TOMIさんの湯布院映画祭レポート'10(第35回)

  2月に初参加を果たした 『ヨコハマ映画祭』、3月に2年連続で吸い寄せられた 『高崎映画祭』 に続いて、今年も恒例のあの季節がやってきました ━━ 8月26日(木)に開幕する 『第35回湯布院映画祭』。 記念すべき10回目の参加となります。 私が初めて湯布院映画祭を味わえたのは、ちょうど10年前の2000年のことでした。 以来、2002年を除き毎年通いつめ、今年でとうとう切りの良い数字に。 お決まりのパターンは、初日の木曜日の夕方に現地入りし、日曜日のファイナルパーティーまでいて翌日に帰宅する4泊5日コース。 今年も同じく、の予定で、毎回このコースを続けてこられ感謝あるのみですが、残念なのが水曜日の前夜祭をまだ体験できていないこと。 由布院駅の駅前広場で行なわれる野外上映会に、何とか一度だけでも参加したいもの。 確か櫓(やぐら)の上に映写機を設置したりする準備の模様も見学したい。 20回目までには、何とか!

 ラインナップ(http://www.d-b.ne.jp/yufuin-c/)は、7月15日頃に全作品が決定。 例年だとこの時期は新作試写が1〜2本未定のままで、最終的には8月上旬ぐらいに発表されていただけに、選定は珍しくスムーズにいったみたいです。 どんな傑作が待っていてくれるのでしょうか。 ・・・・ 待っていてほしいものですが、今年は少なからず新鮮な気持ちで臨めるのではないかとの期待も抱いています。 10回目だから気分を新たにして、というだけでなく。 それは━━。

 1995年にキネマ旬報誌に13回に渡って連載された、単行本1冊の分量があるぐらいの 『湯布院映画祭20年の記録』 という労作があります。 著者は、よく存じ上げている映画祭実行委員のお一人である横田茂美氏。 連載時に熱心に読んでいながら、当時は同映画祭に参加するなど全く考えていなかったせいなのかその存在を忘れてしまっていたのですが、今年の年明けに、私の住む岡山市のミニシアター 『シネマ・クレール』 も取り上げられた 『映画館(ミニシアター)のつくり方』 という本を読み、ミクシィで話題にした際、どちらも湯布院で知り合った映画仲間である私と同じ岡山県に住む本レポでもお馴染みのOさんと宮崎のS原さんからこの記録について教えられたのです。 頑張ってバックナンバーを引っ張りだし、連載時に読んだ時より遥かに惹き込まれて、じっくり目を通したのでした。
 その第7章に、こんなエピソードが出てきます。 第8回(1983年)のこと。 試写作品の残り1本が、是非かけたい作品はあるのに、地元の興行会社との折り合いがつかなかったりで、映画祭まで1ヶ月ほどになってもなかなか決まらなかったのです。 そんな中、ベテラン実行委員の一人がとある雑誌で 「竜二」 という初めて聞くタイトルの自主映画の存在を知ります。 時をほぼ同じくして、実行委員長の元には、東京の名画座の支配人や、本作の配給を決めた東映の九州支社課長からも本作を映画祭で上映してほしいとの電話が入ります。 速達で送られてきた資料には見知らぬ名前ばかりが並んでいますが、キャスト欄の 「永島暎子」 に目に止めた実行委員長に、勘が働くのです。 “ 彼女が出演しているのなら傑作だ!” と。 賭け、に近かったかも。 とにかく、その年の映画祭の印象を大きく左右すると言ってもよい最終日の最後の上映作品 「竜二」 はこうして決まったのです。
 そして、一部の評論家や関係者を除いてまだ誰も観ていないこの映画は、上映が終るや否や、その場で・・・、続くシンポジウムで・・・、パーティー会場で・・・、喝采に包まれ続けたのでした。 “ 参加していたかった!” ━━ そう出来ていた人たちが羨ましくてたまらない回の一つが、この第8回なのです。 ゲストで来祭した脚本・主演の金子正次が 「竜二」 の公開に合わせたかのように亡くなったのはその年の秋、映画祭での上映から僅か2ヶ月ほど後のことでした。

 こういう作品が昔はざらにあったようなのに、ここ3回(2007年〜2009年)、クロージング作品の選定において、この勘は鈍りっ放し。 ちなみに、第8回で 「竜二」 と共に試写上映された 「家族ゲーム」 はキネマ旬報ベスト・テンの第1位を獲得しましたし、続く第9回と第10回もそれぞれ 「お葬式」、「それから」 という1位作品を上映。 何と3年連続ではないですか! また、遡る第6回では 「泥の河」 「遠雷」 が1位と2位を占めるという、凄い作品が並んでいるのが、この時期なのでした。
 2000年代も、「顔」(2000年) 「美しい夏キリシマ」(2002年/公開は2003年) 「フラガール」(2006年) というキネ旬1位作品が上映されていますから悪いこともないのですが。 とにかくその年の印象を決めかねないのがクロージング作品なので、今年こそ観客を唸らせる “ 湯布院らしい ” 映画であってほしいもの。 また、その他の新作の中にもキネ旬の1位や各種映画賞を争うような傑作が含まれていますように!

 こうして 『湯布院映画祭20年の記録』 を読み詳しい歴史に触れたり名エピソードの数々を知ったことで、湯布院映画祭の別の姿が見えてきたのです。 良いタイミングだったのでは。 参加も10回目ともなるとマンネリになりがちですが、最初の1〜2年目の時みたいに、初めてだったりまだ良く知らない映画祭に参加するようなドキドキ感を取り戻せるかもしれません。 これまでにない楽しみ方が見つかるような気も。
 新たな出会いも、たくさん待っていてくれそう。 分っているところでは━━。 口蹄疫問題で各種イベントが中止される中、7月に開催された宮崎映画祭を、会場入口に消毒マットを設置したり、シートや衣類の消毒対応まで行なって、盛況の内に無事完了させられた実行委員のお一人であるS原さんが、宮崎の映画仲間を何人も連れてやって来て下さるのです。 その中には、昨年初参加されミクシィでの友人にもなって頂いたH田さんや、昨年私が宮崎映画祭へ初参加した際カラオケにご一緒して下さったS尾さんも!
 各地からこんな風に新しい参加者が集まってきて常連になってくれたなら、動員も上昇カーブを描き、私のような部外者が心配するようなこともなくなるのですが。 ミクシィの湯布院映画祭のコミュニティ等で以前から存じ上げていたY田さんが、遂に東京から初参加されるのも楽しみ。 業界のどんな裏話を聞かせてもらえるのでしょうか。

 その一方...。 実は、私と同じ岡山県から毎年参加されていた本映画祭の先輩でもあるOさんが、今年はお仕事の都合で不参加という事態になってしまったのです。 キネ旬で 『湯布院映画祭20年の記録』 の連載を読み、同年(1995年)にすぐ様初参加に踏み切ってから15年連続で通われていただけに、その悔しさはよく分ります。 いや、きっと私などの想像以上の苦渋の決断だったでしょう。 バックナンバーが手元にないS原さんにお送りした、前出の 『湯布院映画祭20年の記録』 のコピーを、バックナンバーをどの辺りに保管したか分らないOさんにもお届けしたところ、大喜びで目を通され、「さあ、今年もあの地に行きたいと思います。 この横田さんの文章を再読して新たな気持で参加したいと思います」 とメールで熱い気持ちを綴られていたのに...。
 今回の拙レポは、常にOさんに伝える事を大きなポイントの一つとして意識しながら書き進めていくことになりそうです。 彼の分まで楽しんでこなければ。 あ・・・・、でも、お酒の弱い私は、Oさんの代りに彼が行きつけのバーでグラスを傾けるのはたぶん無理でしょうけど。 女性の参加者たちと積極的に交流を深めることも(笑)。

 開幕まであと3日となった第35回湯布院映画祭。 どんな映画との出合いが、どんな人たちとの出会いが待っているのでしょう。 早く書き上げたくてたまらないような土産話を、たくさん持ち帰れますように!

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湯布院映画祭レポート10(1)

 天候にも恵まれ、今年も 『湯布院』 を満喫してきました。 何と言っても嬉しかったのは、若手女優ゲストの渡辺奈緒子さんと大塚ちひろさんがすっごく魅力的だったこと! そして、しっかりとお話し出来たこと♪(笑) お2人の事をあまり良く知らなかったため、ご本人を見るまで大きな期待は持っていなかったのです。 それが━━。 どちらも、ひと目見るなり私の瞳はハートに変形してしまったのでした。 可愛いかったな〜。 感じ良かったな〜。 応援していかなければ。

 新作の上映は、現在公開中の 「キャタピラー」 を含め6本。 シンポジウムで褒めたくてたまらなくなり、その通り発言できた作品もちゃんとありました。 あそこまで泣かされるなんて....! 嬉しい誤算です。 特集上映の旧作の中にも、笑って笑ってそしてほろりとさせられた、娯楽映画の王道を行く1本が。
 【映画漬け】 【シンポジウム漬け】 の毎日でした。 美味しく漬かったそれらを、素材の良さを損なうことのないよう留意しながら私なりの味付けも加えて、皆様の前にお出ししていきたいと思います。 最後まで飽きずに召し上がって頂けるでしょうか。 “ もっと食べたい!” と思ってもらえたら、幸いです。 間違っても食あたりなど出したりしないよう注意しなければ(汗)。

湯布院映画祭レポート10(2)

 例によって 『青春18きっぷ』 で岡山〜由布院間を往復してきました(行きは、特急列車に50分ほど乗車)。 8月26日(木)、朝5時半前に電車に乗り込み、1年振りの湯布院の地に降り立ったのは16時15分頃。 去年はこの初日に、コンビニが一つ無くなっていたのを始め、“ うっ!” という出来事が複数ありました。 今年はそこまでではなかったものの、駅舎を出ると、何と小雨がパラついているではないですか。 空には晴れ間が見えていたりするのに。 大した降りではなかったのと、バッグから折り畳み傘を出すのが手間なため、小走りになり、1〜2分で映画祭の会場である公民館へ辿り着いたのでした。 パーティーを含む全プログラムに入場できる全日券のパスを首にかけながら、16時から既に始まっているシンポジウムに入場するため2階視聴覚室へ向かいます。
 今映画祭の特集は2つあり、今日と明日に行なわれるのが、< 映画に愛された男と女 石橋蓮司 & 緑魔子 >。 【 個性派といわれる俳優の中でも、画面に登場するだけで異彩を放ち、思わず目を奪われてしまう存在といえば、石橋蓮司と緑魔子をおいて他にないのではないか。 自己主張するのではなく、その映画の中で役に生きることに心血を注ぐ、映画に対するそのスタンスは主役でも脇役でも変わらない。 二人が、映画が好きという以上に映画に愛されたとしか思えない。 実生活でも良きパートナーであるが、それ以上に俳優としてお互いにリスベクトできる存在である二人に、大いに映画について、演劇について語って頂こうという特集です。(リーフレットより)】 今日の昼間には、石橋さんや緑さんが出演された 「竜馬暗殺」(黒木和雄監督/1974年)、「非行少女ヨーコ」(降旗康男監督/1966年)、「あらかじめ失われた恋人たちよ」(1971年)の3本が上映されました。
 尚、今回の映画祭では、木曜から土曜の昼間の特集上映の時間帯に、いつもシンポの行なわれる2階視聴覚室にて短編映画数本が上映されることになっており、その中には石橋蓮司さんが1954年に13歳で主役の浮浪児を演じて映画デビューした東映児童映画の 「ふろたき大将」(45分)も含まれています。

■26日(木)■ ≪特集のシンポジウム 16:00〜17:00 ≫ *前半

 超満員! ゲスト効果でしょう。 石橋蓮司 & 緑魔子に加え、田原総一朗氏まで来場されているのですから。 最後方の壁際近くの僅かに空いていたスペースに、実行委員が折り畳み椅子を出してくれ、何とか座れましたが、立ち見も多数。 合わせて120〜130名ぐらいでしょうか。 前のゲスト席は、左から司会役の荒井晴彦(脚本家)、緑魔子、石橋蓮司、田原総一朗、寺脇研(映画評論家)の並び。 その後ろのボードには、中心となって語られる 「あらかじめ失われた恋人たちよ」 のポスターが貼られています。 両端の通路には、TVカメラのような撮影機器が3台ぐらい。 地元テレビ局の取材でしょうか。 1台は実行委員が担いで操作しているようで、本映画祭の記録用のものみたいです。

湯布院映画祭レポート10(3)

■26日(木)■ ≪特集のシンポジウム 16:00〜17:00 ≫ *後半

「あらかじめ〜」 を未見のため、残念ながらトークにあまりついて行けません...。 石橋さんはリラックスして饒舌に語ってくれたし、荒井氏も適度に分析しながら話の方向をうまく舵取りしていたようなのですが。 なので、面白く聞けた幾つかの箇所を列挙するにとどめたいと思います。 尚、本作は田原総一朗と清水邦夫が共同で脚本を執筆し監督を務めた作品で、出演者は石橋蓮司、加納典明、桃井かおり、緑魔子・・・等。  田原 「当時の桃井かおりは、男と手を握った事もキスした事も、もちろんセックスも経験がなかったんですよ。 どうしましょう、と私に相談してきましてね。 まあ、その場面になったら、何とかするからと落ち着かせましたけど。 後で悪友たちから、何でその時ちゃんと監督自ら教えてやらなかったのかって怒られました」(笑)。 寺脇 「『朝まで生テレビ』 の田原さんは、司会者でなく演出家なんですよね」。 田原 「あの番組で政治家の色んな問題を暴き、総理を3人失脚させました」(笑)。 「あらかじめ〜」 では清水邦夫と共同で監督を務めた田原氏ですが、演出の経験などなく、稽古場での練習では役者からあれこれ教えられたのだそう。

 控え目にしておられた緑魔子さんも、語るべき所は語ってくれました。 驚いたのが、その声のお若いこと! とても60歳代半ばとは思えません。 この日は私が一番後ろの辺りに座り、ゲスト席とかなり離れていたため、お顔もとてもお若く見えたのでした。 「あらかじめ〜」 は1200万円で作った映画で、ATGと田原氏とで600万ずつ出したのだとか。 結果は、大コケ。 田原 「僕の演出と脚本料が100万ずつでしたから、差し引き400万。 何やかやで250万ぐらいが借金として残りましてね。 返済のため、物を書き始めたんですよ」。 ここで荒井さんから、お金に関する若松批判(「キャタピラー」の若松監督)というか、悪口が自然に出てきます(笑)。 内容は一応、自主規制としておきましょう。 「キャタピラー」 は土曜夜の上映作品。 若松監督もゲストとして来場されます。 荒井さんと直接対決って場面もあるのでしょうか?!
 話をシンポに戻すと。 石橋 「この頃、やりたいように出来ていたのは、魔子が大スターだったから。 俺がどうなったって、食わせてもらえるからね」。 田原 「『あらかじめ〜』 の3人の役者は、石橋さんは最初から決まっていて、ムチャクチャやってる男として加納典明をキャスティング。 桃井かおりは、オーディションでした」。 田原氏は飛行機の時間の関係で、16時50分頃、拍手で送られながら退席されました。
 このシンポで印象的だったのは、石橋さんのトークの上手さ。 こんなに面白い方だとは思いませんでした。 「体がきれいですが何かしてらっしゃるのでしょうか?」 との質問に対する答えは、「体を鍛えるのは邪道だと思ってます。 精神を鍛えるべきです、....お酒で」(爆笑)。 特に女性に人気のある訳がよく分りました。 翌日のシンポや連夜のパーティーでも石橋さんは、ソフトな口調で、とにかく良く喋ってくれたのでした。

湯布院映画祭レポート10(4)

 シンポは予定通り17時に終了。 試写作品は18時15分より上映されますから、それまでに宿へチェックインしておかなければなりません。 会場を出る前、1階ロビーの販売コーナーで今映画祭のパンフレットを数冊購入します。 “ うっ!” 今年は 200円値上がりして、千円になっているではありませんか。 2002年より7年間ずっと800円でしたから、まあ仕方ないでしょう。 少なくとも同じぐらいの期間は、この値段を維持してほしいもの。 ここ3年は湯布院から各地の友人たちへパンフを発送していましたが、80円で送れるメール便を取り扱っているコンビニが昨年なくなっていたため、今年は自宅へ戻ってからの発送です。 帰りは、バッグがパンパンに近い状態になってしまうかもしれません。 重さも増してしまいます。 まあ、大丈夫でしょう。 ━━ 大丈夫でした。

 天気はすっかり回復しており、コンビニでペットボトル等の飲料と、明日・明後日の朝食用の菓子パンを購入してから、宿へ。 素泊まりの所なので、共同スペースの台所の冷蔵庫にそれらを収めます。 宿のおかあさんに、4泊分を支払い。 “ うっ!” 今年から入湯料が必要になったのだそう。 1日あたり、百円。 これぐらいなら、問題ありません。  荷をほどき、小バッグを手に会場へ急ぎます。 昼食をとったのは、11時頃。 停車時間の長い駅構内にあるコンビニで弁当を買い、車中で食べたのでした。 パーティーは22時からなので、何かお腹に入れておきたかったし、待望のソフトクリームも口にしたかったのですが、時間があまりなかったのと、それほど空腹感を覚えなかったため、真っ直ぐ会場へ向かうことに。 お腹が減ってないのには、ちょっと理由が。 実は、少しばかり体調が悪かったのです。

 一つ目は、喉の痛みと咳。 夏風邪なのでしょう。 熱はないと思うし、鼻水も出てはいないのですが。 なるべく弱冷車を選んだとはいえエアコンの効いた電車内に長時間いたせいなのでしょうね。 喉がいがらっぽくなり、咳がよく出るようになってしまったのです。 持参していたヴィックスドロップを何粒も舐める羽目に。 で、あまり空腹を感じていないという訳。  もう一つは、食欲には関係のない、右脇腹の痛み。 これは10日以上前から続いているのですが、擦って、一番大きなジャンボLサイズのバンドエイドでなければ覆えないぐらいの傷が出来てしまい、それが万悪くズボンのベルト位置ぐらいなため歩くと擦れて痛いのです。 また傷の周辺も、割と広範囲に渡ってちょっと腫れた感じで痛いし。 まあ、ようやく治りかけてきたものの、完治にはまだ10日ぐらいかかるであろう時期の、今日の出発となった訳です。 こちらは痛みにも慣れてきていたし、大した事なかったのですが、参ったのが咳。 外を歩いている時は、ほぼ問題ないのです。 シンポ会場や、特に上映会場のようにエアコンを強めに効かせている所だと、たちまち咳が頻繁に出てしまって....。 周りに迷惑をかけてしまいますから出来るだけ我慢するも、精神力だけでこらえきれるものでなく。 上映中は常に両手で口を覆っている状態でした。 咳をこらえる際の体の内部の反動で、腹筋が痛くなるほど。 それが、最終日の午前中ぐらいまで続いてしまったのでした(その辺りですっかり治ったかと言うと、そうでもなくて...)。 周囲の皆さん、耳障り、目障りだった事でしょう。 本当に申し訳ありませんでした。
 それにしても、ここまでひどくなり、長引くとは。 ほとんどエアコンをかけない自宅だと、ヴィックスドロップを何粒も舐めれば、大抵は治るのですが。 来年はより一層、防寒対策を講じるように致します。

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 ずいぶん脇道に逸れました(汗)。 さて、1本目の試写作品です。 18時頃に会場に戻った時には既に開場していましたが、俳優ゲストもいないし、平日の木曜日です。 慌てて入らなくても良いだろうと、ロビーに置かれてあるチラシを貰ったり、貼り出されているその日のゲストに関係したポスターやチラシをざっと見て回ります。 “ おっ!” ━━ 去年までは単純に1人ずつの白黒写真が掲示されていたゲスト紹介コーナーですが、今年は、写真データを一旦パソコンに取り込んで処理したのか、2枚に分けてポスター風にまとめられています。 うん、なかなか。 来年の進化が楽しみ。

■26日(木)■ ≪特別試写「オカンの嫁入り」 18:15〜20:05 ≫

 前から4列目ぐらいの席に。 ちょっとまずかったのが、この会場は前の方が冷房の効きが強いのを忘れていたこと。 後のパーティーで複数の女性が、「寒くて、映画を観るどころではなかった」 とおっしゃっていましたが、私にとっても、1本目を冷房がんがんのこの席にしたのが、咳を余計ひどくした原因だったでしょう。 翌日からは、8〜10列目辺りにしたのでした。
 上映前の舞台挨拶。 客席は8割ぐらい埋まっています。 木曜日にしては、かなりの入り。 蓮司&魔子効果がこちらにも好影響を及ぼしたのでしょうか。 宮アあおいと大竹しのぶの人気女優2人が共演しているのも大きい筈。 いつもOさんが座っている最前列に見慣れた後ろ頭を見つけられなくて、彼の不在をはっきりと実感したのでした。

 呉美保(オ・ミポ)監督が登壇され、スタンドマイクの前に立たれます。 小柄で可愛らしい感じの、まだ33歳とお若い女性。 「酒井家のしあわせ」 に続く、2本目の脚本・監督作品です。 「こんにちは。 こんなにたくさんの方に来て頂けるとは思ってもいませんでした。 以前、『文化・記録映画祭』 の方で湯布院には一度呼んで頂きました。 今回は劇映画で招待され、すごく嬉しいです。 9月4日に公開が決まっており、今日が初めての一般向け試写になります。 純粋に映画を楽しんでもらえたら、と思います」

