきたいです。 あの、ここには親戚もいて・・・、会えたりして、嬉しかったです。 こうして皆さんとお会い出来たご縁を大切に、またいつかお会い出来たらな、と思います」  

高崎映画祭レポート09(7)

 もう1人の主演女優賞は、「接吻」 の小池栄子さん。 「こんな名誉な賞を頂き、感激しています。 役を与えてくれた万田監督、キャスト・スタッフの皆さんのお蔭です。 現場で引っ張っていってくれた豊川さん、仲村さんに感謝します。 この役、始めは ” とても出来ません ” とお断りしたんです。 でも、自分の可能性を狭めてしまうのでは、とチャレンジしてみる事に。 恐かったけど、やってみて、本当に良かったです。 客席の皆さんは、私が賞を貰った証人ですから、これからも厳しい目で見守っていて下さい!」

 監督賞を同時受賞しトップバッターとして表彰を受けた黒沢監督は、今頃は所沢へ向かわれている最中の筈。 今度は、「歩いても 歩いても」 の是枝裕和監督の番です。 「この映画祭は特別な映画祭で、デビュー作から温かく見守ってもらいました。 ずっと見てもらっているというのは、嬉しい事なんですね。 『ワンダフルライフ』 でここへ呼ばれた時には、客席のその辺りに両親が座っていました。 『ディスタンス』 の時には父が亡くなっており、母だけ。 その後、母も亡くなりまして...。 見つめてくれる人は、時と共に変わっていくものなんですね。 茂木さんもいなくなってしまい━━。 それでも、観客の皆さんに支えられて、またここへ帰ってこられるような映画を作っていこうと思います」

 作品賞の1本目は、「ぐるりのこと。」。 橋口亮輔監督です。 「先ほど夏川さんもおっしゃってましたが、この映画祭は気配りが凄いんです。 この間も、キュウリをダンボール1箱送ってもらいまして(笑)。 とても美味しいんですけど、さすがに1箱はなかなか消化できません。 毎日食べて、また近所の人にも貰ってもらい、昨日ようやく食べきりました。 この 「ぐるりのこと。」 では幾つかの映画賞を貰いましたが、中には嫌な緊張感の映画賞もあるんですね。 こんなリラックスして温かい気持ちになれるのは、ここならでは。 「ハッシュ!」 で作品賞を貰った6年前、病気(確か鬱病)で授賞式には来られませんでしたが、ダルマが届けられたので、片方の目に墨を入れました。 「ぐるりのこと。」 を完成させるまでの約5年間、途中でダメだと投げ出しそうになる時もありましたが、“ ダルマのもう片方に絶対目を入れるぞ! ” との思いで、頑張ってこれました。 そして、編集が終わった時、墨を入れました。 感謝しています。 主演の木村さんは、それまでの自分の人生を、全身全霊で差し出してくれました。 僕ならとても出来なかったことを、彼女は見事に、潔く投げ出してくれたんです。 今日は、その木村さんと一緒にこうして舞台に立て、嬉しくてなりません。 キュウリ、美味しかったです」
 後ろで椅子に座る木村さんは、きれいな手で涙を拭い、お隣の小池さんまでもが泣いています。 それを目にした私の視界も、一瞬で滲んでしまったのでした。

高崎映画祭レポート09(8)

 トリの20人目に表彰されるのは、同じく作品賞を 「接吻」 で受賞した万田邦敏監督。 「こういう場所で挨拶するのは、そう苦手ではないのですが、今日は、順番がだんだんと近づいてきたので、ちょっとドキドキしています。 メインキャストのみんなと一緒に受賞でき、嬉しいです。 長編第1作の 『UNLOVED』 で若手監督グランプリを貰いましたが、当時もう45歳ぐらいで、若手じゃありませんでした(笑)。 茂木さんにはその時お会いしまして、今日またここへ来られ、今まで茂木さんやこの映画祭に見守られてきたんだなと感じました。 そもそもの企画を立て、監督を任せてくれた仙頭プロデューサーに感謝します。 共にシナリオを書いた、妻の珠実にも。 これからも、面白い異色の映画を作り続けていきます」

 以上で、表彰は終わりました。 あぁ、もう、楽しくってたまりません! 舞台の “ 彼女 ” も、そうだったのかも。 イベントの締めくくりは、この映画祭の看板と言ってもいいダルマの贈呈式です。 受賞者には、花束を椅子に置いて、3〜4歩客席の方へ近づき、横一列に並んでいただきます。 贈呈者である来賓や協賛企業の方々19名が袖からぞろぞろダルマを手に出てきて、客席にお尻を向け、受賞者と向かい合う形に。 せ〜の、で一斉に受賞者の名前の書かれたダルマが手渡されます。 大拍手! 19名がまた、ぞろぞろと退場していくその向こうで、ダルマを何度も嬉しそうに振っているのは、誰?! 壊れちゃうよ。 あぁ、吉高、きみか。 なら、仕方ない(笑)。

 ここで、マスコミによる写真撮影。 受賞者には、横一列のまま真ん中に寄ってもらいます。 じっくりと女優陣を鑑賞することが出来ました。 目の保養、目の保養。 それにしても、20名とは・・・・!(現時点では19名ですが) 一クラスの半分(笑)。 茂木さんを偲んで、全員が出席してくれたのでしょう。 つくづく、良い年に参加したものです。その代わり、出発前の計算が大きく狂ってしまいましたけど。
 撮影タイムも終了。 受賞者の皆さんが、鳴り響く拍手に送られ、右手の袖に消えていかれます。 最後の 「連合赤軍」 組の皆さんは特に礼儀正しく、5人ともが袖の所で客席にきちんと一礼。