【 突然、オカンが金髪の若い男を拾うて帰って来た。 母と娘の二人暮しが一変! なんと母は結婚するのだと言う。 母と娘にはそれぞれに、ある秘密を抱えていた。 日本を代表する実力派2大女優が激突! 揺れる家族の絆と愛を、呉美保監督(脚本も)が温かく紡いでいく。(リーフレットより転載) 】

 第3回 『日本ラブストーリー大賞』 ニフティ/ココログ賞を受賞した原作小説の映画化。 私の住む岡山県でも、Oさんの地元・倉敷市のシネコンにて9月4日より公開されています(この項を書き込んでいる本日がちょうど9月4日になります。狙った訳ではありませんが)。 女性の方がより引き込まれて観られるのでは。 男の私にとっては、悪くはないけれど、感情を揺さぶられる、というほどではありませんでした。 咳を気にするあまり、映画に集中しきれなかった点は割り引いて考えなければいけませんけど。 宮アあおい、大竹しのぶ共、彼女たちの標準レベルの演技は十分に見せてくれるものの、“ 絶品!” とまでは。

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■26日(木)■ ≪シンポジウム「オカンの嫁入り」 20:30〜21:45 ≫

 前の長机のゲスト席左端に司会者(通常、実行委員が交代で担当)がつき、右後方のドアから入って来られた呉監督が真ん中に、もう1人のゲストである本作のキャメラマン・谷川創平氏が右端の席に着席されます。 写真撮影は始めの辺りのみにしてほしい旨、実行委員から要請がありました。 今夜はいないものの俳優ゲストも多く、著作権(肖像権)の問題があるとの事。 この注意は翌日以降も繰り返し言われ、完全禁止とされたものもあったのでした。 私はカメラを持参していないし、パーティーでやっとゲストとお話できるようになったと思ったら 「ツーショット撮らせて下さい」 と邪魔される事も少なくないので、もっと厳しくしてほしいぐらいです。

 司会はまだ新人のような女性の実行委員。 ちょっと不勉強だし、言葉遣いもおかしくて、司会を担当するには無理がありました。 参加者から寄せられた映画の評価は、女性層は概ね好評だったよう。 本作にはもう一人、おばあさん世代の絵沢萠子さん(昨年のゲスト)もメインキャストとして登場しますが、宮アさん大竹さん絵沢さんどの女性の気持ちもよく分ったとの声。
 これは、ポスターやチラシにも書かれているし、予告編でも描かれているそうだし、ぼやかすと以下の応答を紹介できないので敢えて触れますが、オカンは余命1年の身の上なのです。 客席から発言されたご婦人は、それをお怒りに。 鑑賞前に知りたくなかった、と。 「また難病もの、泣かせ映画だと敬遠する人も多いと思うんですよ」。 監督も懸念して、そこは宣伝媒体から外してほしいのだがと相談した事もあったのだそう。 「宣伝プロデューサーが “ その箇所のみを見るのでなく、宣伝全体で判断してほしい ” と真摯な態度でおっしゃったので信用することにしたんです」。
 キャスティングについて。 大竹さんは、そもそも原作者が彼女を想定して書いたのだとか。 監督も迷わず。 そして、決定。 次に娘役を誰にするか? 物語は彼女の目線で進みます。 主演女優ということ。 監督 「宮アあおいしかいないね、とプロデューサーとも一致し、出演OKをもらいました」。
 呉監督は以前、大林宣彦監督の元で働いていました。 デビュー作の 「酒井家のしあわせ」(2006年)を観て大林監督は、森田直幸くんを 「転校生 さよならあなた」(2007年)の主役に抜擢したのだそう。 Q:「『オカンの嫁入り』 は、もう大林監督に観てもらったのでしょうか?」 A:「なかなか時間が取れなくてまだなんですけど、大林監督に “ 湯布院へ行ってきます ” とメールを送ったら、“ 初日に観るからね ” の返信をくれたんです」
 再びキャスティングについて。 監督 「國村隼さんと絵沢さんは、“ この人しかいない! ” と考えていました。 桐谷健太くんは、そういう目で見ていなかったのですが、改めて見ると、彼にあの役を演じてもらって、結果を見てみたいと思えたんで決めました」。 東映京都撮影所での撮影、「美術部がすごく良いセットを作ってくれ感謝しています。 実は、残っていた銭形平次のセットを流用したんです」。

 Oさんならどんな発言をされるかなと、ちらと思ったりしながら、色んな方からの感想等を聞いていったのでした。 彼は、公開初日に早速ご覧になったのだそう。 ほぼ予想の範囲内の評価でした。
 ここで、最終日に上映される試写作品 「パートナーズ」 の脚本を師匠の荒井晴彦氏と共作された井上淳一氏(昨年に続いての参加)から、シナリオで気になった点についての質問が出されます。 物語に詳しく触れることになるため、具体的な内容については割愛しますが。 井上氏は続けて、「脚本・監督を一人でやるのは、あまり良くないのでは。 多くの人がシナリオに関わった方が、いい作品になる可能性が高いんじゃないかと思うんですけど」。 監督 「まだ2作目で、とにかく撮り続ける事に意味があると思ってるんですね。 ただ、共同脚本でも構わないから、必ずホン作りには関わっていきたいです。 自分のエンピツで書いてないと、演出できないなと。 それに、スタッフ・キャストも説得できませんし。 機会があれば、共作してみたいです」。
 ヤンキーっぽく、ちょっとキャメラマンには見えにくい谷川さん(笑)も、たくさん発言されました。 やんちゃな感じで、ものをズバズバ言われる方みたいです。 最も場内を沸かせたのは、「やる気があるのかないのか分らない司会者」(爆笑)。

 締めのひと言をもらいます。 谷川 「面白かったです。こういう場にキャメラマンを呼んでくれる映画祭はあまりないので、とても嬉しいです」。 監督 「シンポが厳しい場だと聞いていましたが、公開前に感想を色々聞け、有意義でした。 また新作を撮って、やって来たいです」。 さあ、パーティーです。 お腹も減りました(笑)。

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■26日(木)■ ≪ パーティー 22:00〜 ≫ *前半

 マイクロバス2台、及びその他の車に分乗して、金鱗湖の近くにある [亀の井別荘 湯の岳庵] へ。 時間が遅いこともあるでしょうが、湯布院の夜は本当に涼しいです。 じとっとした感じは全くなく、半袖だと寒いというほどでもなくて。 快適のひと言。 夕べまで自宅で熱帯夜にあえいでいたのが嘘のよう。 別世界です。 どんなに飲んでも、汗をかかないのでは。 庭園での立食パーティーで、四角いテーブルが10脚ぐらい適度な間隔を空けて配置されています。 どこを選ぶも自由。 夜空には満月が輝いています。 こういう涼しさに包まれていると、中秋の名月かと錯覚してしまいそう。
 乾杯のご発声は、もちろんこのお2人。 魔子 「ずっと、憧れの湯布院でした。 周りの人から素晴らしさを聞かされてました。 温泉にも、映画祭にもとろけさせられました。 また呼んでもらいたいです!」。 蓮司 「35周年だそうで。 100周年にはたぶん来られないと思うんですが(笑)。 とにかく、35周年おめでとうございます。 カンパ〜イ!」。

 まずは食べることに集中です。 予め各テーブルに置かれてあった大皿の料理をやっつけていると、同じく大皿で温かい唐揚げやゴーヤチャンプルと豚肉の玉子炒め等が運ばれてきますし、建物の中に足を運べば、カレー料理や冷たいおそばも。 乾杯時に小さいコップに半分だけビールを呑んだ私は、以後はもっぱらウーロン茶。 ただ、この夜はちゃんとそれ用のコーナーがあったし、翌日も2リットル入りの大きなペットボトルが各テーブルに置かれていたから良かったものの、土曜・日曜の会場ではウーロン茶やノンアルコール飲料をどこで貰えば良いか探し回らなければならなくて。 お酒がダメな参加者もたくさんいるので、来年からはお酒のコーナーを充実させるだけでなく、お酒以外の飲み物のコーナーもちゃんと設けてほしいものです。 氷さえあれば、ただのお水でもOKですから。
 お腹もふくれました。 さあ、コミュニケーションタイムに突入しましょう。 まずは、Oさんの不参加を、長崎のEさんや実行委員の孔井さん、ゲストの井上さん(「パートナーズ」の共同脚本家)などに、改めて直接お伝えして回ります。 孔井さんにはその際、懇意にされている原田眞人監督の新作の進み具合について教えてもらったのでした。 3本同時進行していたのですが、8月クランクイン予定の1本が流れてしまったのだそう。 どの作品かまでは明らかにしてもらえなかった、との事。 昨年も今年もシンポの司会を担当していないので、気分的に楽みたいです。

■26日(木)■ ≪ パーティー 22:00〜 ≫ *後半

 Oさんはもう10年以上前から荒井晴彦さんと親しくされています。 なので、そのお弟子さんたちとも。 昨年は大ベテランの脚本家ゲスト・白坂依志夫さんのお世話を師匠から命じられ、作品とは直接関係のない形で初めて 『湯布院』 においでになった井上さんには、その際Oさんより紹介してもらっているので、スムーズに話し掛けられます。 「正式ゲスト、おめでとうございます!」 と手を叩くと、「違うんですよ。 宿やなんかはゲスト扱いなんですけど、交通費は昨年同様、自腹なんです」。 「あ、そうか、ゲスト枠は1作品3名までですからね(今回は、監督に主演俳優の2人)」。 昨年の映画祭が終了してから間なしの10月頃に撮られた 「パートナーズ」 の進行状況は、随時Oさんから教えてもらってました。 「私好みの泣ける映画になっているみたいで、期待してます!」。
 女性と積極的に交流を図るOさんの代りを少しでも務められたなら、と呉監督とも話そうとした(笑)のですが、参加者の女性2人を相手にトークの花を咲かせており、入り込む隙が....。 それでも粘って待っていたら、その輪にもう1人、知り合いらしい女性が参戦。 “ ダメだ、こりゃ ” と諦めました。

 パーティーが始まって1時間くらいすると、ゲストの皆さんからのご挨拶タイムがあります。 今夜は、明日お帰りになる呉監督、谷川キャメラマン、映画評論家の寺脇さんに、小ステージに上りマイクの前に立ってもらったのでした。 パーティーの時はさすがにメモを取りにくいので、ここでのひと言はあまり覚えていません。 この後ぐらいだったか、柄本明さんがご夫婦で入ってこられました。 2、3度お話しさせてもらった方なので、自然に会釈を交わします。
 時間も残り僅か。 昨年知り合った福岡のRさんという女性にも、声をお掛けしておかなければ。 が、3人ぐらいで話し込んでおられ、なかなか入っていけません。 ようやく切れ目が訪れ、「来られてたんですね」 と体を輪に入れると、「あ、TOMさん、探してたんです」 との返答。 一緒に話されていたのは、東京から今年念願の初参加を実現されたYさんなのだとか。 先日ミクシィで何度か遣り取りし、湯布院での対面を約束していた方なのです。 初めましての挨拶。 昨日の前夜祭から参加され、野外上映会を満喫されたのだそう。 良かった、初日にお会いできて。 Rさんは昨年が初参加、「様子見で2泊しただけだったんですけど、今年は最終日までいますので」。 明日には、私たちの共通の友人である宮崎のS原さんがお仲間を連れて、やって来て下さいます。 昨年初参加されたH田さんも、その中に。

 23時30分を過ぎて閉会となり、まだ初日なのであまり粘ることなく、外へ。 バッグから小型の懐中電灯を出し、いつでも灯せる準備をしながら、川沿いの道を宿へと向かいます。 毎年通っており、街灯の明かりが十分でない所もたいてい大丈夫なのですが、念のためライトを持参しているのです。 10分ほどで帰り着きました。  小さいながらも足を伸ばして入れるぐらいの大きさは充分にある、温泉をひいた風呂につかり、荷物を整理して、1時過ぎに床へ。 風呂上りには使ったエアコンや扇風機も、寝る時には不要です。 窓も締め切った状態。 明日は喉の調子が回復していますように。

湯布院映画祭レポート10(8)

 まあまあ普通に寝られて、2日目(金)の朝を迎えます。 宿の予約は毎年、早々と4月頃には入れており、その関係かどうか3年続けて同じ部屋が割り当てられました。 嫌いじゃないし、慣れた所の方が落ち着けるので、歓迎です。 昨年、一昨年は、早朝6時に 「野ばら」 の演奏音が町内放送か何かで流れてきて眠りを中断させられた日がありましたが、今年は一度も耳にしませんでした。 クレームでも入り、中止になったのでしょうか。 そうなら有り難いです。 朝の内はうす曇りだったものの、だんだんと晴れに。

 この日も、昼間は < 石橋連司 & 緑魔子 > の特集上映。 短い休憩を挟み、3本が連続して上映されます。 10時からの1本目は、「獣たちの熱い眠り」(村川透監督/1981年)。 客席は3割ぐらいの入りでしょうか。 石橋さんは、プロテニスの花形プレイヤー(三浦友和)をスキャンダルで恐喝するグループの交渉役を怪演。 腕を折られたり、ヤスで刺されたり、車で撥ねられたり、あげくは銃で撃たれ・・・・。 今度はどんな風にやられるかの期待で(笑)、ある意味主役のような感じさえしました。 エンドクレジットの助監督に、下村優の名が! 最終日の試写作品 「パートナーズ」 で、還暦を過ぎてから映画監督デビューした下村優氏なのです。 見つけて、何だか嬉しくなりました。
 10分ほどの休憩を挟んだ2本目は、緑魔子さんの主演作 「盲獣」(増村保造監督/1969年)です。 かなりぶっとんだ映画。 魔子さんが、正に体当りで演じています。 ラストでは、ちょっと 「キャタピラー」(土曜日の特別上映作品)を連想したりなど。 客席は、1本目よりも空いていた感じです。

 続けて観る人は、休憩時間に実行委員が客席を回りますから、全日券を提示したり、チケットを切ってもらえば、そのまま席にいて構いません。 ずっと座ったままでいるとお尻が痛くなるし、喉のためにも良くありませんので、バッグとペットボトルで席を確保しておき、エアコンが中ほどには効いていないロビーへ一旦出ます。 それに、宮崎組の皆さんがそろそろ到着されている頃でもありますし。 「あ、TOMさん」 と、昨年初参加されたH田さんが先に見つけて声を掛けてくれます。 昨年私が宮崎映画祭に初参加した際カラオケに付き合ってくれたS尾さん(女性)もお隣りに。 もう一人のお連れは、同じ映画サークルのKさんという男性。 そのサークルでは毎月、会報の冊子を発行しており、年に一度のベストテン選出号はS原さんから毎年送ってもらっていて、Kさんのお名前も目にしていたので初対面のような気がしません。 「ところで、S原さんは?」。 なぜかこの時は行方不明なのでした。 後でちゃんと会えましたけど。

 3本目は、石橋さん主演の 「赫い髪の女」(1979年)。 神代辰巳監督の代表作の一本です。 脚本は、荒井晴彦氏。 4割ぐらいの入りでした。 【 偶然、道で拾った赫(あか)い髪の女とダンプの運転手の愛欲を描いた作品。 雨で仕事にあぶれると一日中交わる男と女。 匂いたつようなエロスを石橋蓮司と宮下順子が、演じたというよりスクリーンの中で息づいた傑作。(リーフレットより)】 こういう映画を普通に上映できるのは、湯布院映画祭ならでは。 さすがは35年の歴史を持つだけのことはあります。

湯布院映画祭レポート10(9)

■27日(金)■ ≪特集のシンポジウム 15:00〜16:45 ≫ *序盤

 いつものように、2階視聴覚室へ。 前の方の席につくと、そばにS原さんがやって来て座られたのでした。「他の皆さんには、もうお会いしたんですよ」。 すぐ満席になり、立ち見もどんどん増えていきます。 ゲスト席は左から映画の方の司会を担当される野村正昭氏(映画評論家)、荒井晴彦氏、緑魔子さん、石橋蓮司さん、柄本明さん、演劇の方の司会を担当される小林俊道氏(映画雑誌編集者だったかな?)。 俳優ゲストのお三方は、演劇人でもあります。 蓮司さんは、魔子さんらと劇団 『第七病棟』 を、柄本さんも奥様の角替和枝さんらと劇団 『東京乾電池』 をやっておられますから。 後ろには、かなり昔の舞台、緑魔子さんと柄本明さんが共演された 「秘密の花園」(1982年?)のポスターが貼られています。  野村 「『ふろたき大将』 DVD化の情報を入手し、横田氏に電話したら、こういう企画になりました。 石橋さん、この映画のこと覚えておられますか?」。 石橋 「児童劇団に入って、初めての仕事でした。 よく覚えてます。 映画も初めてで。 これで売れて、名子役になっていくんですよね(笑)」。 野村 「パンフレットのフィルモグラフィーで数えたら、出演作は229本もありました。 これに加えて、児童映画が何本もあるんでしょうね」。 石橋 「タイトルに名前も出ないエキストラ的な役でも出てましたからね。 中でも、やはり 『ふろたき大将』 が記憶にあります」。 昔はロケに行くと、見物人が凄かったのだそう。「ホースで水まいて、人払いしてました。 映画スターの近くにいられるのは、天皇陛下のそばにいられるようなことでしたからね」。 柄本さんもここで上映された 「ふろたき大将」 をご覧になりました、「貧しさの豊かさとでも言うのかなぁ。 いいですね、素晴らしいと思います」。 石橋 「(「ふろたき大将」の)関川監督は、酒臭いオヤジでしてね。 撮影の真ん中辺りに、『坊や、もし役者を続けたいなら、やってごらん。なれると思うよ』 と言われました」。

 蓮司さんと魔子さんが初共演したのは、「非行少女ヨーコ」。 魔子 「彼は、不良少年って感じで。 とっぽい(気障で生意気)男の子でした。 若い子がたくさん出ていたので、みんなで街へ遊びに行ってました。 蓮ちゃん、オカマみたいな役だったんだけど、普段でもあんな感じ。 退屈しないんじゃないかな、なんて思っちゃって・・・。 で、一緒に住み始めるように」。 蓮司 「魔子はスターだったんで、一緒に行っても奢ってもらってた。 その代わり、街の不良たちから守ってました。 ヒモみたいなもの━━。 本当のヒモになっちゃったってとこかな」。 魔子 「(何気ない感じで)あんまり幸せになったとも思ってないのですが」(笑)。
 お気に入りの出演作を訊かれ、蓮司さんは 「自分から出演作を観て下さいとか、これが良いとか、なかなか言わないもんなんですよ。 恥ずかしくて」。 魔子さんは、「増村先生や森崎先生の作品は好きです」。 柄本さんは、ご自分の出演作品はあまりご覧になっていないとの事、「前は観てたんですけど」。 蓮司さんと柄本さんが共演された(同じシーンでからんだ)のは、「ニワトリはハダシだ」(森崎東監督)1本しかないのだそう。 こんなに映画に出続けておられる2人なのに。

 後ろに貼られているポスターの 「秘密の花園」 は、本多劇場の柿(こけら)落とし公演。 出演されていない蓮司さんが、練習をよく見に来ていて、その内、魔子さんと柄本さんを呼んで、演出をしだしたのだとか(笑)。
 窓の外は、雨になっています。 「赫い髪の女」(荒井晴彦脚本)について。 蓮司 「脚本家は天才じゃないかと思いました。本人に会うまでは(笑)。 一読すると、セリフがすうっと入ってくるんです。 最近なくなりましたね、そういうシナリオ」。 荒井 「神代さんが、“ 蓮司でやりたい ” とリクエストしたんだよね。 土方はどうだろう、インテリだから逆に似合うんじゃないかって。 役者というのは基本的に嫌いなのばかりなんだけど(笑)、質問されて好きな役者を答える時には、蓮司と柄本の名前を挙げてます。 2人とも演出をやるので、自分の写りだけでなく、映画全体の事を考えてるから」。

■27日(金)■ ≪特集のシンポジウム 15:00〜16:45 ≫ *中盤

 柄本 「蓮司さんって、映画で観ると上手いよね。 演劇だと、下手って訳じゃないんだけど、真面目なんだな。 僕なんか、いい加減で」。 2人の唯一の共演作 「ニワトリはハダシだ」 では、蓮司さんは刑事で、柄本さんは悪者の役でした。 現場で蓮司さんと相対した柄本さんは、思わず心の中で 「汚ね!」 と叫んだのだとか。 柄本 「映画になると真面目じゃないんですよね。 汚いって言い方は良くないかもしれないけど。 こっちが赤ちゃんっていうか、子供にされちゃうんですよ」。 蓮司 「柄本と役者としての唐十郎と魔子は、同じ次元で芝居と組んでいる。 芝居だけは嘘をつきたくない。 真摯に観客に対したいと思ってまして。 だから、芝居だと真面目に観客に向き合いたいんですよね」。 柄本 「役者同士は殺し合いみたいなところがあるんです。 なぶり殺しにされてるのに気がつかないというか。 “ 汚ね!” と感じるのは、とても嬉しい事なんですよね」。 蓮司 「柄本の意地悪なリアクションが好きなんですよ。 こっちを壊してくれるというか。 もっと壊してほしいんですよね。 見てると、好きだなあって。 真似できないもんね」。
 ここまで、そしてこの後も、数え切れないぐらい爆笑しました。 文字では、とてもお2人のトークの面白さを再現できません。 レポを書くのが何だか虚しくなってきて・・・。 全面降伏です。 それにしても、蓮司さんと柄本さんがこんなに仲が良いとは知りませんでした。 2人芝居を観ているのかと錯覚しそうになったほど。

 荒井さんは芝居はあまり観ないそう、「寝ちゃうんで。『第七病棟』 の芝居観て、初めて泣いたなあ。 蓮司の芝居には、映画が入ってるのかな」。 蓮司 「俺も柄本も原田(芳雄)も、予め演技をやってみて、監督に提示するんですよね。 監督に、“ こういう風に ” って言われてからやるのは無いですね。 もし、“ こうやってくれ ” って指示されて、そうやってみて、何か新しいものを発見したなら、その監督は名監督ですよね」(笑)。
 ゲスト席の後ろの窓外に目をやると、いつしか雨も上っています。 魔子 「デヴィッド・リーンの 『旅情』 って映画がありますよね。 オールド・ミス役のキャサリン・ヘップバーンがヴェニスに旅して。 ホテルのベランダで物思いに耽りながら3分ぐらい歩き回るのを延々と映してるんですよね。 “ あ、こういうシーンをやりたい。 演じたい!” って」。 荒井 「今なら、もっともっと短くしたり、モノローグ入れるだろうね」(笑)。

 質問タイムとなり、常連参加者・東京のS磨さんが彼にとっての蓮司さんの代表作として 「桜の代紋」(三隅研次監督/1973年)のタイトルを挙げ、「演じられた人物がものすごく恐かったんですね。 何か撮影の時のエピソード等ありましたら、お聞かせ下さい」。 同作の主演は、若山富三郎。 蓮司 「勝(新太郎)さんは酒を呑みながらシナリオを作るんですが、(兄の)若山さんは饅頭を食いながら(笑)。 あの人たちは動物的な勘で、役者を見るんです。 撮影の当日、まずいことに遅刻しちゃいましてね。 若山さんが刑事で、こっちは取り調べを受ける側。 テストの時、右手でパ〜ンと殴られてしまいまして。 で、本番。 今度は、左で殴るんです(笑)。 それで、本気でやり合っちゃったんですよね。 あれから若山さんの作品によく呼ばれるようになりました」。
 S磨さんが魔子さんの代表作として挙げたのは 「大悪党」(田宮二郎主演/1968年)。 「田宮さんを食ってましたからね」。 本日上映された 「盲獣」 と同じく増村保造監督の作品。 魔子 「増村さんへの信頼は最初からあったので、死ぬ気でやりました。 けれどあの頃、自律神経失調症だったんですね。 すぐ倒れそうになって。 裁判シーンで田宮さんの声が太くて良い声なんです。 その声聞くと、“ あ〜、死んじゃう ” って体が震えてきて。 助監督に外へ連れ出してもらってました。 何度もリテイクして、本当に迷惑をかけたものです。 でも増村さん、怒らなかったんです。 恐いと聞いていたんですけど。 とにかく一生懸命やりました」。

27日(金)■ ≪特集のシンポジウム 15:00〜16:45 ≫ *終盤

 次の質問へ。 「『探偵物語』 で松田優作が “ 石橋はセリフを全然覚えてこない!” って怒ってたというエピソードを聞いた事があるんですけど、本当なのでしょうか?」。 蓮司 「あの作品で、セリフを覚えていく必要があるんでしょうか(笑)。 酒を呑まずに行けるものでしょうか(爆笑)。 現場で松田と話しながら、作り上げてましたから」。  深作欣二監督の思い出を訊かれ。 蓮司 「日大の先輩で、よく呑みに行ってました。 『狼と豚と人間』(1964年)で、監督作に初出演。 『仁義なき戦い』 シリーズには呼ばれなかったなぁ。 70年代前半は芝居を主にやっていたので。 深作さん、よく観に来てたんですよね。 その都度、違う女優つれて(笑)」。

 魔子さんが、森雅之さんと共演した 「カモとねぎ」(1968年)について語られます。「憧れの大スターでした。 宝塚撮影所で1ヶ月ぐらい。 東京駅まで蓮ちゃんが送ってくれたんです。 新幹線の隣りの席に、森さん。 蓮ちゃん、柱の陰で見てたんですよ。 新幹線が動き始めたら、森さん 『あれは彼氏かい?』 って。 『はい』 と頷きました。 途中、単行本を読んでいると、手を指先で撫でられましたね。 何気ない感じで。 体がしびれて、動けませんでした。 色男って、ああいう人のことを言うんですね。 何かを超越している。 自然にやるんですよね。 映画には、オカマの役も含めて他に5人の男が出演してるんですが、みんな森さんに恋してました。 私は、最後に森さんとキスシーンがあって、もう、とっても幸せでした(笑)。 楽しい1ヶ月でした〜♪」。 窓から見える空は、すっかり晴れています。

 夫婦円満の秘訣を尋ねられた3人。 蓮司 「早い内に別居すべきですね。 で、肝心な時には一緒にいる、と。 それから、相手にちゃんとお金を渡す。 ま、そんなとこですかね」。 魔子 「価値観が全て違うと、別居してもダメですよね。 お互いに尊敬できる所がないとダメなのかな。━━ 夫婦円満に見えてるだけですよ」(笑)。 柄本 「まあ、ウチは円満です(笑)、お陰様で。 こちらの2人(蓮司&魔子)を見ていると、『第七病棟』 の事をつい思ってしまって。 オリンピック劇団だった(4年おきぐらいに公演)のが、もう10年空いてるんですよね。 演劇ファンとしては、新作を観せてほしいと思います」。
 客席には、柄本さんの奥様の角替和枝さんも一般参加者に混じって座っておられます。 司会者から突然の指名を受け、ご起立の上、「何で私が言わなきゃならないのか(笑)。 円満の秘訣ですか? 夫婦ではあるが、同じ劇団員でもあります。 付き合う前は、座長と座員の関係で。 面白い芝居やっていこうという志があれば、同志のような関係で結びついていられるのかな」。 荒井さんにも同じ質問が。 荒井 「....2人の影響を受けて、別居しております」(笑)。

 そろそろお時間となり、まるでテレビのバラエティ番組を生で観ているような爆笑のシンポにも幕が下りたのでした。 全日券の人は無料。 それ以外は参加費として300円が必要ですが、安い入場料だったことでしょう。

湯布院映画祭レポート10(10)

 前のシンポは16時45分に終了し、今夜の試写作品への入場が開始される迄には1時間以上空きがあります。 私は今朝7時半ぐらいに宿の自室で、買い置きの菓子パンで朝食。 結構お腹がふくれたので、日中は何も食べずに過ごしたのでした。 さすがに空腹になっており、馴染みになりつつある2軒並んだ定食屋をめざします。 が、片方は臨時休業で、もう一方は夜の部が17時半からのため準備中。 がっくり....。 気を取り直して、来る途中にあった、まだ入ったことのない食事処へ行くことに。 地鶏膳を注文。 鶏の天ぷらの定食です。 味はまあまあでしたが、鶏天がまるで牛すじみたいにしわくて。 ちょっと不思議な料理でした(笑)。
 食後は、由布院駅へ。 毎年、駅舎内のホールにて、映画祭に関係した展示を行なっているのです(無料)。 今回は、『第七病棟』 に関するあれこれ。 私にとってはそれほど興味を引くものではなかったため、ざっと見て回り、駅前の土産物店へ移動したのでした。 昨日食べられなかった、念願のソフトクリームを購入。 店内の隅で食べます。 相変らず、美味しい(笑)。━━ と、食べ終わろうかという頃、夕立が。 折り畳み傘はバッグに入れていますが、雨に濡らすと仕舞いにくいので、スッと止まないかと店内でしばし待機。 3分ほどで霧雨みたいになりました。 昨日もそうしたように小走りで公民館へ。 どうにか傘を広げずに済みました。

 映画祭は毎年、両面に印刷したB4の大版チラシを作っており、たいてい駅のホールに置いてあって、パンフレットとセットにして各地の友人・知人に送っています。 が、今年は見当らず。 在庫切れになったのか、映画祭とは関係のない色んなチラシが多くスペース不足で置けなかったのか。 ならば、と公民館の受付に行ってみると、1部だけ残っていました。 慌ててゲット(笑)。 また、片面だけA4に縮小コピーしたものが積まれてあったので、友人・知人への送付用に数部もらったのでした。

■27日(金)■ ≪ 特別試写 「nude」 18:15〜20:01 ≫

 試写作品なのに、5割くらいの入りです。 タイトルと内容から、主に女性客が敬遠したのでしょうか。 まあ、前の方にだけ固まって座っているのでなく客席全体にバラけていますから、それほど寂しい感じはしません。 上映前の舞台挨拶に、小沼監督と、主演が初となる渡辺奈緒子さんがご登場。 生 “ 奈緒子 ”、可愛い! 綺麗と言った方が適切かな。 これまでも、雑誌やネットの記事で彼女の写真は何枚も見て、なかなか魅力的なものもあれば、そうでないものもあったので、それほど期待していなかったのですが、嬉しい誤算です。
 さて、2人からのご挨拶。 監督 「小沼と申します。 今日は、あいにくの雨にもかかわらず、たくさんの方においで頂き、嬉しく思っています。 この映画は、みひろさんの小説を原作にしています。 AVと聞くと、アンダーグラウンド的なイメージがありますが、彼女たちも普通の女の子なんですね。 普通に暮らして、台本を演じて生活している。 彼女たちのリアルな世界観を描けたらと思って撮りました」。 渡辺 「本日は、こんなにたくさんの方に来て頂き、幸せな気分に包まれています。 主演の渡辺奈緒子です、はじめまして。 初めての主演で、毎日の撮影が必死でした。 一杯、一杯で。 振り返ると、監督はじめスタッフ・キャストの皆さんの支えで何とか乗り切れたように思います。 もう私には何も捨てるものはないんだと、全てを賭けて演じました。 今日は、一般の方に初めて観て頂くということで、とても緊張しています。 みんなで作り上げた気持ちが伝われば、嬉しいです」。

【 新潟の高校を卒業し、女優になりたいというおぼろげな夢を持ちながら、上京して働くようになった山瀬ひろみ(渡辺奈緒子)。 ある日スカウトされ、夢への第一歩と考え、そのヌードモデルをやってみることにする。 但し、AVには出演しないのを条件に。 次第に演技の仕事も増え、女優になりたいと前にも増して強く思うようになるひろみだったが、恋人の英介や故郷の親友(佐津川愛美)から猛反対され、周囲からだんだんと孤立していく。 悩みながらも、女優になる夢を貫くことを改めて誓い、次のステップの為、“ みひろ ” としてAVに出演することを決心するのだが...(チラシの紹介を一部改変)】
 ひろみをスカウトし、“ みひろ ” に育て上げていくマネージャー役は、名脇役の光石研さん。 さすがの演技で、この映画のかなりの部分を支えていたように思います。 ゲストとして、いつかは湯布院においで頂きたい方です。 みひろさん本人も、特別出演。
 私は、みひろさんのファンというほどではありませんが、AVデビューの時から知っていますし(汗)、テレビの深夜番組などでも時々観ていました。 また、今回の映画の原作となった彼女の自伝的小説はマンガの原作にもなっており雑誌の連載を立読みでざっと目を通しているので、彼女をあまり知らない人に比べると、映画の展開にそう違和感を抱かずに済んだようです。 後のシンポでどうも良く分らなかったという感想が多かった “ AV出演に踏み切った理由 ” については、私もピンときませんでしたが。

 まあ、スクリーンの渡辺さんを観ているだけでも満足できたので、少々欠点があろうがほとんど気にはならず(笑)。 客観的にみても、そつなくまとめた感じがします。 ただ、胸の奥を掴まれるような瞬間は、残念ながら・・・。  けれど肯定か否定か問われたら、断固として支持派に回ります。 パーティーで渡辺さんにも直接お伝えしたのですが、変に脱ぎ惜しみする女優が多い中、彼女は必要なシーンでちゃんとヌードになってくれたのですから。 その姿勢だけでも “ 買い!” ですし、“ 応援したい!” と思わずにはいられません。 きっとOさんも同意見の筈(笑)。  ヌードで連想したのが、2003年に 「ヴァイブレータ」(廣木隆一監督) が試写上映され、主演の寺島しのぶさんがゲストに来てくれた時の事(明日は 「キャタピラー」 が上映され、その寺島さんも来場されます)。 あの年は、同作と秋に公開された 「赤目四十八瀧心中未遂」 とで裸になるのを厭わぬ体当りの演技により彼女は主演女優賞を独占したものです。 でも、まだ何の評判にもなっておらず本映画祭で試写上映されシンポに臨む前は、どんなにかドキドキされていたことでしょう。 渡辺さんも、そうなのでは。 しっかりと見守り、励ましの視線を送るためにも、シンポでは最前列を確保しなければ(笑)。  

湯布院映画祭レポート10(11)

■27日(金)■ ≪ シンポジウム「nude」 20:30〜21:45 ≫ *前半

 上映時の席を冷房が効きすぎない10列目ぐらいにしていたし、上映後の拍手も早めに切り上げたため、後ろのドアからスムーズに出ることができました。 ロビーを横切り、階段を2階へ。 狙い通り、最前列の確保に成功。 右端ですけど(端といっても最前列は横に長くないので、ゲスト席とはかなり近い位置)。 真ん中辺りにして渡辺さんと正面から向き合ったりすると、照れてしっかりと顔を見られないため、意図して選んだこの席なのです(笑)。  数分の後、皆さんが入ってこられます。 ゲスト席は左から、司会の実行委員、本映画祭ではお馴染みの永田プロデューサー、小沼雄一監督、渡辺奈緒子さん、柴原プロデューサーの順。 渡辺さんの席は読み通り、私の席に近い方。 よしっ(笑)。 まずは、ひと言ずつご挨拶。 永田P 「『ヴァイブレータ』 で初参加し、『ラマン』(廣木隆一監督)、『樹の海』(滝本智行監督)、『ルート225』(中村義洋監督)と呼んでもらうことが出来ました。 今回は5年ぶりに来られて、とても嬉しいです。 忌憚のないご意見をお聞かせ下さい」。 監督 「今日は、ありがとうございます。 マスコミ試写はやったのですが、一般の方に観てもらうのは初めてでした。 宜しくお願いします」。 渡辺 「最後まで観て頂き、それからシンポジウムにも参加してもらって、ありがとうございます。 映画を観るのは2回目で、まだ冷静には観られませんでした。 今日は、みなさんの感想を色々と聞かせて下さい」。 柴原P 「初めまして。 一般の方からの初めての声を伺えたらなと思っています」。

 司会はまず、女性からの感想を要望。 しばらくの後、手が挙がり、「監督の前作の 『結び目』 を拝見し、感動しました。 それに比べると、今回はちょっと・・・・。 なぜAVに踏み込んだかの心情に納得がいきませんでした」。 監督 「自伝の映画化なんですけど、みひろさんが全く体験していなかったり感じていない事は描きたくなかったんです。 インタビューした時も、なかなか本人にも説明できなかったんですね。 だから、あまりはっきりとした動機付けは描きませんでした。 彼女の正直な気持ちに寄り添うようにしたんです。 原作を読んで、みひろさんの選択を否定する事は出来ないな ... したくないなと思いました」。
 続いて出たのは、家族を描いていないという指摘。 監督 「原作でも、少しだけしか出てこないんですね。 ごく普通の家庭のようですが、みひろさんもあまり語らなかったので。 家族も、AV出演を認めている訳ではないみたいなんです。 だから、映画で描くと、その事が中心になってしまい兼ねない。 本人も解決できていないのに、触れる事は出来ませんでした。 私自身も描くべきだとは思ったのですが、今回はしませんでした。 中途半端にしたくなかったので」。

 演じる上での苦労について渡辺さんは、「原作を読んだものの、なかなか整理がつきませんでした。 今回は、自分をひろみと一体化させるようにして演じました。 撮影しながら、ひろみの人生を一緒に生き、だんだんと近づくようにしたんです。 なぜAVを選んだか、自分でも答えを出せていなかったので。 撮影してみて ━━ 私は、AVを選ぶことは出来ないと思いました」。
 脚本は監督ご自身と、石川美香穂という人の共作。 監督 「今回は女性目線を入れなければダメだと思い、かみさんに入ってもらいました」。 監督の奥様なのだとか。 女優はオーディションを行い、渡辺さんは第一候補に。 監督 「面接すると、表に出さない芯の強さがあると思い、キャスティングしました」。

■27日(金)■ ≪シンポジウム「nude」 20:30〜21:45≫ *後半

 客席からは再び、あの不満が。 「独自にリサーチしてでも、家族を描いてほしかった! そうでないと、傑作は撮れません。 もしそうしていたなら、本作は一段も二段もレベルアッブしていたことでしょう」。 年配の方からは、AVに対する偏見がなくなったとの感想も出されました。
 マネージャー役の光石さんから何かアドバイス的なものをもらったのでは、との質問が渡辺さんに。 「休憩時間もマネージャーみたいだったんです。 常にサポートしてくれてました。 具体的なアドバイスではなく、いつも後ろから見守ってくれていましたね」。 AVの撮影シーンを演じることの葛藤については、「ひろみの心のヌードになる事の方が難しかったです。 いざAVの場面になると、本当のAV撮影のような状況にしてくれたので、自然のリアクションでこなすことが出来ました」。

 様々な意見や感想が続出する内、早くも締めの時間に。 永田P 「ここのシンポが良いのは、本音でぶつかってきてくれる事。 インディーズは本当に苦しいが、作り続けていきたいと思っています。 実は私、あげまんプロデューサーでして。 ここで上映した作品の監督は皆、メジャーで撮るようになってるんですね(廣木監督は「余命1ヶ月の花嫁」、滝本監督は「イキガミ」、中村監督は「ゴールデンスランバー」・・・等)。 小沼監督のこれからにも、ご期待ください。 また皆さんに是非お会いしたい。 2年後ぐらいに、また来たいものです」。 監督 「キャメラマンと打ち合わせて、今回は明るく撮ろうとしました。 彼女にとっては、晴れの舞台なので。 まあ、色々考えて撮ってますので、周りの方にも観てくれるよう勧めて下さい」。 渡辺 「佐津川さんとは初めての共演でした。 彼女の方が年下なんですが、助けられました。 親友役なので、コミュニケーションをたくさん取った方が良いのかなと考えたりしたのですが、自然とそういう雰囲気になれたんですね。 2週間という短い撮影期間だったため、1日が本当に濃くて。 この映画を撮り終えて、ようやく半歩進めたかなと思っています。 すごく大きな半歩を。 とても重要な作品でした。 出演できて、すごく幸せです」。 柴原P 「初めてのシンポジウムでしたが、生の多くの意見を聞け、すぐに答えられる幸せな環境が有り難かったです。 感謝しています。 精進して、また帰ってきたいです」。

 映画のモデルとなったみひろさんは今年、AVから卒業されました。 これまでもテレビの深夜番組や 「志村けんのバカ殿様」 などにも出演していましたし、映画ファンの間でかなり注目された 「SRサイタマノラッパー」(2009年)や今年公開された 「ランニング・オン・エンプティ」 などの映画にも出ていましたが、今後は、念願だった女優・タレント活動を中心にやっていくようです。 スクリーンで会える機会も増えることでしょう。 渡辺さんとの共演が、いつかまた観られるかもしれません。
 渡辺さんは今年だけで、本作を含め5本の映画が公開されます。 北野武監督の 「アウトレイジ」 にも出演していました。 しばらくは映画中心に活躍していってもらいたいもの。 そしてまた、ここへ帰って来て下さい!