 あぁ....、終わっちゃいました。 20人もいたら、予定時間をかなりオーバーしたのでは、と思いきや、ほぼスケジュール通りの19時前の終了。 友人とは、式の後はもう会えないだろうと休憩時間に挨拶済みですから、まっすぐ出口に向かいます。 といっても、席が前方だった分、なかなか出入口まで辿り着けませんが。 もし通路が混んでなかったとしても、なるべくゆっくり歩を進めたに違いないでしょう。 ここから立ち去りたくなくて。 手が痛くなるぐらい拍手できて、満足。 指が痛くなり、手首がプチ腱鞘炎になりそうなほどメモに追われて、大満足(笑)。

 それにしても━━。 生前の茂木さんにお会い出来なかったのが、ますます残念に思えてきます。 そんな私に、氏が残した 『高崎映画祭』 のために出来る事といえば、これから1回でも多く参加すること。 来年も来るに当っての、良い理由づけが出来たぞ(笑)。 半分は、真面目にそう思っているのですが、あと半分はとにかく今回の初参加での “ ワクワク & じ〜ん ” 体験が一発でクセになってしまって。 それに何と言っても、3月は [ 青春18きっぷ ] が使えますからね。  そう、岡山から高崎まで行きも帰りも私が得意とするこの切符を使っての2泊3日の旅だったのです。 食事代を別にすれば、ビジネスホテル2泊分を含めてもちょうど2万円ほど。 これぐらいで行けるなら、“ また! ” という気になってしまうのも仕方ないでしょう。 それに私の場合、こうして後からレポで何日でも楽しむことが出来ますしね(笑)。

高崎映画祭レポート09(9)

 ようやく、外へ。 冷え込んでいます。 上野行き快速電車の発車時刻には余裕がありますが、ダルマを貰った由里子ちゃんがじっとしていられなかったように、つい小走りに。 2〜3分で、茂木さんが中心となってオープンさせられたミニシアター 『シネマテークたかさき』 の前へ差し掛かります。 ここは昼間に一度訪れ、ロビーや切符売場の辺りをちょっとだけ覗かせてもらい、チラシや上映スケジュールを記載したリーフレットなどをゲット済み。 来年は、ここへも入場してみたいものです。 ロビーには、映画祭へ贈られた花かごが置かれてありました。 贈り主のお名前は、『茂木○○』。 ご家族からのものなのでしょう。 いったん足を止め、館を眺めながら心の中で呟くのは、「また来年」(笑)。

 再び、小走りになって駅を目指します。 友人はやはり、授賞式を観られなかったのでしょうか。 その代わり、この後のパーティーでは、受賞者たちとたっぷり会話できる筈。 友人も含め実行委員の皆さん、本当にご苦労様でした。 本レポが、式に参加できなかったスタッフの方たちの目に触れ、授賞式の雰囲気を少しでも味わってもらえたなら嬉しいのですが。
 私がもし地元の人間なら、受賞スピーチをもっと喜ばしく、もっと誇らしく聴けただろうなぁ。 高崎にお住まいの方たちが羨ましくてなりません。

 会場を出てから7〜8分で高崎駅へ到着。 そうそう、駅ビルの通路にも、高崎映画祭の看板が立てられ、その下にリーフレットが置かれていたのでした。 パンフと一緒に映画仲間へ送るため、昼間ここから5部ほど頂戴。 それでも残部は十分あったのですが、今は空になっています。 よしっ。
 ホームで快速を待つ間も、まだ余韻に浸ったまま。 受賞者全員が来祭してくれたのは、もちろん “ 茂木さんのためにも! ” の気持ちがあったからでしょうが、会場が大きくなった分、科学では解明できない “ 映画祭ファンの引き寄せるパワー ” が働いたからかもしれません(笑)。 受賞者の方々が何人も口にされていたのが、同じ組の人と一緒に受賞する嬉しさ。 苦労を共にしただけに、喜びが倍増するものなのでしょうね。 同部門で複数の受賞者を選出するケースが多いのは、やはり本映画祭の大きな武器だったのか!
 今日持ち帰るダルマの両目に、橋口監督が今度墨を入れるのは、いつ頃になるでしょうか。 1年でも、1ヶ月でも、1日でも早くその日が来ますように!
 もう一つ、ますます残念に感じられてきた事が。 全てのロケが私の生まれ育った岡山県で行なわれた映画 「バッテリー」(滝田洋二郎監督)の天才ピッチャー役でデビューした林 遣都くんが昨年、キャッチャー役の山田健太くんと共に本映画祭の最優秀新人男優賞を受賞したのですが、「ラブファイト」(昨年11月公開)撮影中だったため授賞式を欠席せざるを得なかったのです。 出席した山田くんと一緒に舞台に立てていたなら、どれほどの感激を味わったことでしょう。 いつの日か彼が、『高崎映画祭』 の温かさを嫌というほど体験する日がきますように。
 最後に、後日談を。 小池栄子さんは、授賞式が行なわれた3日後の4月1日(水)に 「笑っていいとも!」 のテレホンショッキングにゲスト出演。 『高崎映画祭』 の事も語っておられました。 式の後に行われたパーティーで 「接吻」 組は、他の受賞者の方たちがいなくなってからも1時間ぐらい、ぐだぐだと留まっておられたのだそう。 東京へは、仲村トオルさんがチャーターしたサロンバスに全員で乗車し、尚も酒盛りしながら帰ったのだとか。 タイミング良く、いい話を聞けました。
 電車が到着します。 席に座った私が早速取り掛かったのは勿論、本レポの下書き(笑)。
 6月には、これも初参加となる 『宮崎映画祭』 行きを予定しています。 今度は、計算通りの結果となりますように。 ━━ 嘘です。 なりませんように!
                                     (終)