湯布院映画祭レポート10(12)

■27日(金)■ ≪ パーティー 22:00〜 ≫ *前半

 パーティーの行なわれる [湯布院民芸村] は、昨夜の会場の近く。 ということで今夜も、2台のマイクロバスや10人乗りぐらいのワゴンに分乗しますが、私を含め7〜8人が定員オーバーとなり、ピストン輸送で1台が帰ってくるのを公民館前で待つ羽目に。 10分足らずで戻ってきて、運ばれたものの、会場の庭園に入った時には、もう小ステージに柄本夫妻が上がられており乾杯のご挨拶が始まっているところでした。 S原さんたち宮崎組の皆さんがおられるテーブルへ。(パーティーは全て立食式) 私は、いきなりのウーロン茶(笑)。 各テーブルに置かれてある2リットル入りのペットボトルから、紙コップに注ぐのですが、風が強いため、コップを手で押さえていないと飛ばされてしまいます。 柄本ご夫妻の 「カンパ〜イ!」 のご発声には、間に合いました。
 出されていた大皿の料理を食べかけたら、何と小雨が! 案内のアナウンスがあり、屋内へ移動しかけましたが、幸いすぐに上がってくれたのでした。 以後は、閉宴まで降ることなく...。 この会場でのパーティーに参加するのは8回目になりますが、今夜以上に危うい年もあったものの全て屋外で実施できているのです。 来年以降も継続されますように。 何しろ、この日の料理の目玉は、差し入れの牛肉や地鶏をバーベキューで焼いたものなので、屋内だと行なわれないかも、と心配なのです(笑)。

 そのバーベキューコーナーへ行列。 2度並んで、美味を堪能しました。 昨年宮崎でカラオケに付き合ってくれた女性のS尾さんは、石橋蓮司さんとのツーショット写真に成功。 大満足の笑顔でその成果を嬉々として見せてくれます。 「後は、仲村トオルだわ!」(笑)。
 隣りのテーブルで渡辺奈緒子さんが囲まれていたので、そばに行き、話すチャンスを窺います。 みんなが写真をリクエストし、彼女ものりのりでポーズをして収まっていました。 私もカメラを持ってくれば良かったかな(羨)。 うまい具合にそばへ寄れ、「生の渡辺さん、お綺麗なので、びっくりしました。 『nude』 の映画ニュースを幾つかチェックしましたが、それらの写真より実物の方が断然ステキです! 今は、シンポジウムも終り、ホッとしてらっしゃるのではないですか?」 「そうなんです」 「永田プロデューサーの 『ヴァイブレータ』 で寺島しのぶさんが来場された時も、シンポの前はすごく緊張されてましたからね。 でも、何度も爆笑が起こったりする、すごく盛り上がったシンポになったんですよ」 「寺島さん、明日来られますよね」 「あの年、寺島さんは 『ヴァイブレータ』 と 『赤目四十八瀧心中未遂』 で主演女優賞を獲られ、縁起の良い映画祭になったので、『nude』 も何かそれに近い事が起きれば良いですね」。 さて、話の肝に、「最近は、必要なのに脱がない女優が多すぎて。 映画ファンは、スパッと脱いでくれるとそれだけで応援したくなっちゃうんです。 これからも、必要な時には脱ぎ惜しみせず、きれいなヌードを披露して下さいね!」。 笑顔で頷いてくれた後、「脱げるのも、あと2〜3年ですからね」 と今年26歳の渡辺さん。 「いえいえ、もっともっといけます(笑)! これからも応援させてもらいますので」。

 昨夜お話し出来なかった荒井さんに、Oさんの不参加を改めてお伝えします。 「『パートナーズ』 を観られないのを、とても悔しがってました。 私好みの泣ける映画みたいなので、期待しています!」。 が、荒井さんは苦笑した感じで 「でも、盲導犬の映画だからね。 犬は演技しないから」。 そんなものなのかなと、この場では納得したのですが・・・。 荒井さんが、もう4〜5年ぐらい前に執筆された 「退廃姉妹」 というシナリオがあります。 色んな映画人の手を渡ってきた同作は現在、青山真治監督が映画化に向け、あの手この手を尽くしている筈。 確か昨年、韓国の映画祭での企画コンペで賞を獲り、一歩前進。 今年のカンヌ映画祭ではヨーロッパにも売り込みをかけ、あちらのプロデューサーも興味を示しているようです。 「『退廃姉妹』 も、早くもっと動き出せば良いのですが」 と現在の状況をお訊きすると、「肝心の日本で、なかなか乗ってくれるとこがないからなぁ」。 姉妹役のどちらかで渡辺奈緒子さんがキャスティングされる可能性はないかな? オーディションが開催されるでしょうから、応募してほしい! ━━ 気の早い話でした(苦笑)。 企画がそこまで漕ぎつければ、嬉しいのですが。 とにかく、映画化が実現した5年ぶりの作品となる 「パートナーズ」 がきっかけとなり、「退廃姉妹」 を始め脚本化済みの色んな作品が動き出しますように!

 実行委員長の伊藤氏とも、「不参加のOさんから宜しくお伝え下さいと言付かってきました」 と話し掛けた流れで、しばし歓談します。 「石橋さんのトークがすごく上手いので、びっくりしました」。 何年か前、伊藤氏は東京のモノレールの駅でばったり石橋さんに会い、食事に誘われたのだそう。 「付き合ったら、7〜8時間も一緒に過ごすことになりましてね。 石橋さんの話が尽きないんですよ。 その時、『今度は、奥さんと一緒にゲストに呼んでよ』 と言われていたので、今回、実現の運びに」。 が、石橋さんは、その事を忘れていたのだそう(笑)。

■27日(金)■ ≪ パーティー 22:00〜 ≫ *後半

 蓮司さんと魔子さんは別々に、常に何人かに囲まれています。 輪に加わり、話し掛けるチャンスを辛抱強く窺うも、しばらくはどうしようもない感じで....。 まあ、焦っても仕方ありません。 後で、再チャレンジです。
 明日のゲストである周防義和(作曲、編曲家)、tomo the tomo(女性シンガー)、三沢泉(パーカッション)のお三方が到着され、小ステージ上でご挨拶代わりに1曲披露して下さいます。 こういう趣向も良いものですね。 歌声を聴きながら、柄本明さんに 「今年もおいで頂き、ありがとうございます」 と話し掛けると、丁寧に帽子をとり返礼して下さいます。 明後日の最終日には柄本さんのご長男の佑(たすく)くんが出演している 「僕らは歩く、ただそれだけ」 が上映される予定。 「楽しみです。 しっかりと観させてもらいますので」。 毎年何本もの映画に出ておられる柄本さんは、9月に公開される 「悪人」 にもご出演。 2006年にクロージングで上映され、同年のベストワンや作品賞をほぼ独占した 「フラガール」 の李相日(リ・サンイル)監督の4年ぶりの新作です。 「『悪人』 の評判が凄くいいですよね。 早く観たいです。 そういえば柄本さん、『スクラップ・ヘブン』 のゲストで来られた時、李監督のことをかなり褒めておられましたよね。 最近、そんな風に感じた監督はいましたでしょうか?」。 「.....」。 困った質問をしてしまったようです。 「まあ、10年に1人めぐり会えるかどうか、ぐらいでしょうからね。 また来年、いらして下さい」。

 宴も終りに近づき、明日帰られるゲストの方々に小ステージの上から挨拶して頂きます。 まずは 「nude」 組。小沼監督 「シンポジウムではけちょんけちょんにされると脅かされて来て、その通りにされました(笑)。 でも、少しは褒めてもらったりもして。 色々な意見を聞けて、嬉しかったです。 またいつか呼んでもらえるよう頑張ります」。 渡辺 「シンポはドキドキだったんですけど、たくさんの方が発言して下さり、有り難かったです。 否定的なものもありましたが、皆さん本当に映画が好きなんだなと分かり、嬉しく思いました。 私も、いつかまた戻ってきたいです。 今度は、もっといい女になって帰ってきますので!」。 「待ってるぞ〜っ!」 の野次 ....いや、声援(笑)。 永田・柴原両プロデューサーも、感謝の言葉と、新作でまた呼んでもらいたい旨を。
 短編映画特集の3人のゲスト(斎藤歩,浅野普康,池口十兵衛)は、「こんな温かい映画祭は初めてです。 今度は長編でやって来たいです!」 と口を揃えて言っておられました。 乾杯の発声をお願いした柄本夫妻にも、もう一度登壇して頂きます。 柄本 「さっき挨拶したから、もうないと思ってたのに。 私は毎年のように来てまして、もう実行委員のようなもの。 来年は、イスの片付けぐらいやりますから」(笑)。 角替さんは短く、「楽しかったです。 ありがとうございました」。
 最後に、蓮司さんと魔子さんがマイクの前に。 そうか、もうお帰りになるのか...。 蓮司さんはかなり酔った感じ、「また来たいけど、荒井や柄本みたいに毎年来るのもさもしいので(笑)、数年経って、“ 湯布院映画祭? それ、どこ?” って思うぐらいになった頃、また来たいです」(笑)。 魔子 「40年ぐらい前の映画のゲストとして呼んでもらい、何だか申し訳ない気持ちでしたが、シンポやパーティーで色々お話ししてると、ああ、こういうゲストでも大丈夫なんだと思うようになりました。 今回はありがとうございました。 またいつか来られたら、嬉しいです」。

 壇上から下りられた魔子さんは、私のいる方へ歩いてこられ、そばで立ち止まられたので、うまい具合に話し掛けることが出来ました。 「お若いので、びっくりしました。 特に、声が。 お隣り宮崎県のご出身なんですよね。 実は私、去年初めて宮崎映画祭へ参加したんです。 湯布院に来たついでに帰省されたりはしないんですか?」 「姉がいるのですが、2年前に帰ってるし、今回はその予定はなくて」。 口蹄疫問題に触れると、「実家があるのが、被害地域のすぐそばの高鍋ということもあり、とっても心配でした」 と表情を曇らせます。 私が 「さっき宮崎映画祭の実行委員の人がご挨拶に来たと思うのですが、7月に開催された今年の映画祭は、他の色んなイベントが中止になる中、消毒などの対応をした上で実施し、盛況だったみたいですよ」 そうお教えすると、頬を弛めて下さいました。 「是非、また新作にも出演して下さい」。
 そうこうする内、閉会が宣せられ、出口に近い場所にいる私の方に今度は蓮司さんがゆっくりと歩いて来られます。 「今回はありがとうございました。 数年後と言わず、また近い内においで下さい!」 と、声をおかけするのに成功。 「それは君たち次第なので、頑張ってくれよ」 と握手してくれました。 どうやら、その辺りに何人かいた実行委員の1人と勘違いされたみたいです。 蓮司さんには、時間があれば 「今日のシンポでの ” 監督に演出されることなく、まずこちらから提示する ” の発言には驚きました。 北野監督の 『アウトレイジ』 でもそうだったんですか? それはOKになったんですか? 監督から手直しの演出はあったのでしょうか?」 などお訊きしたかったのに。

 宮崎組の皆さんと一緒に、宿への帰路に。 S原さんは、しっかりと携行ライトを持参されています。 初参加のS尾さんはホテルにご宿泊ですが、他の方は、事務局を通して申し込む離れ形式の相部屋の宿。 途中までは同じ道筋です。 談笑しながら歩いていたら、分かれ道になっている所を行き過ぎちゃいました。 何しろ、私の宿へは田んぼの畦道に入っていくのですから(笑)。 「いけない。 また明日」 と慌てて引き返します。 そこから宿までは、2〜3分の距離。 風呂に入り、パーティーでの出来事をメモに書きとめてから、就寝したのでした。 就寝しようとしたのでした....。

湯布院映画祭レポート10(13)

 前夜は、蒲団に横になると咳が頻繁に出てしまい眠りに落ちるまで時間がかかったため、4時間ぐらいしか寝られませんでした。 予定時刻より早く、たぶん乾燥からくる喉の痛みで目が覚めてしまいましたし・・・・。 まあ、これまでも、家とは違って熟睡とまではいかず睡眠不足状態の続くのが映画祭参加時の常ですから、この程度なら大丈夫でしょう。 朝食は昨日と同じく、コンビニで買ったのを共用スベースの冷蔵庫に保存しておいた菓子パンと、カップコーヒー。 今日も、途中でおにぎりやサンドイッチなど口にすることなく、15時頃の空き時間までもたすことが出来たのでした。 空は、雲が多いものの、まあ晴れ。 日中は、それなりに暑くなりそうです。

 3日目土曜日の本日は、二つ目の特集が組まれています。 < 少し不思議な映画music 音楽家・周防義和特集 > ━━ 【 周防正行監督作品の音楽担当として認識している人が多いのではないかと思うが、実は30年を超えるキャリアを誇る音楽家・周防義和の特集。 決して音楽が一人歩きするのでなく、映画に寄り添うように、基調となるメロディーを奏でる彼の映画音楽に対する考え方を、ユニットを組む tomo the tomo とのミニコンサートを交えてお聞きします。(リーフレットより)】
 今朝は、会場へ向かう途中、いつもの道を少し外れて、東京から初参加されたYさんが滞在されている素泊まりの宿を見学に。 外からざっと眺めただけですけど。 こちらの方が100円だけ高いという事だったのですが、それは私の宿でも今年から徴収される事になった入湯税の筈なので、全く同額なのが判明。 民家の内部を改装した私の所と違い、かなり宿らしい外観だし、道路事情もこちらの方が優れていて何かと便利です。 負けたかも(笑)。 まあ今の宿は慣れたとこだし、特に不満を感じている訳でもないので、当面変更するつもりはありませんが、同じような宿の存在を把握でき、これからが安心です。  会場には予定通り、上映開始の10分ほど前に着き、冷房の効きすぎない10列目ぐらいの通路脇の席に腰を下ろすことが出来ました。 日中は、周防正行監督の従兄である周防義和氏(3歳上)が音楽を担当した映画からセレクトした3本が上映されます。

■28日(土)■ ≪特集上映「シコふんじゃった。」 10:00〜11:43≫

 説明するまでもない、周防正行監督の傑作です。 1992年度のキネマ旬報ベストワン作品。 【 偶然、相撲部に入ることになった大学生の挑戦と、淡い恋を描いたコメディ。 時にコミカルに、時にしんみりとストーリーの流れに誘う周防義和の音楽が、心地よいリズムとテンポで観客の心に染み込んでくる。(リーフレットより)】 客席は、3〜4割の入り。  もちろん公開時に観たし、テレビ放映時に再見もしているため、少し迷ったのですが、パスしなくて大正解でした。 映画大好き人間たちが上げる笑い声や歓声に包まれながら “ スクリーン ” で観ると、面白さが倍増するのです。 クライマックスでは、拍手まで! 王道の娯楽映画です。 王道中の王道。 笑って、笑って、泣かされました。 忘れている部分も多く、すっかり惹き込まれる結果に。 大満足。 堪能しました。 ただ....。 観終わって、“ もしも本作が、今映画祭で観た中で一番面白い映画だったなら、どうしよう ” と半分本気で心配したのでした。

■28日(土)■ ≪ 特集上映 「歓びの喘ぎ 処女を襲う」 11:50〜12:52 ≫

 昨年はヒット作の 「禅 ZEN」、今年は問題作の 「BOX 袴田事件 命とは」(モントリオール世界映画祭出品作品)が公開された高橋伴明監督のピンク映画時代の作品。 ちなみに周防正行監督や、「おくりびと」 がモントリオール世界映画祭でグランプリに輝いた滝田洋二郎監督等も、ピンク映画出身です。
【 かつて熱心な活動家だったが、今はバーテンとして女とのSEXに耽(ふけ)る毎日を過ごしている主人公の勉。 彼には、公害のため漁師をやめざるを得なかった父と、その公害のせいで白痴になった妹がいた....。 社会派ポルノとも言うべき傑作の怒りの鼓動を周防義和が刻む。(リーフレットより)】

 タイトルは過激ですが、内容は今に繋がる社会派のドラマ。 当時は、何分か毎に濡れ場を入れさえすれば、後はほぼ自由に監督の描きたいものが撮れていたのです。 こうして腕を磨き、後の一流監督が何人も誕生することに。 それにしても、前日の 「赫い髪の女」 といい本作といい、よくぞラインナップに加えることが出来たものだと改めて思います。 さすがは、日本で一番歴史のある映画祭。 さて、映画は、惹き込まれるというほどではなかったものの、観られて良かった作品でした。 客の数は、「シコふんじゃった。」 よりは多かったようです。 私と同じように、今回が初見の人が “ 観ておこう ” と足を運んだのでしょう。

■28日(土)■ ≪特集上映「東京マリーゴールド」 13:00〜14:37≫

 2年前の9月に惜しくも急逝された市川準監督が、田中麗奈をヒロインに起用して撮った2001年作品。 【 1年という限定された恋愛の中で、見えない女の影に揺れる女ごころを描いた作品で、恋愛で揺り動かされる心の襞(ひだ)に寄り添うように流れる周防義和の音楽が素晴らしい効果を上げている。(リーフレットより)】
 公開時に、なかなか面白く鑑賞。 9年経っているので、今回も楽しめました。 本日の3本の中では、最も席が埋まっていたでしょう(半分程度)。

湯布院映画祭レポート10(14)

 特集上映が終了してから次のプログラムまで50分ほど空きがあるため、遅い昼食 兼 早い夕食に。 昨日の夕方はどちらも開いていなかった定食屋をめざします。 時刻は14時45分頃。 平日なら昼の営業を終えて一旦閉めている時間かもしれませんが、今日は土曜日。 ほっ。 2軒の内、入りたかった方のお店が営業してました。 一昨年に食べたことのある焼肉丼を注文。 普通に美味しかったです。 手早く食べて、駅前に戻ります。 食後のあれを(笑)。 昨日も食べた土産物店をめざすも、その少し手前に新しいスイーツの店がオープンしており、吸い寄せられて、そこのソフトクリームにしたのでした。 濃厚で悪くありません。 でも私の好みは、やはり....かな。 ここより安いし。 さて、早めに会場へ戻りましょうか。 なるべく咳を我慢できるよう、そしてもし咳いても歌や演奏の邪魔にならぬよう、真ん中より後ろ、10列目ぐらいの通路脇の席を確保しなければなりませんから。

 会場に入ってくる際、受付の横辺りに、本日の新作 「キャタピラー」 の追加上映が決定したとの案内が貼られてあるのに気づきます。 予定していた時間帯の上映が終った後、20時過ぎから2回目がかけられるのだそう。 話題作ですからね。 ゲストのおいで下さる新作は満員になってほしいものの、通路まで床に座って観るお客さんで溢れるのは、上映後に退場しづらくシンポで良い席が取れなくなるという問題も起こるため、すし詰めが緩和されるであろう2回目の上映決定は、歓迎すべき事です。 あ、もちろん、そんな個人的な都合の良い理由だけでなく、これでもっと多くの人に 「キャタピラー」 を観てもらえるのが一番の理由なのは、言うまでもありませんが(汗)。

■28日(土)■ ≪トーク アンド ライブ 15:30〜17:00≫

 周防義和さん、tomo the tomo(女性シンガー)さん、三沢泉(パーカッション)さんが、袖から舞台に出てこられ、椅子に座られます。 場内は半分ぐらいの入りでしょうか。 こういうイベントは、私が初参加した2000年に、<快楽亭ブラック師匠の映画高座> が行なわれて以来では。 まずは、主に周防さんが喋られたトークショーです。
 「歓びの喘ぎ 処女を襲う」 はビデオ化もDVD化もされておらず、30年ぶりにご覧になったのだそう。 「撮影4日、音楽入れ3日という過酷なスケジュールでした。 音楽の予算は、ほぼなかったですね」。 なにせ、映画全体の予算が300万しかなかったのですから。 「当時ピンク映画として公開されたこの作品を、まさか30年後に、真っ昼間、こういう場所で皆さんと一緒に観るとは思いませんでした」(笑)。 高橋伴明監督には優しくしてもらったのだとか。「新宿に呑みに連れて行ってもらい、奢ってもらいました。 知っている映画監督の中で一番やさしい方ですね」。 映画音楽は、監督によって、つけ方が全く違うとの事。 「周防正行監督も市川準監督も、音楽で臭く盛り上げることはなかったですね」。

 トークショーは20分ぐらいで終り、ライブが幕を上げます。 確かまだ小さい子供の母親だとおっしゃっていた tomo the tomo さんは優しい顔立ちの綺麗な方で、歌もそんな感じでした。 曲の合間には、MC。 tomo 「『シコふんじゃった。』 客席で観ました。 歓声が上がったり拍手が湧き上がったりで、盛り上がってましたねぇ!」。 周防 「私も、泣きながら観てました。 笑いの連続する映画なんですが、そんな中にもグッとくるものがあるし、当時の事が思い出されて・・・」。
 5〜6曲披露された後、tomoさんの 「今日は、映画祭で歌えるなんてすごく光栄ですし、こんなに多くの方に来て頂き、嬉しいです!」 という挨拶に続き、ラストの曲が。 ━━ そして、アンコールの拍手。 袖から再び3人が登場されます。 tomo 「また来たいですね」。 周防 「勝手に来ちゃいましょうか」(拍手)。 tomo 「呼ばれてないから、そこらで路上ライブしたりして」(笑)。 アンコールも含め50分ほどのライブでした。 たまには、こういう催しも、良いものですね。 10年おきと言わず、5年に1度ぐらいは実施されますように。  

湯布院映画祭レポート10(15)

 次の 「キャタピラー」 の入場が開始される18時過ぎまで1時間ぐらいあるため、駅前通りをブラつきます。 明日はこの時間帯に遅い昼食 兼 早い夕食をとることになる筈なので、どの店にするかの下見を主な目的にして。 近くに、たぶんこの1年間にオープンしたと思われるまだ入ったことのないお店を発見。 一応、駅のそばまで歩き回ってみましたが、やはりさっきの所が良さそうです。 早めに会場へ戻って、ロビーのソファーで、全日券の列が出来始めるのを待ちます。

■28日(土)■ ≪特別上映「キャタピラー」 18:30〜19:54 ≫

 8月14日から既に全国で公開されている(岡山市や、湯布院からそう遠くない大分市でも)若松孝二監督の話題作が、氏の前作 「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」 が2007年に試写作品として上映された本映画祭で今回は 『特別上映作品』 としてかけられます。 当初は、最終日(翌日曜日)の午前10時からの枠にプログラムされていたものの、主演の寺島しのぶさんも来場されるし多くの観客が詰め掛けることが予測されたため、こちらの枠へ移動することになったのでした。  私は、今映画祭での定位置になったような右側エリアの前から8〜10列目辺りの通路脇の席に。 ゲストの顔があまり見づらくないよう、この時は8列目だったかな。 全日券の客に続いて、前売券の客、当日券の客がぞろぞろと入ってきて、場内は当然のごとく満席に。 立ち見もかなりの数。 これだけ一杯になるのは、いつ以来でしょう? 2007年の 「連合赤軍」 からこっち、ここまで混んだ事はなかった筈。 上映が2回に増やされてなかったなら、どんな状態になったことか。 まあ、何にせよ、定員以上のお客をどうさばくかの思案は、嬉しい悩みに違いないでしょう。 明日は、実行委員をもっと困らせるぐらいのお客さんが押し寄せてくれますように(笑)。

 舞台挨拶が始まります。 司会者からの 「2003年の 『ヴァイブレータ』 以来、2度目となる寺島しのぶさん」 との紹介を受け、黒のシックな ・・・・ シックすぎないワンピース姿の寺島さんが右前部のドアから入ってこられ、4〜5段ある階段を舞台へ上がられます。 続いて、「若松監督のご厚意により、ここ大分県でも大分市で上映中なのに、映画祭でもやれることになりました。 若松孝二監督です!」。 監督が同じように登壇されます。
 寺島 「こんにちは。7年ぶりになります。 ここは映画好きの集まりで、フランクに話してくれたのをよく覚えています。 今日はこんなに多くの人が興味を持っておいで下さって、嬉しいです。 後ほどシンポジウムで、色々と感想を聞かせて下さい」。 監督 「どうも、若松です。 ありがとうございます。 この湯布院は、52年前に初めてスタッフとして映画の撮影をやった地になります。 その時、監督の指示で戦争について調べたのが、『キャタピラー』 につながっています。 とにかく、観て下さい。 『連合赤軍』 の学生たちの親たちの話です」。 ここで監督は、持っていた分厚いそれを客席に見せ、「『キャタピラー』 のパンフレットなんですが、ほんとにいいです。 本棚に1冊。 ぜひ買って下さい。 そうすると、次の映画が撮れて、来年また来られるかもしれない(笑)。 ロビーの販売コーナーにありますので。 寺島さんと私の直筆サイン入りですから!」。
 尚、フィルムは全て全国の上映館に行っているため、DVCAMでの上映になります。

【 第二次大戦末期のある農村、戦場で四肢と声を失い、顔半分が焼けただれた夫が帰って来た。 「実録・連合赤軍」 の若松監督が、ひと組の夫婦の残酷な運命を通して、戦争の実相と本質に挑む入魂の傑作。 寺島しのぶが、ベルリン国際映画祭主演女優賞に輝く。(リーフレットより) 】

 予告編は岡山市のミニシアターで何度も流れていました。 また、ここ2〜3ヶ月は本作に関する色んな情報が否応なく目や耳に入ってきたものです。 なるべく、スルーするようにはしていたのですが。 予備知識なしの全くの白紙状態で本作を観たなら、かなりの衝撃を感じていたことでしょう。 上映時間が84分と短いし、最後まで引き込まれはしたものの....、ほぼ予告編から想像できた通りの映画でした。
 寺島さんについても、この役を出来る女優は現在の日本では彼女ぐらいしかいないだろうな、という熱演には違いないのですが、可能ならベルリン国際映画祭の前に鑑賞したかった。 “ 銀熊賞を獲得した演技なんだ ” の意識がチラついてしまい、客観的に観られなかった気がしますから。 いま思えば、まだ何の評判にもなっていなかった7年前の 「ヴァイブレータ」 は、ずいぶん幸せな鑑賞であったようです。
 いずれにせよ、2010年の日本映画界にとって重要な1本であるのは間違いないですし、寺島さんの演技は国内の映画賞においても主演女優賞の有力候補になることは確実でしょう。 また、その陰に隠れがちですが、夫役を演じた大西志満さんの役者魂も見事だったと思います。 四肢を失ったあの姿は、どんな風にして撮ったのでしょうか? 超低予算映画なので、CG処理など考えられないし。

 ところで、本作の脚本は、黒沢久子さんと出口出(いずる)氏の共作ですが、黒沢さんは、昨年の試写作品に決定していながら押尾学の事件で上映が取り止めになってしまった 「誘拐ラプソディー」 の脚本家でもあるのです。 「誘拐〜」 は中止になったもののゲストとして来祭され、荒井晴彦氏のお弟子さんである関係からOさんに紹介してもらい色々お話したものでした。 今年もおいで頂きたかったなぁ。 何年かの内には、2度目のゲスト参加が実現することでしょう。

湯布院映画祭レポート10(16)

■28日(土)■ ≪シンポジウム「キャタピラー」 20:15〜21:45≫ *前半

 最前列狙いではなかったため、2列目の席になりました。 2007年の 「連合赤軍」 の時には、キャパの多くない2階視聴覚室だとお客が入りきらない恐れがあったため上映ホールでそのままシンポジウムを行なったものです。 今回は、2回目の上映が行なわれるため、必然的に視聴覚室での実施。 立ち見が数十人に膨れ上がっています。 入場お断り、という所までは行っていないと思うのですが、その寸前だったかも。 さすがは、『銀熊賞』! ゲストのお2人は、2回目の上映の前にも舞台挨拶に立たれ、そのため少しだけこちらの会場へ来られるのが遅れています。 尚、予め、「写真撮影はご遠慮ください」 との注意が流されたのでした。

 司会者が左端で、寺島さん、若松監督の並び順。 寺島さんは、さすがに7年前とはオーラが違います。 司会 「全国公開中の作品をかけるのは初めてです。 成り立ちとかは知れ渡っていると思うので、早速、皆さんの感想から聞いていくことにします」。 寺島さんの演技を褒める声を受け、彼女は、「ノーメイクだったんですけど、自分からそうしようと言ったんですね。 戦争中に化粧しているのはおかしいだろう、と。 廣木さん(廣木隆一監督)も素顔が好きで、『ヴァイブレータ』 もほとんどスッピンでした。 疲れてきたら目の下にクマが出るんですけど、それも映像で効果を発揮してくれたらいいな、なんて。 私、素顔が好きなんです」。 夫役の大西志満(しま)さんが凄かったという意見も、「『ジョニーは戦場へ行った』 を思い浮かべました。 あれより良く出来てました」。
 監督は、寺島さんのノーメイクについて、「貧乏プロなので、メイク係などいないんですよ。 寺島さんがノーメイクでいきましょう、って言ってくれて、“ ああ、助かったな ” って」(笑)。 続いて、ちょっと脱線気味なトークになった流れで、写真を撮られる際のピースサインに言及、「あれは、止めてほしい! 広島と長崎に落とされた原爆の事ですから。 2本指立てて、これで戦争が終ったとアメリカ兵が始めたサインなんですよ」。 年配の方からの熱い感想が続きますが、普通の内容であったため特にメモに残してはおらず、詳細は省かせてもらいます。

 寺島 「大西くんには感謝しています。 『赤目』(赤目四十八瀧心中未遂)以来だったんですけど、全然別人になってました。 “ あんな表現が出来る俳優さんなんだ!” と目を見張りました」。 夫は声も失った体・・・・、「演じながら、心の会話は十分できていた筈です。 彼こそ賞に値すると思います。 評価されてしかるべき演技でした」。 監督が補足して、「最後に転げ回るところ、頭から流れてるあの血は本物なんですよ。 あいつ、本気でやるから」。 「連合赤軍」 で監督は、出演者のARATAさん、地曳(じびき)豪さん、そして大西さんと4人で呑んでいて、「次は大西でやると決めました」 との事。 「寺島さんも大西くんも大変だったと思います。 2人とも入り込むんで。 撮影は、全部ぶっつけ本番ですからね。 寺島さんに “ 2週間だけ下さい ” と頼み、12日間で撮った。 一発OKばかりで。 2回は出来ない芝居ですよ。 1度だけ、2回目を撮ったかな」。 シゲ子(寺島)が久蔵(大西)の顔に卵をぶつけるシーンがあります。 あれは台本では投げるとだけ書いてたのを、寺島さんがああしたのだそう。 監督 「大西も、ここへ呼んでやればいいのに」。

■28日(土)■ ≪シンポジウム「キャタピラー」 20:15〜21:45≫ *後半

 寺島 「相手役、スタッフとの打ち合わせも、一切なし。 それで、ちゃんとレンズに収めるのですから、ものすごく素晴らしいキャメラマンさんですよね。 スリリングだったし、具合も悪くなりました。 血尿が出ましたからね」。 ここで、「失礼します」 で有名な滋賀のOさんが、寺島さんの演技を絶賛、「ベルリン映画祭で、寺島さんが主演女優賞を獲らないで誰が獲るんや、と!」。
監督 「シゲ子役には、まず寺島さんを思い浮かべたんですが、出てくれないだろう・・・・。 とにかく台本を読んでもらいたい。 読んでもらおう! 新たに印刷する金もないので、色々手直しの書き込みをしたものを、助監督が別の台本に清書して、それを送ったんですね。 2日後ぐらいに、OKを貰いました」。

 寺島 「『赤目』 と 『ヴァイブレータ』 で主演女優賞をもらい、それからここまでの方が、モチベーションの持ち方が辛かったですね。 次、何やろうかと。 『キャタピラー』 まで7年ぐらい待ちましたからね。 ここまでのめり込める作品は、また何年も待たなければいけないんでしょうね」。 母親の富司純子さんが、試写会においでになったのだそう。 監督は、とにかくまず 「(こういうハードな撮影を、娘さんにさせてしまって)すいません!」 と陳謝。 けれど富司さんは、「素晴らしい映画でした」 とお礼を述べてくれたのだとか。 監督 「その後、富司さんから事務所に電話が入ったんですよ、『前売券650枚買います』 と。 追加で、また100枚買ってくれました」。
 客席からは、「大西さんの五体不満足(四肢を失った姿)の秘密について教えて下さい」 との質問が。 監督 「どうやって撮ったか? CGは使っていない! 皆さんをうまく騙せたね。 大西が初めて登場するのが、あのタイトルの出た、後ろにもたれてのシーン。 あれで、観客には、四肢がないんだとインプットされるので、少々やばい場面でも乗り切れたんだな」。

 締めくくりのひと言を頂く時間。 寺島 「若松組を経験できて、良かったです。 本当に一発で撮るんだなって。 刺激的でした」。 監督 「中高生に観てほしい。 只でもいいんです。 劇場が “ 勘弁してくれ ” って。 だから、ワンコインにした、500円に。 一般が1300円。 前売りは1000円。 とにかく、一人でも多く観てもらいたい!」。
 確か否定的な意見も2、3出ていたように思いますが、監督に軽くかわされたというか、しっかりとは相手にしてもらえなかったように記憶しています。 また全体的には始めから賞賛派が多数だったため、途中からはその流れが出来上がったみたいです。 監督のパワフルさも目立っていた感じ。 まあ、公開前には全国で十数ヶ所かそれ以上 『特別先行上映会』(舞台挨拶付き)を行ない、観客からの様々な意見は既に耳に入っているでしょうし、現在は全国公開中でありかなりのヒットになっているようで勢いに乗っている状態なのですから、今回に関してはこれぐらいパワフルで少々独善的であっても、まあ構わなかったのでは。 それに、高校生料金を500円にしたというのは立派なことです。

 さて、パーティーだ。 監督には、どうしてもこれを伝えたいというものがないため声をおかけする事はないでしょうけど、寺島さんとは何かお話ししたい。 過去に2度、本映画祭と 『ゆうばりファンタ』 とで言葉を交わした事はあるのですが。 どうなりますやら。  

湯布院映画祭レポート10(17)

■28日(土)■ ≪パーティー 22:00〜 ≫ *序盤

 今夜の会場は、[ゆふいん麦酒館]。 徒歩で向かいます。 7〜8分の距離。 入口で、地ビールのジョッキ1杯券が渡されます。 館内での立食パーティーであり、中に入ると、その地ビールを注いでもらうコーナーへ直行し、普通か黒のどちらかを選び、受け取ったら、好きなテーブルへつくのが、ここでの流れ。 私は、地ビールコーナーに並ぶ前にやる事が。 お酒の弱い私は、ジョッキで貰っても半分呑むのが、せいぜい。 残すのが勿体ないので、ここ2〜3年は誰かにジョッキ1杯券を差し上げているのです。 今年は、最初からお目当ての人が。 あ、いたいた。 宮崎組のKさん(男性)。 呑むのも食べるのもお好きそうな体型(失礼!)ではないですか。 「私は呑めないので、もしお好きなら、どうぞ」。 この時のKさんの、にっこりとした顔が忘れられません(笑)。

 まずは、食べ物。 バイキングなので、各テーブルにある紙皿を手に、好みの料理を盛り付けてきます。 食べかけた頃、中央の壁際の、そう高くないけれど割と広いステージに、若松監督と寺島さんが登壇。 乾杯のご挨拶が始まります。 たぶん普通の内容だったと思います。 正直言うと、料理に目が向いていたため、ほとんど覚えて・・・・(汗)。 同じテーブルの人同士で、紙コップに瓶ビールを注ぎ合い、備えます。 「カンパ〜イ!」━━ 私も、一応はビールを口に。 最初からウーロン茶にしたかったのですが、テーブルにペットボトルが置かれてある訳でもないし、ノンアルコールドリンクのコーナーも見つけられなかったため、仕方なく。 後で何とか、ウーロン茶を手に入れました。
 料理を口にしていると、私より年上の和服姿の女性が、「岡山から来られた○○さんですか?」 と声をかけてこられます。 確か、昨年も今年もシンポで発言されていた方。 私は2002年から某映画サークルの毎年のベストテンの投票に参加しており、主宰されている神奈川のKさんに本映画祭をはじめ色んな映画祭のパンフレットをお送りしているのですが、氏の奥様のご友人で東京から来られた方なのだとか。 M澤さん。 この時は、喉の調子が悪く、喋ろうとしても咳き込んでしまいがちだったため、簡単に挨拶を交わしただけでしたが、後で落ち着いてから、あれこれお話しさせてもらったのでした。 宿では、何と福岡のRさんと同室なのだそう。 私の事は彼女から聞いたのか、全日券での参加者は名前入りのパスを首から下げているため、それで見つけてくれたのでしょう。 いつかはKさんにも初参加して頂きたいもの。

 ここの料理は、4年ぐらい前までは年々質が落ちていましたが、同時期を境にしてV字回復。 現在では、4夜の内で一番豪華でしょう。 洋風を中心にした洒落たホテルバイキングといった感じ。 分厚くはないですがステーキもありました♪ ひと通り食べようと思ったら、お腹がパンクするのでは。 スイーツやフルーツもあります。 ショートケーキは、ひと口サイズ。 10種類以上あったでしょう。 残すといけないので4〜5種類だけ載せて戻りましたが、どれも美味しく、ぺろりといけました。 もう一度取りに行き、全種類制覇してやろうかな、などと。 食べ過ぎて苦しくなり、ゲストとお話し出来なくなるとまずいので、自重しました。 さあ、コミュニケーションタイムだ。

 確か中ぐらいのを2つつなげて長テーブルにしたものが、全部で10以上並んでいるでしょうか。 実行委員や館の従業員まで含めると恐らく300人近くが、ここに集っている筈。 私や宮崎組の皆さんのテーブルは、奥から3番目ぐらい。 一番奥や、壁際に並べられた椅子には、ゲストの皆さんが多数いらっしゃいます。 「nude」 の渡辺奈緒子さんを発見。 昨夜のパーティーでお別れの挨拶をされたので、もうお帰りになったのかと思いきや・・・・。 寺島しのぶさんに、ご挨拶されています。 しばらくして、渡辺さんに接近、「寺島さんに挨拶できたんですね」。 「nude」 の永田プロデューサーは、「ヴァイブレータ」 も手掛けられた方。 寺島さんとはツーカーの仲ですから。 明日の特別上映作品の廣木隆一監督も来られており、ついさっき渡辺さんは、同監督と紙コップを合わせて乾杯をしておられました。 「いつかは、廣木監督の映画にも出てもらいたいなぁ」 「出たいです〜!」 「湯布院が縁で、新しい仕事が決まる事だってありますから、そんな作品でまた2〜3年後に来て下さいね!」。 今夜も渡辺さんとお喋り出来るとは思ってもいませんでした。 いや、ラッキー!

■28日(土)■ ≪パーティー 22:00〜 ≫ *中盤

 明日の廣木監督作品 「僕らは歩く、ただそれだけ」 に主演している安藤サクラさんが、一般参加者のおじさんたちに囲まれています。 昨年に続いての連続ゲスト。 お酒で口が軽くなったか、その内の1人が 「私生活でもお忙しそうで」 と陽気にからかいます。 実は、開幕の数日前に発売された女性週刊誌に、サクラさんと柄本佑(たすく)くんが親密交際しているという記事が出ていたのです。 明るく苦笑する彼女。 ここでは、軽いジョークみたいな感じで済むのが良いところ。 現在朝ドラ 「ゲゲゲの女房」 にも出演中の柄本くんは、父親の明さんに連れられ小さい頃から何度も本映画祭に参加しており、今でも一応は実行委員の1人なのです。 役者としてまだそんなに売れてなかった4年ぐらい前までは、普通に実行委員としての裏方仕事をしていたもの。 一方サクラさんも、父親である奥田瑛二氏に連れられ、これまた子供の頃から数多く訪れており、湯布院はお馴染みの地。 佑くんとは幼なじみみたいなものなのでは。 普通に友だちとして仲が良いだけなのだと思いますけどね。 もちろん、万一恋愛関係にあったとしても、全然OK。 その佑くんも 「僕らは〜」 に出演しており、明日はゲストとして来場するのです。 “ さて、どうなる ” とチラと思ったものの、そんな事はすぐ忘れ、映画に関するあれこれをサクラさんに話し掛けたのでした。

 昨年の映画祭のパーティーで彼女は、近々撮影に入る予定の作品について簡単に教えてくれました。 「去年おっしゃっていたのは、『サイタマノラッパー2』 のことだったんですね。 あちこちでかなり評判になっていて。 映画の舞台となった群馬県の上映館でも、すごく盛り上がったみたいです」。 その上映館というのは、3月に 『高崎映画祭』 へ2度目の参加をした折、入場した 『シネマテークたかさき』 なのです。 「私は岡山から来たんですが、残念ながら 『サイタマノラッパー2』 は未公開のままで、観られてないんです」。 最近のサクラさんは、映画の仕事がちょっと空いているのだそう。 「来年、やりたい仕事があるので」━━ その準備をしている模様。 「僕ら〜」 は昨年、「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」 のすぐ後で撮ったのだと教えてくれます。 結構ゆっくりと話せたのですが、大事な事を訊くのを忘れたのに後で気がついたのでした。 姉のモモ子さんは、昨夏の本映画祭で試写上映された 「カケラ」 という作品で監督デビューし、私を深く魅了してくれたもの。 2作目がそろそろ具体化しているのではないか、とサクラさんから聞き出したかったのです。 まあ、明日のパーティーにもおられる筈なので、またチャンスはあるでしょう。

 ここで、サクラさんに、ちょっとお詫びを。 実は、某映画雑誌の読者欄に短く湯布院レポを書き送ったのですが、若手女優ゲストの渡辺奈緒子さんと大塚ちひろさんには触れながら、サクラさんについては字数の関係で省かざるを得なかったのです。 若手といっても、映画界ではもうしっかりとした地位を確立しておられますから、まあいいか、とも考えましたし。 お蔭で掲載されたものの、失礼な事をしたと気になっていたので、こんな所で何ですが(笑)、ひと言謝っておきたいと思います。

 今度は、廣木監督の元へ。 同監督は昨年、「余命1ヶ月の花嫁」 を大ヒットさせました。 「監督、あの作品は昨年の私のベストワンだったんです! 榮倉奈々ちゃんが良かったですよね。 エンドクレジットにもやられました。 監督名の後、一番最後に彼女のクレジットを出すなんて! じ〜んとしました」。 監督は今年もメジャー作品を撮られています、「『雷桜』、観て下さい」。 自信がありそうな口ぶりです。 10月22日公開の同作のヒロインは、大大大好きな 「フラガール」 の蒼井優ちゃん! 榮倉奈々ちゃんをあれだけ素晴らしく撮った監督が、今度は優ちゃんをどれだけ輝かせるのか。 楽しみでなりません。 「いつの間にか 『僕らは歩く、ただそれだけ』 を完成させられてたんで、びっくりしました」。 常に、何本もの企画が同時進行している状態なのだそう。 廣木監督は、2003年の 「ヴァイブレータ」 から 「ラマン」 「やわらかい生活」 と3年連続で本映画祭に登場されました。 今回は5年ぶり。 また2〜3年ぐらい続けておいで頂きたいものです。

 半ば近くとなり、ゲストの方々にご挨拶をお願いする時間。 順番にステージへ上がって頂きます。 同時に書き留めたりはしていなかったため、後でメモするまで覚えていた内容のみ再現してみましょう。 周防義和 & tomo the tomo 組からはこの言葉を。 tomo 「歌いながら、嬉しくて泣いてました」。 「キャタピラー」 組の若松監督と寺島さんは、乾杯の際一度マイクの前に立っているし、明日もあるからとパス。 「僕らは歩く、ただそれだけ」 組からは、廣木監督と安藤サクラさん。 監督 「明日10時からの上映なので、深酒しないで来て下さい」。 サクラ 「この場所ではしっかりお酒呑んで、サッと寝て、明日10時に来て下さい」。
 明日の午後に上映される試写作品の 「パートナーズ」 組からは、還暦を過ぎた新人監督の下村優氏と、ヒロイン役の大塚ちひろさん、そして共同脚本の井上淳一さん。 .... 荒井さんの姿がありません。 井上 「誰か1人足りないとお思いでしょう(笑)。 メインライターの荒井晴彦は、ここに立つと、今日上映された某映画の悪口を言ってしまいそうなので、自粛するそうです(笑)。 この 『パ−トナーズ』、何と、荒井脚本初の “ 文部科学省選定映画 ” なのです。 人のシンポで糾弾するのは好きですが、いざ自分となると打たれ弱いので、どうぞ宜しくお願いします」。 人のシンポで糾弾 ... というのは、「オカンの嫁入り」 でシナリオについて気になった点を質問した時のことを大袈裟に言っただけです。 荒井さんが悪口を言ってしまいそうな作品というのは、もちろんアレのこと。 本レポの最初の頃にも一度記しましたが、さすがにここではボカシを入れておくことにします(汗)。 下村監督 「こう見えても、新人監督です(笑)。 明日はお手柔らかにお願いします」。 大塚 「初めまして。 この雰囲気に魅了されています。 明日は、どうぞ映画を楽しんで下さい」。

■28日(土)■ ≪パーティー 22:00〜 ≫ *終盤

 大塚ちひろさんは、さっき私が廣木監督とお話ししている時、同じテーブルの向かい側におられたのですが、タイミングが合わず。 この挨拶の後しばらくしてから、姿を探すも、見当たらず。 夜更かしせず、宿に引き上げられたのでしょう。 明日はシンポがあり緊張されている筈なので、「心配しなくても大丈夫ですよ。 終る時には、“ もっと続けてほしい “ と思うぐらい楽しい時間になるでしょうから」 と安心させるひと言を掛けてあげたかったのですが。

 寺島さんは、壁際に幾つも並んでいる背もたれ付きの椅子の一つに座っておられます。 その前の人口密度も高くないし、話し掛けるなら今がチャンス。 「噂以上の演技に引き込まれました。 最初にスクリーンに登場した時の表情が凄くて、ゾクッとしました。 岡山から来たのですが、今月上旬に岡山で行われた特別上映会においで下さって、ありがとうございました」 「岡山。 はい、行きましたね」 「湯布院に来られるのが分かっていたので、特別上映会には行かなかったのですが、全国各地かなり回られたのでしょうね」 「ええ、回りました」 「そういうプロモーション活動のお蔭で、今日は上映が2回に増やされて。 大分市内でも公開中なのに。 単館系の作品を特に応援しているので、嬉しいです」。 そろそろ話を切り上げようかとした時、実行委員が 「お話し中、すいません。 寺島さん、お車が待ってますので」 と彼女を呼びに。 エスコートされて、寺島さんは出入り口に向かわれたのでした。 声を掛けるのが2〜3分遅ければ、お話し出来ていなかったということ。 ラストチャンスだったんですね。 過去に言葉を交わした事もあるし、今回もどうしてもというほどではありませんでしたが、せっかくの機会を逃がさず、銀熊賞女優とぎりぎりのタイミングで話せて、ラッキーでした。 そうそう、寺島さん、両肩を露出した装いだったのですが、座っている彼女に近づくと、お酒の入ったせいなのか肩から胸元にかけての肌や頬がピンクに染まっているのが良く分かり、ますます色っぽかったです。 目の保養、目の保養(笑)。

 東京から初参加されたYさんともお話ししなければ。 ゲストの方々の間を回るのが忙しく、これまでほとんどお喋り出来ていないのです。 詳しくは存じ上げないのですが、彼は映画業界に関係した仕事をやっている方のようで、7月に公開された 「必死剣 鳥刺し」(平山秀幸監督/豊川悦司主演)ではメイキングの撮影を担当されたのだそう。 裏話を聞かせてもらう約束をしていたのです。 平山監督とは、2007年の本映画祭 及び 2005年のゆうばりファンタで色々とお話しさせてもらった事あり。 また、本作にはデビュー時からのファンである池脇千鶴さんがヒロイン役で出演しています。
 Yさんのお話を拝聴していきましょう。 豊川さんもチ〜ちゃん(池脇さん)も、事務所の制限がきつくて、あまりメイキング映像を撮れなかったのだとか。 「編集するんだから、撮影だけはさせてくれればいいのに! インターネットへの流出等を危ぶんでいるのかなぁ。 私たちがそんな事する訳ないのに」 と無念そう。 私が 「平山監督は、人当たりが柔らかいでしょう」 と言うと、「そうですよね。 じっくりと撮っていくタイプの監督さんでした」。 チ〜ちゃんのファンにはちょっとだけショックなマル秘ネタも、教えてくれました。.... いや、いいんです。 それぐらい、許します(笑)。

 今夜も11時半を数分回った辺りで、お開きに。 明日は最終日、3本ともが新作です。 しっかり睡眠を取って、備えなければ。 それに、明後日は 『青春18きっぷ』 で帰るため朝6時前の始発に乗らなければならず、明日のファイナルパーティー終了後は3時間ぐらいしか寝られない筈。 尚更、今夜ゆっくり休んでおかなければなりません。 粘ることなく [ゆふいん麦酒館] を出て、途中のコンビニで明日・明後日の朝食にするパンや飲み物を買い込み、宿へ帰りついたのでした。 昨夜のように咳き込むことなく、すぐに眠りが訪れてくれますように(祈)!!

湯布院映画祭レポート10(18)

 最終日は、またしても睡眠不足の朝....。 昨夜は、蒲団に横になると前夜以上に咳が頻繁に出てしまい、なかなか眠りにつくことが出来ず3時間ぐらいしか寝られませんでした。 まあ、熱もなさそうだし、鼻水が出る訳でも。 咳を除けば、体調の悪さはそれほど感じませんから、何とかあと1日もちこたえてくれることでしょう。 起きた時は曇りでしたが、9時半前に宿を出た時には、地面が少し濡れていました。 時おり霧雨状のものがパラつく中を会場へ。 折り畳み傘を広げるほどではありません。 それにしても、今年の由布岳の山頂はいつも雲に覆われています。 今日はこんな天気なので仕方ありませんが。 例年だと、すっきり見えている時の方が多いぐらいだと記憶しているのに。 見慣れているので、今年見えなかったからといって、がっかりするほどではないですけど。 一度ぐらい顔をのぞかせてくれるでしょうか。
 会場ロビーのチラシコーナーに、在庫切れになっていた 「パートナーズ」 が補充されています。 裏面下部の上映館情報が印刷される所に 『湯布院映画祭での本日の特別試写の案内』 を刷り込んだものは在庫切れになる前、手に入れていますが、今度のものは 『全国の上映館』 が掲載されています。 シネコンではMOVIXの独占公開みたいな感じ。 『MOVIX倉敷』 の名前もしっかりと含まれています。 良かった! Oさんの地元のシネコンですから。 これで、彼にもスクリーンで本作を観てもらえます。 そのチラシは後日、Oさんのお手元にお届けしたのでした。

■29日(日)■ ≪特別上映「僕らは歩く、ただそれだけ」 10:00〜11:13≫

 本作は正式のポスターが作られていないようで、本映画祭がスチール写真等を元に独自にパソコンで印刷したと思われるポスターが、上映ホールへの出入り口脇の壁に貼られています。 客席は7割ぐらいの入り。 まずまずです。 ゲストの柄本佑くんが現在こちらへ向かっている途中なので、舞台挨拶は上映後に行われることに。

【 カメラマンのみゆき(安藤サクラ)に静かに訪れた、人生の転機。 彼女が自然と足を向けたのは、生まれ故郷。 自らの時を封じ込めるかのように、シャッターを刻むみゆき。 廣木監督がロックバンド [SPANK PAGE] の楽曲を元に描いたのは、明日への回復の物語。(リーフレットより)】

 映画は、みゆきが写真を撮りながら歩く、ただそれだけのもの。 本映画祭で新作として上映するような作品ではありません。 少なくとも、私にとっては。 佑くんは、冒頭の辺りに少しだけ登場します。
 良かったのは、この映画を観ながらふと思い立って、唾を飲み込む際、喉の奥の方に当るようにし、また意識して唾を頻繁に飲み込むようにしたら、たぶん少し腫れていたに違いない喉の痛みが薄れ、見る見る内に咳も我慢できるようになっていった事。 5分おきぐらいに、映画1本分だと20〜30回咳いていたのが、この映画では全部で5回ぐらいに抑えられたのです。 唾液の治癒効果は、すごいですね。 これで、いつ、シンポで発言したくてたまらない映画に出合っても大丈夫 ・・・・ な状態に近づいてきました。 何しろ、誰かと喋ろうとする度まず咳き込んでしまい、それからようやく声が出るような調子でしたから。

 舞台挨拶に、廣木監督と安藤サクラさん、柄本佑くんの3人が登場。 佑くんはちょっとお洒落な帽子をかぶっています。 監督が真ん中に。 後のシンポや、夜のパーティーの挨拶でもサクラさんと佑くんが隣り合わせに並ぶことはありませんでした。 周りの大人たちが週刊誌の記事を意識してのことなんでしょうね。 ちょっと気にしすぎだったのでは。 付き合っていようがいまいが2人の自由だし。 それに、詮索するつもりはないのですが、“ 恋愛関係にあるのでは ” とちょっとでも思える瞬間はありませんでしたし、2人が週刊誌の記事を気にしているという感じも全く。  廣木 「おはようございます。 ...こんにちは、かな。 廣木です。 今日は、ありがとうございます」。 柄本 「73分の作品です。 楽しんで下さい」。 安藤 「こんにちは。 朝からありがとうございます。 今年も来れて嬉しいです」。 3人の簡単な挨拶を聞き終え、2階のシンポ会場へ向かいます。

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■29日(日)■ ≪シンポジウム「僕らは歩く、ただそれだけ」 11:30〜12:30≫

 映画がつまらなかったので参加するのをやめようかとも思ったのですが、Oさんに内容をお伝えしなければ、と考え直し、結局はいつものように階段を上がっていったのでした。 え〜、それだけが理由ではなく、シンポだけは面白かったというケースもあるし、映画祭以外の楽しみ方を知らない私は外へ出ても行く所がないのです(笑)。 ですからOさん、あまりお気になさらずに。
 ゲスト席は、左から司会者、安藤サクラさん、廣木監督、柄本佑くんの並び。 佑くんは耳に小さなピアスをしています。 まずは、ひと言ずつ。 監督 「この席に座ると、すぐにでも帰りたくなっちゃうなぁ(笑)。 それは嘘で。 5年ぶりにこの作品で来れて、嬉しいです」。 柄本 「ありがとうございます。 こういう席に座るのは、『キリシマ』 以来かな。 緊張しています。 宜しくお願いします」。 佑くんは、2002年に本映画祭で試写上映された 「美しい夏キリシマ」(黒木和雄監督)で映画デビュー。 本作は翌2003年に公開され、同年のキネマ旬報ベストワンに選出され、佑くんも同賞の新人男優賞を受賞したのでした(私は2002年の本映画祭には不参加)。 司会 「柄本くんは、今でもここの実行委員なもので」。 安藤 「ありがとうございます。 この作品は、観て頂く機会があまりなかったので、今日は観てもらえて嬉しいです」。

 本作は、どうやら長めのPV(プロモーションビデオ)といった作品のようなのです。 タイトルも、監督の手書き。 2009年に完成したものの、公開できぬまま。 で、近年は発掘枠の位置付けにある日曜午前の時間帯で 【特別上映作品】 としてかける事に。 監督 「3日間の撮影で、柄本くんの出番は2時間ぐらいだったかな。 バンドのメンバーも少ししか出ていなくて」。 柄本 「監督とはお酒を呑む仲で、よく 『出して下さいよ〜』 って頼んでたんですけど、いざ出ると緊張しちゃって」。 このシンポでの私の席は確か、通路脇の前から2列目だった筈。 サクラさんがよく見えます。 かなり女っぽくなってるなぁ。 長い黒髪だし。 いにしえの日本美人といった趣き。 喋ると、彼女らしいやんちゃでキャピキャピした感じが出てしまうのですが(笑)。

 客席からの意見や感想は、意外にも賞賛する声が多数を占めています。 「キャタピラー」 より好きという人も。 安藤 「泣くシーンは初日に撮りました。 車の中で監督から 『泣ける? 泣けるよね』 とプレッシャーをかけられ、泣かないと怒られると思いながらやってました」(笑)。 監督 「茨城の普通の人たちがたくさん出てくれて、みんなとても良かったです」。 サクラさんは、いつの間にか髪をアップにしています。 話に熱が入ると、半分無意識の内に髪をいじってそんな風にしてしまうのでしょうか。 後で、ほどいていました。
 窓の外は、曇り空。 山の方は、霧がかかっているような状態になっています。 否定意見の中には、カメラマニアの常連からの 「(サクラさんの撮影技術について)あれでは、週刊誌に載るような写真は撮れません」(笑)といったダメ出しも。 監督は苦笑しながら 「でも、いい写真が撮れてたんですよ」。

 面白エピソードも。 冒頭辺りで、サクラさんと佑くんはラーメン屋に入ります。 監督 「撮影させてもらった店のおばちゃんが 『ほんとはもっと美味しいの。 のびちゃってるから。 普通の時に来て』 って何度も言うんです」。 サクラ 「行ったけど、何も変わりませんでした」(笑)。 行ったんですね。 いい子だなぁ。
 滋賀のOさんの映画のタイトルやら何やら間違いを連発し何度も突っ込みを受けた爆笑発言も含め、こんなに盛り上がるシンポになるとは思いませんでした。 “ 映画はつまらなくても、シンポをパスするなかれ ” ━━ 改めて、心に刻み込んだのでした。 山にかかっていた霧がだいぶ消えてきて、晴れ間が広がっていきます。

 そろそろ、お時間。 これからの作品についてお訊きして、締めくくることに。 監督 「『雷桜』が10月22日に公開されます。 何と初の時代劇! 佑も出ています、おいしい所で」。 柄本明さんもご出演。 父子のからみもあるのでしょうか。 柄本 「『東京島』 に出ています。 昨日公開かな。 あと、『雷桜』」。 司会に指摘されて思い出したのが、「ゲゲゲの女房」。 映画版の方にも出演しているのです。 こちらでは編集者の役。 サクラ 「何もありません。 あ、もしかして・・・・、いえ、やっぱ有りません」。 昨夜のパーティーで 「来年やりたい仕事があるので、今はその準備中」 という旨のお話を彼女から聞いておいて良かった。 この 「何もありません」 発言を先に聞いたなら、変に気を回して、今夜のパーテーでサクラさんに話し掛けられなかったかもしれません。  

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 次の試写作品 「パートナーズ」 の入場開始時刻まで30分以上あるので、外へ。 玄関を出たすぐ横にある喫煙スペースで、「パートナーズ」 主演の浅利陽介くんがタバコをふかしています。 この時は、特にどうとも思っていなかった彼なのですが....。 向かうのは、歩いてすぐの所にある精肉店。 メンチカツやコロッケが有名なのです。 テレビ番組でも何度も取り上げられたところ。 毎年、一度は食べなければ。 メンチカツを購入。 ここは大通りを折れた場所にあり、店の前は広いし、人通りも多くないので、ゆっくり味わうことが出来ます。 ソフトクリームは....、やめておきました。 せっかく少し良くなりかけた喉に悪いかなと。
 試写作品や特別上映作品の入場開始は通常、20分前。 受付の辺りにも、予定時刻を貼り出しています。 本作は13時10分からとなっていたのに、13時頃に戻ってくると、もう入場が開始されています。 映写チェック等が早く終ったので、繰り上げたのでしょうか。 早めに戻って来たお蔭で望み通りの席につけ特に問題はありませんでしたが、急な変更はなしにしてほしいもの。

■29日(日)■ ≪ 特別試写 「パートナーズ」 13:30 〜15:29 ≫

 文部科学省選定映画です。 【 知人の死をきっかけに盲導犬育成を目指すことになった若者が、盲導犬の訓練を通して命の尊さや絆の大切さを実感し、成長する姿を描く。 下村優の劇場版初監督作品。 奇を衒(てら)わない真摯な演出がストレートな感動を誘う傑作。(リーフレットより)】 客席は、8割ぐらいの入り。

 シナリオは、正式ゲストでない時も自費で毎年ご参加されている荒井晴彦氏と、氏に師事されている昨夏が初参加ゲストだった井上淳一氏の共作。 交通費も含め費用の全てを映画祭がもつ正式ゲストは、予算の関係で1作品につき3名まで。 本作の場合は、下村監督と主演の浅利くん・大塚さんになり、脚本のお2人は自腹でのご来祭のようです(宿泊は協賛してくれる所があるため無料)。 本作の撮影が行なわれたのは、確か昨年の本映画祭が終って1ヶ月ほど経った10月上旬からでした。 昨夏の初日のパーティーで井上氏が 「白坂依志夫(昨夏のゲストで脚本界の重鎮)を盲導犬のようにお世話するするため来ました」 と挨拶されてましたが、本作にかけていたんですね。 クランクイン情報と共にOさんからは 「TOMさん好みの泣ける映画ですよ」 と聞かされ、ますます “『湯布院』で上映されますように!“ と願かけたものです。 その通りになったのを知った時には、思わずガッツポーズが出たのでした。
 舞台挨拶には、下村優監督、脚本の荒井晴彦氏と井上淳一氏、主演のお2人・浅利陽介くんと大塚ちひろさんがご登場。 浅利くんは、さっきタバコを吸っていた時とは服をチェンジし、薄いベストを身につけています。 大塚さんは黒のちょいミニの可愛いワンピに黒の網タイツ。 セクシーな感じはあまりなく、キュートさが引き立っています。 監督 「この歳(1948年生まれ)で、デビュー作になります。 ですから、闇雲・・・でもないけど、色んな事をやったり、やらなかったり、で撮りました。 この映画を、もう何度も観てます。 その度、面白くなってきてるんで、皆さんにもそう思って頂けるのではないでしょうか」。 荒井 「日本で最初の盲導犬は、傷痍軍人用にドイツから買ったものです。 『パートナーズ2』 が作れたらと思っています。 副題は 『戦争の犬たち』(30年前のアメリカ映画)」(笑)。 井上 「どうも、ありがとうございます。 映画をやりたいと志した15歳から30年、湯布院に来るのが夢でした。 やっと、こういう所に立つことが出来て、感無量です」。 浅利 「本日はお招き頂き、ありがとうございます。 訓練士をやるということで、クランクイン前に協会で1週間ぐらい勉強しました。 そこの皆さんがとっても活き活きしている姿を見て、勇気をもらいました。 楽しんで下さい」。 大塚 「お招き頂き、ありがとうございます。 湯布院へ来るのは初めてになります。 皆さん温かく迎えてくれて、感謝しています。 映画では、視力を失った女の子役を演じています。 真っ黒のコンタクトを入れ、全く見えない状態にして撮影したんですね。 芝居に集中できて、やりやすかったです。 そうやって演じた役の気持ちを、皆さんにお届け出来たなら、と願っています」。 客席には、盲導犬の関係者の方もいらっしゃっています。

 上映開始━━。 期待しすぎは良くないため、なるべく抑え気味にしていたものの、『湯布院映画祭20年の記録』 の著者である横田さんが映画祭のパンフに解説を書いて褒めていたので、“ これは大丈夫なのでは ” と期待度を高めて臨んだ本作。 導入部に続くタイトルバックで、早くも鼻の奥がつんとなりました。 タイトルバックの出し方で秀作の予感を抱いたのは、本映画祭では 「樹の海」 や 「フラガール」 など。 映画に流れている空気感が、とにかく私好み。 【文部科学省選定】映画が試写作品として上映されるのは、本当に珍しいことなのでは。 もしかして、初めてかも。
 数々のテレビドラマで腕を磨いてきた、還暦過ぎの新人監督・下村優の練達の腕に泣かされました。 舞台で鍛えた大塚ちひろの、体の奥深くまで染み入る歌声にしびれ、家族再生のキーとなるチエという名前をつけられた盲導犬と彼女とが心を通わせていく様に胸が揺さぶられました。 小柄で童顔の浅利陽介がどんどん男の顔になっていき、どんどん大きく見えてくる成長ぶりに瞠目し、様々なラブストーリーと名セリフを盛り込むと共に、社会的な諸問題も織り込んだ、さすがの脚本に唸りました。 そして犬たちの、どんな名優も敵わぬような真っ直ぐな瞳の演技に、心を洗われ、頬を濡らしたのでした。

 新藤兼人監督の 「花は散れども」(2008年の映画祭で上映) 広島ロケの際、見学に行ったOさんが確かご本人と会われた川上麻衣子さんもご出演。 岡山県では倉敷市内のシネコン 『MOVIX倉敷』 にて、全国と同じ11月6日に公開されます。 Oさんはきっと初日に駆けつけられることでしょう。 私も、2度目に足を運ぶ予定。 湯布院で観てから丸2ヶ月とちょっと。 適当な間隔になります。 たぶん2度目の方が、もっと泣けるのでは。 そろそろあの場面だと思うだけで、涙腺が緩んでしまうのです。
 シンポは勿論、最前列狙い。 エンドロールが終るや否や、大きくて早い拍手を送り、2階へ足早に向かいます。

湯布院映画祭レポート10(21)

■29日(日)■ ≪シンポジウム 「パートナーズ」 15:50 〜17:00≫ *前半

 最前列の右端をゲット。 この席を狙っていたのです。 咳は、先ほどの上映時もあまり出ずに済みましたが、いつ咳き込んでしまうかもしれません。 真ん中辺りだと、ゲストにも失礼だし、より多くの周りの人にも迷惑をかけてしまいます。 それに、発言する際、私はだいたい立ち上がるのですが、後ろの席の何人かからゲストを見えなくしてしまいますので。 このシンポの椅子の配置だと、右端にしておけば、私の背中で邪魔してしまう心配もなし。
 ゲスト席の並びは、左から司会の横田氏(本作の解説を書いた実行委員)、荒井晴彦氏、下村優監督、浅利陽介くん、大塚ちひろさん、井上淳一氏の順。 客席は横には長くないので、私の座る右端でも、井上さんの正面から少しずれた程度の位置。 ということは、井上さんの隣りの大塚ちひろさんを近距離からガン見できるポジションでもあります。 もちろん、これも計算の内(笑)。

 立ち見もかなりの人数に上っています。 本作のプロデューサーには、本映画祭でもお馴染み近代映画協会の新藤次郎氏(新藤兼人監督のご子息)のお名前も。 司会 「新藤次郎さんも呼びたかったのですが」。 下村監督は、この世界に入ったきっかけが近代映画協会だったのだそう。 監督 「歌って踊れる、ということで、大塚さんをキャスティングしました」。  なぜシナリオは共作に? 荒井 「去年の夏に新藤さんから、『犬の映画だけど、書く?』 って打診されまして。 『何でも書くよ』 と、既にあった下村の(書いた)ホンを読んでみると、これが全くダメで(笑)。 これより良くすればいいなら、楽勝だな(笑)。 で、犬好きの井上に、『書いてみろよ』 と」。 井上 「一稿を上げるまでに3週間ぐらいしかなくて。 去年の湯布院行きの2日前。 1週間で調査し、1週間でハコ(簡単に言うと “ 構成 ” で良いのかな)を作り、残りの1週間で執筆しました。 亀の井別荘(ゲストの宿泊先)宛て、一稿を印刷したものが送られてきまして、それを横田氏に渡しました」。 横田 「完成した映画を観ると、その時のシナリオとファーストシーンもラストも違っており、それで大好きになったんですね」。 シナリオは、荒井さんの手が入ると、格段に良くなったのだとか。 井上 「一段も二段も上の人なんだなと思い知らされました」。  客席からの発言タイム。 何人もが一斉に手を挙げます。 今映画祭で初めて、私も。 まずは、実際に盲導犬の訓練士をやっておられるという若い女性から、「縁の下の力持ちの訓練士を取り上げてくれ、ありがとうございます」。 彼女は、司会から請われ、訓練士役を演じた浅利くんに幾つかダメ出し(笑)。 明るく頭をかく浅利くんなのでした。
 2番目が私。 係りの実行委員が持って来てくれたマイクを受け取り、起立してから始めます。 「岡山から参りました○○です。 金曜日のパーティーで荒井さんとお話しした際、『私好みの泣ける映画になってるみたいで、期待しています』 と言うと、荒井さんは 『でも、主役は犬だからね。 犬は人間みたいに演技しないから』 とおっしゃられました。 そういうものなのかな、とその場では納得したのですが━━。 騙されました(笑)。 しっかりと泣かされました。 犬にも、人間にも。 盲導犬の物語とラブストーリーとが、見事に融合していました。 男と女のラブストーリー、犬と人間とのラブストーリー、それから家族の間での。 しびれました。 大好きです、この映画。 主演のお2人、浅利さんと大塚さんは、観終わった今では、どんぴしゃのキャスティングでした。 また、下村監督の熟練の技を駆使した演出には唸らされました。 カットバックが多用されていましたが、全然うるさくなく、うまく効果を発揮していました。 最後に、荒井さんと井上さんにお願いです。 これからも、文部科学省 “ 選定 ” になるような作品を、2本、3本と書いていって下さい」(笑)。 咳き込まずに言えました。 ほっ・・・・。 すぐ様、井上さんから 「“ 特選 ” めざしてますから!」 の返しが(笑)。
 掛け値なしで、浅利くんも大塚さんも素晴らしかったです。 「シコふんじゃった。」 を観た後の危惧 “ この作品が、今映画祭で一番面白かった、なんて結果になったら、どうしよう ” は、無駄に終ってくれました。 まあ、「パートナーズ」 が 「シコふんじゃった。」 以上だという訳ではありませんが、私の大満足ラインに達してくれたので。

 会場には、大分のユーザーの方が盲導犬と一緒にいらしています。 シンポで無事発言でき、ひと安心したからか、映画の色んなシーンや、感心した事などが、脳裏に浮かんできます。 思い出の歩道橋の設定の妙・・・・、盲導犬につけたチエという名前に込められた本当の意味・・・・、保健所のシーンをカットされないようにクライマックスを構成したシナリオの巧み。 ちひろさんの歌う清志郎には聞き惚れましたし、適度な笑いを盛り込むのも忘れていません。 目が腫れるまで泣かずに済んだのは、私が犬を飼った経験がないからでしょう。 そうでなかったら、涙と鼻水で悲惨な状態になっていたのでは。 荒井さんも特別出演。 .... なぜ?!(笑)

■29日(日)■ ≪シンポジウム 「パートナーズ」 15:50 〜17:00≫ *後半

 展開にちょっと唐突な所があったり、登場人物の気持ちの推移に納得しづらい箇所があったという意見に対して、井上さんは 「最初、編集した時、2時間55分もあったんです」。 それを1時間59分にまで縮めたのですから、説明不足の所があっても仕方ないでしょう(観客には関係のない事ですが)。 あそこの前にはシナリオではこういうシーンがあったんですよ、と2つも3つも説明する井上さんなのでした。 「僕も、人の映画だったら、分かりづらいじゃないか、と発言してたと思います」(笑)。 井上さんは、「ト書きは書かず、セリフだけで役者の動きも分かるシナリオを書きたい」 と思っているのだそう。 「枚数的には、1時間50分程度で収まるようにまとめたんですが。 犬の動きを撮ると、どうしても時間がかかりますからね」。

 内海桂子師匠も出演しておられます。 井上 「盲導犬の調教は全然大変ではありませんでした。 大変だったのは、師匠の方で」(笑)。 私の座る側の横の窓から、強い陽射しが降り注いできたので、カーテンが閉められます。 本作を観た人の多くは、カットバックの多さを感じるのでは。 監督 「多いとか少ないとか一切考えてません。 あまり色んな事をやるまい。 やらないようにしよう、と撮っていきました」。 発言の多くに、「とにかく新人ですので」 を頭につける楽しい監督です。  撮影時の苦労や裏話について。 大塚 「出てもらった盲導犬には本当の名前が別にあるので、『チエ』 と言っても反応してくれなかったりしました。 その時は、『ご飯だよ』 とか呼びかけて動かしてました」。 浅利 「凄いなと思ったのは、『本番!』 の声が掛かるとビシッとして、『カット!』 でだらっとするんですよね。 すごい女優(メス犬)でした。 基本的には、良く言う事を聞いてくれました」。

 「初めて手を挙げたんですけど」 という参加者が何人も発言してくれたのは、観た後で誰かと語り合いたい映画だったという事に加え、シンポの雰囲気が良かったからでもあるのでしょう。 その中には、こんな人も、「浅利さんをテレビドラマで観ていたので、この映画を鑑賞してみようかなと。 浅利さん、テレビよりいい男でした」(拍手)。
 井上さんが、離れた師匠に向かって、「荒井さん、何か落ち込んでません?」(笑)。 荒井 「書いたシナリオが何本もダメになって。 何で犬だと、すぐ映画になるのか」(笑)。 司会 「“ 泣いた ” って感想が幾つもありましたが、ほっとしてます?」。 荒井 「う〜ん、まあ、そうですね」。 井上 「荒井さん、出演までしてるんですもんね」。 司会 「(顔のよく知られている)この映画祭用のサービスカット」(笑)。 井上 「あの横に、奥さんも娘さんもいるんですよ」。 荒井さんのインパクトが強くて、気づきませんでした。 あ....、奥さんと娘さんの顔、知らなかったんだ(笑)。 2度目の鑑賞時には、注意して観なければ。

 私の隣席の若い男性から大塚さんへの熱い告白発言が、「何回かこの映画祭に来ましたが、今までのゲストの中で大塚さんが一番きれいです」。 “ お〜っ!” という歓声(笑)。 「だから、前の席に陣取りました」。 恥ずかしそうだけど、とても嬉しそうでもある大塚さん。 ずるいぞ、猛烈アピール! 私なんか、まんべんなくゲスト全員を褒めたのに(笑)。 大塚さん演じるミュージシャンの真琴は、失明の原因になった事故で顔に傷を負います。 そういう特殊メイクで写ることについて抵抗などはなかったのか訊かれ、「大丈夫です。 私、スッピンでも気にしないタイプなんで」。 “ そのスッピン顔、至近距離で見てみてぇ〜!” と心の中で叫んだのは、私だけではなかった筈。
 訓練士の母親だという方からも、「娘たちの苦労がよく分かったので、とても良かったです。 ずっと泣いてました。 保健所のシーンを入れてくれたのにも感謝したいです」。 その保健所のシーンがどんな内容なのかは、どうぞスクリーンでご確認ください。 滋賀のOさんは、「俺のハンカチ1枚、どないしてくれまんねん!」(笑)。 ちひろさんも、嬉しそうに両手を頬にやっていました。 東京のS麿さんからは、「犬の映画だといっても侮れない! 観逃すな!」。 賞賛が大多数。 明確な否定意見のないシンポでした。 ここまで片寄るとは思っていなかったのですが。 でも、大好きな映画だけに、正直うれしいです。

 この少し前辺りで終了予定時刻の17時に。 司会の横田さんが、「皆さん、まだ聞き足らないみたいなので、もう少しだけ続けたいと思います。 定刻になりましたので、予定のある方は、ご退席くださって結構です」。 後ろの席や立ち見の中から何人かが出ていかれたでしょうか。 前の方は、このタイミングで席を立つ者などいません。 そして、しばらく継続されたものの、残念ながら、ゲストの皆さんから締めの挨拶をして頂く時間に。 井上 「映画を観たちひろさんが 『私の演技がとっちらかっちゃって』 とおっしゃってたんですけど、シナリオの方の問題です。 そんな風に思わせないようなセリフを書くべきだと反省しています」。 荒井 「芸域の広さをアピールできて、良かったです(笑)。 業界の人からの仕事のTEL、待ってます」。 監督 「観るたびに面白くなると言ってましたが、観直すのが嫌になった時もありました。 でも、皆さんに喜んでもらえて、嬉しいです! この次は、もっと良い作品を撮ります。 また呼んで下さい」。 大塚 「緊張しました。 一杯飲んで来ようかと考えたり(笑)。 すごく楽しい時間でした。 もっと色んな映画に出て、戻って来たいです。 ありがとうございました!!」。 浅利 「すぐ生の声が聴け、プラスになる事もたくさんありました。 また皆さんとは、次回来た時お会いしたいです。 また呼んで下さい」。

 浅利くんと大塚さんのファンになる参加者が続出した 「パートナーズ」 の試写とシンポでした。 昨夜は咳であまり寝られず、どうなることかと思いましたが、この作品のお蔭で快調に! 映画で流す涙が、体調不良の何よりの特効薬なのかもしれません。

湯布院映画祭レポート10(22)

 クロージング作品の 「行きずりの街」 は、主演の仲村トオルさんがゲストで来場されることもあって、ロビーには前売券を持った人の長い列が出来ています。 「パートナーズ」 のシンポが10分延びたし、同作上映時の入場時刻繰上げの事例もあるので、お店に入っての食事はやめておいた方が良いでしょう。 代わりに、コンビニでアメリカンドッグを購入。 結構なボリュームがあったので、お腹はパーティーまで十分もちました。 食事代の節約にもなったし(笑)。 早めに会場へ戻って、全日券の列に並びます。 やがて━━。

■29日(日)■ ≪特別試写「行きずりの街」 18:00 〜20:03 ≫

 入場が開始されてから5分ほどで満席になり、定刻の15分前には立ち見のエリアも溢れんばかりに。 実行委員の誘導で、左右の通路に前の方からお客がずらりと腰を下ろしていきます。 配られた新聞紙を尻に敷いて。 後からダンボールや座布団も、あるだけ配布されていました。 女性客、多し。 さすがは、トオルちゃん人気! 彼は現在、当地へ向かっている最中なので、舞台挨拶は上映後行われる事に。

 原作小説である 「行きずりの街」(志水辰夫 著)は、1991年度の 【このミステリーがすごい!】 で第1位を獲得し、【第9回日本冒険協会大賞】 も受賞した作品。 私は、志水辰夫の小説は当時数冊は読んでおり、本書も単行本で読了しているものの、もう20年近く前になるため内容は全く覚えておらず。 特別面白かったという記憶はないけれど、得てしてこういうものの方が料理しやすいのでは、と映画化のメガホンを取った阪本順治監督の手腕に期待を寄せたのでした。
 また、主演の仲村トオルにも、少しばかり熱い思いを抱いています。 たまたま1ヶ月ぐらい前に、DVD化されたWOWOWドラマ 「空飛ぶタイヤ」(3枚組で約5時間)をレンタルし、あまりの面白さに丸1日ほどで観終えたのですが、主役を熱演した彼がとにかく素晴らしくて! 今宵は、スクリーンでどんな仲村トオルが観られるのでしょう?!

【 ハードボイルドの旗手・志水辰夫の人気ミステリー小説を見事なラブストーリーに仕上げた。 行方不明となった教え子を探しに東京へ戻った元教師。 その街は、男の苦い過去が蠢(うごめ)いていた。 美しく、哀しく、切なく、愛しい傑作が、第35回湯布院映画祭の最終章を飾る。(リーフレットより)】

 2006年のクロージング作品 「フラガール」 には、激しく心を打たれました。 今年で10回目の参加になる本映画祭で観た全作品の中でのベストワン! が、翌年からクロージング作は外ればかり。 今年の阪本順治は大丈夫なのでは、と楽しみにしていたのですが・・・・。 「行きずりの街」 は、いつ面白くなるのだろう、と待っている内に、エンドマークが出てしまいました。 何だか中途半端な作品。 ハードボイルドとしては生温く、ラブストーリーと言うにはときめきがなくて。 原作は、こんな物語だったかなぁ。 記憶が全く甦ってきませんでした。
 石橋蓮司さんも出演されています。 もちろん悪人役で(笑)。 氏は今年、「今度は愛妻家」 や 「アウトレイジ」 にご出演。 それに加えて秋公開の本作、と例年以上にスクリーンで大活躍されました。 助演男優賞の有力候補ではないでしょうか。 私のイチ推しは、「ゴールデンスランバー」 の濱田岳くん(「今度は愛妻家」にも出演)なのですが、もし石橋さんが受賞されたなら素直に嬉しいと感じることでしょう。 パーティー等でご本人と直接お話ししたりすると、たちまちそのゲストのファンになってしまうことが多々あるのです(笑)。

 仲村さんの演技は、可もなく不可もなくといったところ。 「空飛ぶタイヤ」 の彼が良すぎました。 無意識に比較して観てしまい、余計に物足りなさを感じてしまったようです。 ヒロイン役は、小西真奈美。 元の夫である仲村トオルとの情欲シーンで、頑張ってくれました。 彼女がこれまで見せたことのない “ メス ” の表情が、なかなかの見ものだったのです。 あの汗の具合のいやらしさ(失礼!)。 といっても、小西真奈美にしては、のレベルですけど。 最も印象に残っているのは、窪塚洋介の怪演でしょうか。 パスした 「東京島」 でも同様の演技が評判になっていましたので、もしかしてどこかの映画賞で助演男優賞を獲るかもしれません。 「nude」 の渡辺奈緒子さんも出演されていたらしいのですが、不覚にも気づきませんでした。 ごめんなさい。 パーティーでお話しした時、どの場面かお訊きしておけば良かった。
 来年こそクロージングには、シンポで発言したくてたまらないような作品がかかりますように!

 さて、映画の物足りなさは一旦忘れて━━。 舞台挨拶です。 ゲストを招き入れる前、またもやカメラでの撮影禁止がアナウンスされたのでした。 國松プロデューサー、10年ぶりの阪本順治監督、仲村トオルさんの順で舞台に。 生の仲村トオルを見るのは、昨年3月に初参加した 『高崎映画祭』 の授賞式以来。 あの時は 「接吻」 で主演男優賞に輝き、白いタキシードでびしっと決めて登場したのでした。 今夜はカジュアルに、黒いTシャツに黒いパンツ、上に薄手の白いジャケットといった装い。 まあ、彼なら何を着たって似合います(羨)。
 國松P 「こんなに多くの方に来て頂き、感激しています」。 阪本監督 「10年ぶりに来ました。 大阪から6時間かけて。 1時間に1本、チューハイを呑みながら(笑)。 この後のシンポに備えるためです。 クロージングで上映してもらい、光栄です。 仲村くんとは初めて仕事しましたが、話が面白いので、挨拶を楽しみに」(笑)。 仲村 「はじめまして。 25年前にこの世界に入り、湯布院はほんまの映画人が呼ばれる映画祭だと、よく周りの人から聞かされてました。 これまで、一度も機会がなくて。 妻(鷲尾いさ子)が第11回の時に呼んでもらってまして、毎年パンフが届けられ、ずっとそれを見てました。 ゲストに選ばれた者にだけ送られるんだなぁ、と羨ましく思いながら。 今日ここに来られて、来年からは僕宛てにも送られてくることでしょう。 ━━ こんなもんで、いいですか?」(爆笑)。 石橋蓮司さんの話術の巧みさにも驚かされましたが、トオルさんも負けてません。 真面目に話されているのですが、それが面白いのです。 シンポが楽しみ! が、通路には人が一杯。 なかなか出られないぞ(汗)。  

湯布院映画祭レポート10(23)

■29日(日)■ ≪シンポジウム「行きずりの街」 20:30〜21:45≫

 もちろん、こちらも超満員。 宮崎のS原さんは、俳優ゲストがいる時には、上映会場の席を出口に近い後方にして、毎回しっかりと最前列を確保しておられました。 今回それに倣ったのは、宮崎からのお連れのH田さん、S尾さんの女性2人組み。 舞台挨拶終了後はダッシュで移動してこられ、トオルさんを間近で見られる席に陣取られたのでした。 私は、女優ゲストがいる訳でもなく、また発言するつもりもないため、2列目の適当な席に。
 小西真奈美さんか、行方不明となった教え子役で出演した若手女優の南沢奈央ちゃんに来祭してほしかったなぁ。 小西さんは、今年2月の 『ヨコハマ映画祭』 と3月の 『高崎映画祭』 でどちらも主演女優賞に選ばれ、授賞式で生の彼女を2度も見たため、なるべくなら奈央ちゃんを希望していたのですが(笑)。

 ゲスト席は、左から司会者、仲村トオルさん、阪本監督、國松プロデューサー。 ここでも当然、撮影は禁止です。 トオルさんはジャケットを脱いでおられ、Tシャツ姿。 ダサくない黒ぶちメガネをかけています。 まず、制作に至った経緯が簡単に語られます。 國松P 「3年前、文庫本を掘り下げるフェアでこれが大ヒットしまして。 大人のミステリーは作りにくくなっているが、チャンスだなと」。 監督は、この作者の著書は昔から読んでおり、他にも映画化したい小説があるぐらい好きなのだそう。 監督 「オファーを貰い、嬉しくOKしました。 男と女をやってみよう、と。 初めて、色々試した映画です」。 仲村 「シナリオを読んで、地味な話だな。 12年前の出来事を引きずっている、うじうじした男だな〜、と。 難しいと思ったが、最初に映画に出た時のプロデューサーやスタッフ揃いだった事もあり、引き受けました」。 先輩俳優から聞いていた通り、素晴らしい雰囲気の漂う現場だったのだとか。 仲村 「そういう現場をいつも期待してはいけないが、これから 『阪本組に戻りてえな』 と、つい漏らさぬよう、気をつけたいです」。

 監督 「監督の仕事は、役者の演出と共に、映画のリズムを見つける事がありますね」。 仲村 「近頃はモニターチェックが主流なのに、阪本監督は役者さんの横にへばりついてチェックしていました。 その姿を見て、いとおしいな、と」(笑)。 監督 「石橋さんが教室の黒板に頭をぶつけるシーンで、見てると、あまり痛そうになかったので、何度もやってもらいました。 すると、とうとう 『阪本、イテぇんだよ、この野郎!』 とお叱りが。 『なら、OKです』 と(笑)。 黒板の横には、[人生は一度きり] って額が飾られてあるんですよね」(笑)。
 最前列で正面に座る常連のY木さんから監督に、「小西さんはミスキャストでは」 との意見が。 過去のゲスト時にも同様のケチをつけられていたのでしょう、監督は 「“ やっぱり来たな ” って身構えました(笑)。 僕は、小西さんしかなかったと思います。 彼女以外だったら、誰がいるんだ、と。 まあ、人それぞれの見方ですからね。 (発言者に)後で、パーティーの時にも、また言ってくるんでしょ」(笑)。 仲村 「小学生の頃、40歳の女性には恋しませんでした。 今では、全然大丈夫ですけど。 だから、小西さんがダメだったのは、Y木さんがお歳を召されたからなのでは」(爆笑)。 さすが、仲村さん! 

 本作は、ほぼ原作通りに映画化したとの事。 時間の関係でシンプルにしたり、時代背景を現代に置き換えたりはしていますが。 國松P 「志水さんからのチェックはなかったです、一切。 (出版社の)新潮社のお偉いさんからは口を出されましたが」。 監督 「原作は、文体が素晴らしい。 シミタツ節。 原作を変更した所は、理由を説明し、ほぼ押し通しました」。 改変点は、大きくは2つ。 監督 「偶然すぎるのを直し、あと主人公がモテすぎるので、度が過ぎないようにしました」(笑)。
 監督の口から荒井さんの名前が出た時もありました。 荒井晴彦脚本 & 阪本順治監督といえば、すぐ頭に浮かぶのが 「KT」(2002年)。 ” 脚本を勝手に変えやがって!” と荒井さんがひどくご立腹された事件は、映画ファンの間ではかなり有名なのです。 もう8年ぐらい経っているとはいえ、今夜のパーティーで何らかの応酬があったりするのでしょうか。

 客席からの発言タイムに少しの間誰からも挙手がなかったので、監督はふと、「仲村トオルへの質問でもいいですよ。 仲村トオルの “ トオル ” はなぜカタカナなんですか、とか」(笑)。 答える羽目になった仲村さんは、「デビュー作の 『ビーバップ・ハイスクール』 で芸名を決める段になって、相手役の清水宏次朗が5文字なんで、同じ5文字にしてほしいと言われ、カタカナにしました。━━ こんなとこで言うこと?」(爆笑)。
 本作の撮影は、昨夏の本映画祭のゲストだった仙元誠三氏。 組んでみてどうだったかの質問に、監督は 「昔、助監督の頃、よく怒鳴られてた人なんですけどね。 だいたいは、僕の希望通りのキャメラポジションにしてくれました。 時々怒って、何かを助手に投げてまして。 それが、目の前を通ってった事もあります」(笑)。

 仲村さんは韓国映画に何作も出演しておられます。 その感想を訊かれ、「時間の感覚が違いますよね。 クランクインが3ヶ月延びたり、アップが半年延びたり。 無理なショットを延々と追い求めたり、って事も」。 仲村さんが困惑したのは、女性ファンからの 「なんでそんなにカッコいいんですか?」(爆笑)という素朴な質問。 監督 「答えにくいですよね。 でも、彼なら言えます」(笑)。 仲村 「う〜ん・・・・。 現場で監督に、走り方や店への入り方や携帯のかけ方がカッコ良すぎると言われました。 役の男は、そこまでではない、って。 走るカッコ良さは譲れないという風に、昔から研究してきました。 そういう事が積み重なってきたからかな」。 これまでとは違い、ちょっと歯切れの悪い仲村さんの回答なのでした。 監督から意外な発言が、「監督には向いてないと思ってまして。 絶対いつか辞めてやる、と。 まあ、向いてない事をやるのが仕事かなぁ」。

 そろそろ、終了の時刻。 國松P 「恐いと脅かされていたけれど、温かい言葉に感激しました。 大人のカップルのデート映画になってほしいと願っています」。 監督 「10年ぶりに来て、楽しかったです。 映画は役者で観てほしい! これからも仲村トオルを観続けて下さい」。 仲村 「シンポは殺伐としている、と聞いてきましたが、楽しく過ごせました。 24年前に招かれた妻にも、いい土産話が出来ました」。
 気さくな感じのおしゃべりで仲村さんの好感度がますますアップしたシンポでした。 この後のファイナルパーティーでは、多くの女性ファンに取り囲まれ続けることになるでしょう。  

湯布院映画祭レポート10(24)

■29日(日)■ ≪ファイナルパーティー 22:00〜 ≫ *前半

 外は小雨が降っています。 パーティー会場である [ゆふいん健康温泉館] までは徒歩で数分かかるため、ちょっと走って、という訳にもいかず、初めて折り畳み傘を開いたのでした。 2006年のクロージング作 「フラガール」 の後も、こんな感じの雨だったのを思い出します。
 会場は、屋内と庭とがつながった所で、雨が降っていなければ野外に2〜3割の人がいることになるのですが、今夜はほとんど全員が屋内に入っているので、かなりの混み具合になっています。 乾杯のご挨拶とご発声は、「行きずりの街」 の阪本監督と仲村トオルさん。 例年、最終日のパーティーは、ホテルや旅館の若手料理人の方々が仕事を終えてからやって来て、創作料理の数々をバイキング形式で振舞って下さいます。 作り立ての熱々を出してくれるコーナーも。 まず、パンの上に生ハムだったり、鶏を炒めたものをのせた洋風の料理を、それに合わせたカクテル風のお酒とセットでいただきます。 普通の握り寿司に、肉巻きごはん、おそば、中華風の肉炒め....等など。 おにぎりもありますが、もうお腹がふくれたので、手は伸びません。
 今夜のゲストの一番のお目当ては、昨夜はタイミングが合わなかった 「パートナーズ」 の大塚ちひろさん。 男性4〜5人に囲まれていましたが、輪に加わってしばらくすると、言葉をかけることが出来ました。 「『パートナーズ』、本当に良かったです。 私がシンポジウムで発言したのは、あの1回だけなんですよ」 「え〜、そうなんですか」 「褒めたい映画の時にしか挙手しませんから。 劇中の大塚さんの色んな表情もそれぞれ魅力的でしたが、こうして女優メイクしたご本人を目の前にすると、こんな風にすごく綺麗に撮られたショットも映画に入れてほしかったなと思ってしまいます。 また、近い内、おいで下さい!」。 来年早々には舞台が待っているのだそう。 あの見事な歌唱を、いつかは生で聴いてみたいもの。

 ゲストの皆さんを順番にステージにお呼びして、ご挨拶をして頂きます。 「僕らは歩く、ただそれだけ」 組から。 廣木隆一監督 「5年ぶりに来られて、楽しかったです」。 柄本佑くんは、酔ってかなりフラフラです、「さっきまで気持ち良く呑んでたんですが、呑みすぎて、気持ち悪くなっちゃいました(笑)。 今日は、ありがとうございました」。 安藤サクラ 「小さい頃から父(奥田瑛二)に連れられて、家族でよく来ていました。 昨年は、父がいませんでしたが、母(安藤和津)と姉(安藤モモ子監督)が一緒でした。 今年は初めて、1人で来ることが出来ました。 ありがとうございました。 また1人で呼んでもらえるよう頑張っていこうと思います」。
 次は 「パートナーズ」 組。 左から、荒井晴彦さん、浅利陽介くん、下村優監督、大塚ちひろさん、井上淳一さんの順。 荒井 「思ってもなかった好評で。 それは嬉しいんですが、みんなから、ほとんど井上がシナリオを書いたんだろうって言われ、ショックを受けてます(笑)。 本当のところはどうなのか井上から説明があると思います」。 司会者が、ハンドマイクを荒井さんから、反対側の井上さんへ回します。 井上 「荒井さんの力はすごく大きかったです。 悔しいけど、一緒に仕事してると、力量の違いがイヤというほど分かってくるんですね。 私ひとりで書くぐらいのシナリオを、荒井さんなら左手一本でちょちょいと書いてしまうと思います。━━ こんなもんで、いいですか?(笑) ここからは、考えてきた挨拶を言わせて下さい。 昨年は白坂さんの盲導犬役として来ました。 今年は、盲導犬の映画と共に来ました。 でも、ゲストの枠は1作品3人までという制約があるため、今年も交通費は自腹なんです。 次こそ、全て映画祭でもってもらえるようなゲストとしてやって来たいと思います」。
 浅利 「今日はありがとうございました。 多くの人から 『良かったよ!』 って温かい言葉をかけて頂き、感激しています。 また、いつか、呼んでもらえたら、嬉しいです」。 監督 「この歳で、初監督でした。 映画の監督というのは、いいですね。 こういう所へ呼んでもらえるんで。 今日は、ありがとうございました!」。 大塚 「たくさん美味しいお酒を呑ませてもらい、こんないい思いをして良いのだろうかと申し訳なく思っています。 映画が多くの人に受け入れられたようで、とっても嬉しいです。 これからも頑張ってお仕事していきますので、また呼んで下さい!」。 舞台でも活躍する女優らしく、挨拶の最後はいつも大きな声ではきはきと言われます。

 先ほどのシンポと同じ顔ぶれの 「行きずりの街」 組。 阪本監督 「10年ぶりに来ることが出来ました。 仲村トオルくんと小西真奈美さんが、大人の男と女の物語を頑張って演じてくれました。 応援して下さい」。 仲村 「いや〜、楽しいですね。 さっき柄本くんの挨拶見ていたら、あんなにフラフラになって出てきたんで、びっくりしました。 それを皆さんがニコニコと見守ってるんで、2度びっくり。━━ いいんだ、あんなになっちゃっても許されるんだ(笑)。 お酒の好きな私ですが、まだほとんど口にできていません。 どんどん注ぎに来て下さい。 第11回に妻が呼んでもらってますが、これで、“ 湯布院、すごく楽しかったよ〜 ” って、帰ってから笑顔で言えます。 今日は、どうもありがとうございました」。 その言葉通り、挨拶を終えた仲村さんは、ステージ横の焼酎メーカーの無料サービスコーナーの辺りで、しっかりと呑まれていたようです。 幅広い年代の熱い女性ファンたちに、二重三重に囲まれながら。 國松プロデューサーは、個人的な思い入れも含めた挨拶をなさいましたが、私の記憶容量にも限りがあるため、聞き流させてもらいました。 申し訳ありません!
 最後は、「キャタピラー」 組。 若松監督 「やっぱり、ここは、いいね。 また、きっと何か映画撮りますので、ぜひ呼んで下さい」。 寺島 「さっきから、若松監督と荒井さんの場外バトルがますますひどくなって。 荒井さん脚本の 『ヴァイブレータ』 で初めてここへ来て、2度目の今回は若松監督作品で来た私としては、どちらに就けば良いのか困っています(笑)。 この映画祭は、ほんとに楽しくて! そうでない映画祭も一杯ありますからね(ちょっと口を滑らせたかな、という表情)。 また呼んで下さい!」。

■29日(日) ■ ≪ファイナルパーティー 22:00〜 ≫ *後半

 荒井さんたちは、パーティー半ばで抜け、行きつけのBARへ繰り出すのが常。 急いで、氏と井上さんの姿を探します。 まず井上さんを発見。 今夜は多くの参加者に囲まれています。 ステージでの挨拶やシンポでの発言がとにかく面白いですし、何より━━。 「映画、良かったです! あんなに泣かされるとは思いませんでした」 「いや、皆さんから褒めてもらい、本当かな、と信じられないんですよ」 「岡山での公開館がチラシにしっかりと印刷されていたので、Oさんが喜びます。 帰ったら、チラシを届けて、感想をしっかり伝えておきますので」。
 別の場所にいらした荒井さんにも、「期待以上でした。 しっかりと何回も泣かされました」 「そんなに泣けるもんかなぁ」 「泣けますよ。 『Wの悲劇』 のラストでも号泣しましたが、あれ以来です」 「『Wの悲劇』 は良かったよね(笑)」 「岡山でもOさんの地元のシネコンで上映されるので、すごく喜ぶと思います。 この1本を機に、荒井さんのシナリオの映画化が続々と決まれば良いのですが。 『退廃姉妹』 も、一歩も二歩も進んでほしいです」。 荒井さんも井上さんも、参加者からのたくさんの 「泣けた」 との声を、何だか懐疑的に聞いておられました。 そんなに泣ける映画を書いたという意識がないのでしょう。 だからこそ観客は、わざとらしさを感じずに済み、素直に泣けるのです。

 今朝早く宮崎を発って来られたKさんの奥様にも、ようやくご挨拶することが出来ました。 今年の 『宮崎映画祭』 の副実行委員長にして、来年の実行委員長就任が決定している方。 でも、やり手というタイプではなく、相手に警戒心を抱かせない、ほんわかした方で、昨年同映画祭に初参加した私の事を覚えていて下さいました。 私は、特に紹介されて言葉を交わした訳でもなかったので、今回が初対面だと思っていたのですが。 「また、いつか、宮崎映画祭へ2度目の参加をしますので!」。 Kさんには、「昨夜の会場でのビール1杯券、来年も差し上げますから、また来てくださいね」(笑)。
 他の一般客と話している阪本監督のそばへ行き、機を窺っていたら、伊藤実行委員長の閉会の挨拶が始まります。 と、近くにおられた仲村さんは、取り囲む女性ファンたちを促し、委員長の挨拶を聞く態勢に入られるではないですか。 いい人だ〜! 伊藤 「仲村さんは本日、夜になってから到着され、明日は朝早い飛行機でお帰りになります。 そんなきついスケジュールの中おいで下さり、感謝に堪えません。 また、『キャタピラー』 をやりたいと思っていたものの、公開中でもあるし諦めていたら、若松監督から “ やっても良い ” との申し出が。 しかも、大分市内での上映館の了解も取って下さっていて」。 ゲストへの感謝を中心としたものでした。

 待望の阪本監督と、やり取り。 「ずっと、お話ししたかったんです。 私が初参加したのは、『顔』 が上映された2000年だったんですけど、当時はゲストとお話しするなど考えてもいなかったもので。 2〜3年後またゲストでいらっしゃるだろうと思っていたら、10年も空いてしまって。 やっとお会いできて良かったです。 実は、今年初めて 『ヨコハマ映画祭』 に参加しましてですね、監督、『行きずりの街』 のPRで舞台に登場されましたでしょう。 そして、その映画が湯布院で上映され、縁があったんだなと思います。 今度は、何年も間隔を空けずにおいで下さい」。 作品の中身に関する話は避けてしまいました。 次回は、“ あそこが良かったです。 ここも!” という感じの会話が出来ますように。 今回の映画はイマイチでしたが、ずっと望んでいた阪本監督と言葉を交わせ、それだけでも十分満足できました(話しやすい方です)。 監督はこの直後、実行委員が呼びに来て、連れ去られてしまったのでした。 昨夜の寺島しのぶさんの時と同じく、際どいタイミングで掴まえることが出来たようです。 そういえば、阪本監督は、私が親交のある脚本家:今井雅子さん(現在は朝ドラ「てっぱん」の脚本協力)の高校の先輩。 その話をするほどの時間はありませんでした。 「KT」 で揉めた荒井さんとその後仲直りできたのか、思い切って尋ねてみれば良かったかな(汗)。 私の場合、酒の力を借りるって事が出来ないもので、ちょっと無理でした。

 安藤サクラさんが近くにおられたので、昨夜訊くのを忘れた “ モモ子監督の2作目の情報 ” を引き出すべく、「やりたいとおっしゃってた仕事が、うまく決まりますように」 とエールを。 すると、「あ、それ、モモ子監督の2本目なんですよ」 と一石二鳥の回答が返ってくるではないですか。 「えっ、何だ、そうだったんですか。 監督の2作目が進んでるのかどうか知りたかったんですよ」 「何としてでも出たくって」。 これは楽しみ! 「是非、その作品で、ここへ来て下さい! そうそう、『カケラ』(昨年の本映画祭で試写上映されたモモ子監督のデビュー作)は、私の地元の岡山でも公開され、2度目を観に行ったんですよ」。
 仲村さんには、主演ドラマ 「空飛ぶタイヤ」 に感激した事や、『高崎映画祭』 の授賞式を客席で見ていた事などお話ししたかったのですが....。 女性陣の包囲網は堅固で、そのチャンスはありませんでした。 また、浅利くんにも映画の感想を伝えたかったものの、ステージでの挨拶の後は、早めに宿に引き上げたのか姿を見つけられませんでした。

 0時が近づいています。 そろそろ宿へ帰らなければ。 幸い、雨は上がっています。 宮崎組の方々や、目についた顔なじみの参加者の何人かに 「また来年!」 の挨拶をして、出口に向かいます。 そこに、「パートナーズ」 の下村監督が! 「シンポでも発言しましたが、本当に良かったです。 今回の新作の中で一番でした。 また、2作目でおいで下さい」。
 多少急ぎ足で、宿へ。 私の他にも、映画祭の参加者が泊まっているので、彼らよりも先に戻り、交代制の風呂に待つことなく入りたいのです。 そして、すぐ就寝したくて。 明朝は、始発のJRに乗らなければなりませんから。 ・・・・ その通りに出来、荷造りは起きてからする事にして、床についたのでした。

 さて、どうにか穴を空けることなく毎日綴ってこられた本レポ。 あと1回だけ続きます。 良ければ、お付き合い下さい。  

湯布院映画祭レポート10(25)

 喉の調子は結構良くなった筈なのに、寝床に横になると、どうしてか2〜3分おきに咳が。 ために、なかなか眠りにつくことが出来ず....。 結局、寝られたのは2時間ほどでしょうか。 でも、そんなにつらい目覚めではありませんでした。 起き出すと、咳もそうひどくはなくて。 30日(月)の朝、宿を出たのは5時25分頃。 まだ少し暗い中、由布岳の山頂がくっきりと姿を現わしています。 ようやく見えた! 駅へ向かいながら2〜3度振り向くと、その度、徐々に雲のようなものに覆われてきていました。 良いタイミングで宿を出たようです。
 由布院駅が始発の5時41分の電車(2両編成だった筈)に乗り込みます。 まだ駅員も勤務に就いていない時刻。 高校生が結構乗っています。 座席に腰かけると、早速ペンと紙を出し、昨夜のパーティーの模様をメモに。 大分駅までの1時間弱では書ききれず、乗換え後にも何十分か。 引き続き、本レポ等の下書きに着手。 全区間 『青春18きっぷ』 を使い夕方6時前に岡山市内の地元駅に帰り着くまで、ほとんどの時間ペンを走らせ続けたのでした。 なまじ寝て過ごそうとすると、ダルさが現れてきそうに思えたこともあり。 それにしても、喉の不調で連日睡眠不足状態にありながら、よくバテずに過ごせ、まあまあ元気に帰って来れたもの。 この次もこう上手くいく保証はありませんから、来年はいつも以上に体調管理に気をつけ、問題なく11回目の参加を果たしたいと思います。

 Oさんにより詳細にお伝えするという大義名分があったため、長さを気にせず綴ってしまった今回のレポート(毎回か 笑)ですが、とうとう最終回となりました。 今年の映画祭を振り返ってみると━━。 とにかく、久しぶりに “ 賑わった ” という印象だったのが、一番! 通路まで座って観る人で一杯になるのは、次回はいつになるでしょう。
 ベスト作品は勿論、『湯布院映画祭20年の記録』 の著者である横田さんがパンフに解説を書いていたのでより期待を膨らませた 「パートナーズ」。 やはり、今年の映画祭は横田さんと縁があったんだなぁ。 あ・・・・、肝心の横田さんと話をするのを忘れちゃいました(泣)。 公民館やパーティー会場でも、ばったり顔を合わせる機会がなかったんですよね。 毎年、1度や2度はあるのに。 まあ、彼が司会を務めた 「バートナーズ」 のシンポで発言したので善しとしましょう。 「どこで泣いたんですか?」 と横田さんから訊かれ、「たくさんあって、覚えてません」 と答えましたし(笑)。

 ゲストでは、何といっても、初来祭の渡辺奈緒子さんと大塚ちひろさんが、すごく魅力的でした。 どちらも気さくな方で、たくさんお話し出来ましたし。 初参加の年にゲストだった阪本順治監督が10年ぶりにおいで下さり、今度はちゃんと話し掛けられたのは、念願が叶った感じ。 そうか、初めて湯布院の地を踏んでから、丸10年経つのかぁ。 途中、2002年のみ参加できず、2010年で10回目の参加。 回数と西暦の下2桁が一致しているのに、今頃気づきました。 覚えやすい! この関係性をくずさぬためにも、これからも毎年参加していくぞ!(笑) 今夏の 『湯布院』 で物足りなかったのは、シンポでOさんのチョイ辛発言が聞けなかったのと、彼の 『湯布院レポ』 が読めなかったこと。 来年は、きっと大丈夫でしょう。  蛇足ながら、喉の不調ですが。 自宅に帰ってからは咳で寝られないという事はなかったものの、なかなか抜けずに同じような状態が続き、9月中旬になって、ようやくかかりつけの病院へ行く事に(2〜3年ぶり?)。 薬をもらい、徐々にではありますが快方に向かったのでした。 現在では、ほぼ治ったと言って良いかな。 時々、ふとした拍子に2〜3度咳くことはあるのですが。 とにかく映画館での鑑賞時にはまず問題なくなり、周りの人に迷惑をかける恐れがなくなったので、私的にはそれでOKなのです(笑)。 まあ、軽く見ず、早く完全に治します。

 本レポの冒頭で、【 最後まで飽きずに召し上がって頂けるでしょうか。 “ もっと食べたい!” と思ってもらえたら、幸いです。】 と記しました。 なのに、その時の気分に任せて、こってりした中華料理を続けたり、特盛にしたり、調味料を間違えたりした日も少なからずあったかと思います。 読んでくれた皆さんが胸焼けなど起こしてなければ良いのですが....(汗)。

 さて、そろそろ、私にとっての “ もう一つの湯布院映画祭 ” も終りとなります。 湯布院を離れる際と、このレポを書き終える時の2度訪れる “ 祭りのあとの寂しさ ” も、参加できていればこそ味わえるもの。 来年は、常連さんたちが全員揃う映画祭になりますように! 最後は、仲村さんや井上さんの台詞をパクり、Oさんへこう問いかけて締めくくることにしましょう。 今夏の湯布院レポ、「こんなもんで、いいですか?」(笑)。

                                     (終)